2020.10.3

2020.10.10

民事再生と破産は何が違う?それぞれのメリット・デメリットも解説!

事業に行き詰まり会社の資金繰りに苦しくなった場合に、経営者は「民事再生」または「破産」のどちらかを選択しなければなりません。

民事再生と破産は似たような状況で行う手続きではあるものの、手続きの目的やメリット・デメリットは全く異なります。

会社の状況に応じて適切な判断ができるよう、民事再生と破産の違いについて詳しく理解していきましょう。

民事再生と破産の違いは?

「民事再生」と「破産」の手続きは、目的の部分で根本的な違いがあります。

民事再生は業務を継続しながら再生計画案を提出し、債権者とも調整を重ねながら会社を存続させていく方向で推移していきます。

一方破産の場合、破産手続を行うことで債務を帳消しにできる分、会社は消滅させなければなりません。

会社の所有する財産も換価処分されて債権者への配当に充てられますし、全ての業務を停止する必要があります。

取引先との関係ももちろんなくなってしまうため、全てをリセットして再スタートを切らせるという方向性になっているのが特徴です。

民事再生と破産について、どちらも事業が行き詰まり資金繰りが苦しくなった際に行う手続きというイメージがありますが、「会社を存続させるかどうか」において決定的な違いがあるのです。

民事再生するための条件や手続きの流れ

民事再生は債権者との調整を図りながら、計画的に事業を再建させていくことを視野に入れた手続きとなっているため、行うには以下の条件を満たす必要があります。

  • 営業利益を出せる
  • 債権者の半数以上が同意している
  • 経営者が再建に強い意思を持っている

例え事業に行き詰まり、資金繰りも苦しくなっていたとしても、それが一時的で再建計画を実行可能と判断できる場合には、民事再生が行われます。

そのため、「営業利益が出せるかどうか」というのは非常に重要なポイントです。

利益が出ていないのであれば、そもそも再建しようにもやりようがないため、民事再生を行うことはできません。

民事再生では債権者との調整を行いながら事業を再建していく必要があります。

また、債権者の半数以上が民事再生に同意しなければ、手続きを行うことはできません。

さらに、経営者自身が事業の継続や会社の再建に対して強い意思を持っている必要があります。

再建に関する実現可能な計画案を作り上げるなど、再建に向けた熱意を示す必要があるでしょう。

民事再生手続きの流れ

このような条件をクリアした上で、民事再生は以下のような流れで行われます。

  1. 弁護士への相談・依頼
  2. 民事再生申立書類の準備→裁判所への申立
  3. 監督委員の選任
  4. 債権者説明会
  5. 再生手続開始の決定
  6. 債権者による債権届出
  7. 財産価額の評定と報告
  8. 債権の認否及び報告
  9. 再生計画案の作成・決議・実行 

民事再生は、弁護士への依頼を通じて行います。必要書類を集め、裁判所に対して申立を行うと監督委員が選任されます。

次に、債権者に対して民事再生に至った経緯や今後の展望を説明する集会を開き、申立が認められた場合に、再生手続開始が決定されます。

会社の財産評価などを経た上で再生計画案を立案し、債権者の過半数の同意が得られれば計画の実行へと移っていきます。

民事再生と破産、それぞれのメリット・デメリット

民事再生と破産のメリット・デメリットをまとめると、以下のようになります。

【民事再生のメリット】

  • 事業継続が可能
  • 経営陣の維持もできる
  • 借金の減額など債権の調整が可能

【民事再生のデメリット】

  • 会社の社会的評価は下がる
  • 再生に失敗すると破産につながる
  • 債務の担保として財産が回収される可能性がある

【破産のメリット】

  • 債務を免責にできる
  • 経営者個人として再スタートを切れる

【破産のデメリット】

  • 会社や事業は消滅する
  • 取引先との関係も消滅し、経営者としての立場も無くなる

民事再生は何とか事業を「再建」する方向で進めていくため、会社を存続したい場合には有効な手続です。

破産は債務を帳消しにし、経営者個人としての再スタートを切れる一方、会社や事業は消滅し、取引先との関係も無くなるため「リセット」の意味合いが強くなります。

まとめ:民事再生と破産は何が違う?それぞれのメリット・デメリットも解説!

今回は、「民事再生」と「破産」の違いについて解説しました。これらの手続きは目的が全く異なるため、どちらを選ぶかは弁護士などの専門家に相談してから決めた方がいいでしょう。

民事再生は客観的な再建への計画はもちろん、会社の存続に対する覚悟も必要な手続ですので、専門家の意見に耳を傾けながら、適切な決断をしてください。

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