2021.2.4

詐欺破産罪とは?詐欺と見なされる行為を知って注意しよう

破産せざるを得ない状態の時、魔がさしてしまうことがあるかもしれません。しかし、少しの不正行為が重大な事態を招く可能性があります。

今回は、資産を守りたい…という気持ちで犯しかねない「詐欺破産罪」について解説していきます。

詐欺破産罪はどのような犯罪なのか?

詐欺破産罪とは、破産申立を行った債務者が財産を隠す行為です。自己破産をすると、一定額以上の財産は債権者に配分するために没収されます。そのかわりに残った分の債務は免責され、支払い義務がなくなるのです。

最低限の現金や衣食住に必要な財産は保護されますが、「少しでも多く財産を手元に残したい」という気持ちで不正行為をすると、詐欺破産罪に問われる可能性があります。破産法 第265条 第1項では、「債権者を害する行為を行って破産手続き開始が確定したと判断された場合は10年以下の懲役、もしくは1,000万円以下の罰金(または併科)に処する。」とされています。

いつまでが対象となるか?

詐欺破産罪はいつまでが対象の期間となるのでしょうか。破産法によると、破産開始手続き開始の前後は問わないと記載されているため、申立をする前の行為であっても悪質な行為と判断されれば、詐欺破産罪になる恐れがあります。

とはいえ、いつまでもさかのぼる事はできないので、「債務超過状態にあり、破産せざるを得ない状況」になってからの行為が問題視されるようです。計画通りに返済している段階で、財産を譲渡したりすることは問題ありません。

詐欺破産罪と判断される要素

破産詐欺罪に該当する行為は以下から詳しく説明します。

財産を隠す行為

破産法265条1項1号では、債務者が財産を隠したり故意に壊す行為は詐欺破産罪に当たると考えられています。例外として、故意ではなく財産の存在を忘れていたり、予期せぬトラブルが起こって壊れてしまったケースがあります。このような場合は詐欺破産罪には含まれません。

財産を故意に譲渡するかのように装った行為

実際に財産を譲渡していないのに、嘘の書類を作り第三者にゆずったように見せかける行為も、詐欺破産罪に当てはまります。よくあるケースとして、法人が会社の財産を子会社等に売却したり、経営者(またはその親族)に売ったかのように見せかけるというものがあります。また、実態のない契約書を作ることは私文書偽造に当てはまります。

財産に変化を加えて減損する

つまり、債権者に不利益や害をもたらすために、財産に変化を加えて価値を下げようとする行為のことです。分かりやすい例で言うと、土地に勝手に建物を建てる、車などを故意に壊すなどが減損行為に該当します。

債権者に故意に不利益を与える行為

債権者を害する目的があるかどうかが、詐欺破産罪の判断基準となると考えられています。破産手続きは、なるべく債権者への配当分を確保する目的があり、配分を減らしてしまおうと財産を隠したり、価値を下げるような行為を行うと悪質だと判断されてしまいます。

上記で紹介したもの以外にも、例えば第三者に無償、あるいは安く財産を譲渡したり、わざとお金を借りて、債権者を増やし元々の債権者の取り分を減らそうとしている行為は、詐欺破産罪と見なされることがあります。

破産手続き後に財産取得する行為

破産法265条2項に基づき、「債務者の財産取得または第三者に財産取得させる行為」つまり破産手続きが開始されてから管財人の許可なく財産を得たり、第三者に譲渡する行為も犯罪です。

この項目が他と違うのが、行為をした期間に指定があることです。破産開始手続き決定、あるいは保全管理命令が出たことを知っている状態がその対象となっています。

まとめ:詐欺破産罪とは?詐欺と見なされる行為を知って注意しよう

「自己破産するから財産を譲渡したい」という考えは、債権者への不義となることが分かりました。さらに、債権者を害する目的がある場合は詐欺破産罪という犯罪だと見なされ、破産が認められないどころか重い罰が与えられる可能性もあるのです。誤解を招かないためにも、軽率な行動は避けましょう。

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