2020.12.23

会社倒産による社長の末路について~社長の行く末の実態~

「経営者」といえばどこか華々しいイメージが頭に浮かびます。バリバリと仕事をこなしつつプライベートもきっと充実しているはずと。しかし、そこから一転して倒産、破産となればその末路は悲しく、精神的にも社会的にも大きなダメージを受けることが容易く想像できるでしょう。

夢を持って起業した会社や、親などから譲り受けた会社などが倒産した後の社長の行く末について、実態や現実、再起できた人の生き方について紹介していきます。

日本に倒産社長はどれくらいいるのか

帝国データバンクの統計によると2019年度の倒産件数は、前年よりも増え8,300件以上に登ります。会社一社に対して一人の経営者がいるとするなら、1年間で8,300人以上の倒産社長が生まれている計算です。

このうち、「後継者不足」や「人手不足」を理由に倒産した600件強の企業はさておき、それ以外の倒産した会社全体数の約8割は「不況型倒産」となっていますので、ほとんどの経営者は何らかの負債を背負って会社をたたんだとみることができます。

負債額でみると、倒産した約8,300件のうち5,000万円未満とするのが約5,100件ですので、3,000件以上の会社は5,000万円以上の負債を抱えて倒産したことになります。

倒産社長の末路の明暗!見切りはどうつけるべきか

会社を経営していると、順調なときばかりではなく当然、踏ん張りどきや、何が何でもしがみついて乗り越えなければならない局面に際することがあります。そこで難しいのが、「見切りどき」です。

踏ん張るべきか、会社を倒産させるべきかの見切りどきを見誤ったがために後悔しているという元倒産社長の声をご紹介します。

事例

父親から事業を引き継いだある経営者Aさん(50代)の例です。

  • 2000年:同事業で8店舗を経営。一時は年商6億円にのぼる。
  • 2007年~:不況の煽りで売り上げに陰りが出始めたことから4店舗を売却して再建を図ることに。
  • 2010年~:法律の改正により事業所のリフォームが必要に。リフォームにかかる経費3,000万円と、工事中の営業休止期間のマイナスが重なる。加えて、売上高が下がり赤字に転落。
  • 2017年:借り入れをしながら事業を進めたものの、マイナスは続き、破産を覚悟した時点での借入額は約2億円。

店舗の土地建物が自前であったことから、それらを処分することで半分程度の返済はできたものの、それ以上については目途がたたず自己破産となり、Aさんは債務からは解放されました。

破産から数年を経て、Aさんは郷里から離れた都会で期間社員として働き生計を立てています。
前回の破産で財産等を失っていることから、老後についての不安は消えません。
時間がたった今、破産までのカウントダウンの時期を振り返ったAさんは、もう少し早い時点で見切りをつけられたなら、事態はまたちがったかもしれないといいます。
赤字に転じた2010年の時点で、自主的に廃業していたなら、借り入れを増やすことはなく、その時点で残された資産を従業員と自分の未来のために回せたかもしれない、と。

事業経営において、「見切り」のタイミングは最も難しいことのひとつです。食らいつくべきか、それとも手放すべきかの選択によって、その後の未来は大きく異なり選択した経営者本人の気持ちにも残り続けることがあるという事例です。

倒産からの出直し

倒産した会社の社長たちのその後の人生はどのようなものなのでしょうか。
倒産社長に聞く「倒産してつらかったこと」は次のものがあげられました。

  • 資産や仕事がないため賃貸契約が簡単にいかない。
  • 元社長の就職活動は困難を極める。
  • 精神的に落ち込む。

以上の意見がある一方で、倒産して良かったこともあるとのこと。

  • 責任から解放されて精神的・体力的に良い方に向かった。
  • ストレスがなくなり自由を得た。

物事は表裏一体。悪いこともあれば良いこともあります。
倒産からの立ち直りにかかる時間や道のりは人によって様々ですが、前向きに生きることで「自分らしい生き方」を模索して幸せをみつけていくようです。

まとめ:会社倒産による社長の末路について~社長の行く末の実態~

会社を倒産させた経営者、社長たちの行く末について実態や統計を交えて解説しました。会社の経営は山あり谷ありで、常にリスクと隣り合わせです。ときには、自身の手腕に関係なく環境や世間の情勢によって倒産を余儀なくされることもあり得ます。

倒産という言葉には暗い響きがありますが、実際にそれを経験した社長たちの行く末は必ずしも暗いものではありません。
失敗に向き合い、前を向いて出直すことで新たな幸せ、価値観を見つけた人もたくさんいます。

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