もし、未払いの給料がある中で社長が夜逃げした場合、未払いとなっている給料はどうなるのでしょうか?
経営者として、このようなことが起きないように日々努めることが大切ですが、もしもこうした状態になってしまった場合、従業員の方はどのような対応を取るのでしょうか。
そこで今回は、「給料未払いの状態で社長が夜逃げしてしまった場合」において「従業員がとるであろう行動」を解説していきます。
経営者として理解を深めておきましょう。
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給料未払いのまま社長が夜逃げしたらどうなる?
社長が夜逃げした場合でも、従業員の方は会社から給料を支払ってもらう権利があります。したがって、会社の財産から給料を支払うように請求することが可能です。
しかし、給料が未払いだからといって、勝手に会社のお金に手を出すと横領・着服行為として違法になる恐れがあります。
万が一会社の経営が危機的状況になっている場合には、未払い給料を国の機関から立替払いしてもらうことができます。
とはいえ、立替払制度にはいくつかの条件があったり、未払い給料を全額支払ってもらえたりするわけではありません。
未払賃金立替払制度の条件とは?
前述したように、未払賃金立替払制度は未払い給料を全額支払ってもらえるわけではなく、さらに条件もあります。
未払賃金立替払制度の支給条件は以下の通りです。
- 事業主が1年以上にわたり労働者を雇って事業活動を行っていた
- 会社が倒産している
ここでいう倒産とは以下の2つのことを指します。
- 事業主が法的な破産手続きをしている
- 事業活動を続けることができなくなり、従業員への給料を支払うことができず、その状況を労働基準監督署が認定している
上記の条件を満たしている場合、未払賃金立替払制度が適用され、従業員は未払い給料の8割を取り戻すことができます。
社長が夜逃げして未払い給料がある場合の「未払賃金立替払制度」
未払賃金立替払制度について説明しましたが、社長が夜逃げした場合、手続きが少しややこしくなります。
それは、倒産・退職してから6ヵ月以内に労働基準監督署から、事業活動の停止かつ再開の見込みがなくて給料の支払い能力がないと認定されなければなりません。
さらに、「賃金台帳」「就業規則」「退職金規定」などの資料も必要となります。
これらの条件を満たし、未払賃金立替払制度が適用された場合には、「30歳未満56万円」「45歳未満104万円」「45歳以上136万円」を条件として支払われます。
未払賃金立替払制度を利用する場合の流れとは
未払賃金立替払制度を利用する際の手続きは、「法律上の倒産」の場合と「事実上の倒産」の場合とで行わなければならない手続きが異なります。
まずは、法律上の倒産の場合に必要な手続きから見ていきましょう。
法律上倒産の場合、会社側が法律に基づいて倒産の手続きを行っているため、以下のように従業員側の手間はあまりかかりません。
- 破産管財人など、もしくは裁判所から証明書を交付してもらう
- 交付された証明書に必要事項を書いて労働者健康福祉機構に提出する
- 立替金が口座に入金される
続いて事実上の倒産についてです。
先ほどの法律上の倒産の場合には手続きに費用がかかるため、お金のない中小企業の場合は法的な手続きを取らない会社もあり、そのような場合には事実上の倒産となります。
社長が夜逃げした場合も事実上の倒産となり、未払賃金立替払制度を利用するには、下記の手続きが必要になります。
- 労働基準監督署へ行き倒産の認定申請を行う
- 労働基準監督署で確認申請書を提出する
- 交付された確認通知書を労働者健康福祉機構へ提出する
- 未払い給料があることを証明する
- 立替金が口座に入金される
まとめ:社長が夜逃げした場合、未払い給料はどうなる?
社長が夜逃げした場合でも、従業員の方は未払い給料を取り戻せます。しかし、未払い給料の8割となっており、未払いとなっている給料の全額を取り戻すことはできません。
また、社長が夜逃げしているということは、支給条件の倒産には該当しません。そのため、労働基準監督署から「事業活動の停止・再開の見込みがなくて給料の支払い能力がない」と認定されなければならず、「賃金台帳」「就業規則」「退職金規定」などの資料が必要です。
従業側としては社長が夜逃げした場合、まずは労働基準監督署へ行く必要があり、その後手続きをするということを覚えておきましょう。
今回紹介した通り、夜逃げしてしまえば従業員に迷惑がかかってしまいますので、倒産をするのであれば、経営者たるもの最後まで責任を持ちましょう。