2021.2.4

詐欺破産罪は刑事告発の対象となる?発覚した場合の処遇について

債権者を害する行為として詐欺破産罪がありますが、詐欺破産罪に相当する不正行為が発覚した場合、どのような処罰を受けるのでしょうか?また、その際破産手続きはどのように扱われるのか気になりませんか?

この記事では、破産犯罪の刑罰や対象者などについて解説していきます。

破産犯罪が成立する対象者

詐欺破産罪では、主に破産者(債務者)が債権者に対する不正行為を対象としていますが、破産犯罪全般で見ると対象となるのは、実は債務者だけではありません。破産手続きに関わる人全てが破産犯罪の対象となり得ます。

  • 債務者:債権者の利益を害する、または公平な配分を行わないなどの行為が犯罪と見なされます。
  • 債権者:破産手続き後も不正に取り立てやつきまといなどの行為で更生を邪魔する
  • 破産管財人:自身の利益を優先したり債権者に損害を与える(賄賂を受け取るなど)

そのため、「債務者が不正行為を行うと罪に問われるから、管財人を買収して債務者に有利に取り計らってもらう」ということも法律上認められません。債権者による犯罪は、免責後も債務者やその親族に取り立てを行う「面会強請の罪」として破産法第275条で禁止されています。破産手続き後も強制的な行動をした場合は、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金が科せられます。

詐欺破産罪の法定刑について

債務者が対象となる破産犯罪として代表的なのが、「詐欺破産罪」です。詐欺破産罪は破産法第265条で、以下のように罰則が定められています。

「破産手続開始の前後を問わず、債権者を害する目的で、次の各号のいずれかに該当する行為をした者は、債務者(相続財産の破産にあっては相続財産、信託財産の破産にあっては信託財産。次項において同じ。)について破産手続開始の決定が確定したときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。情を知って、第四号に掲げる行為の相手方となった者も、破産手続開始の決定が確定したときは、同様とする。

  1. 債務者の財産(相続財産の破産にあっては相続財産に属する財産、信託財産の破産にあっては信託財産に属する財産。以下この条において同じ。)を隠匿し、又は損壊する行為
  2. 債務者の財産の譲渡又は債務の負担を仮装する行為
  3. 債務者の財産の現状を改変して、その価格を減損する行為
  4. 債務者の財産を債権者の不利益に処分し、又は債権者に不利益な債務を債務者が負担する行為」

引用元:e-gov法令検索より

法例文を読んでも分かる通り、債務者が財産隠しや財産の損壊など故意に債権者の利益を損ねる行為を行った場合は10年以下の懲役、または1,000万円の罰金(あるいはその両方)が課せられます。実際、詐欺破産罪が適用されるのは稀です。

破産申立自体は年間数万件ほど行われますが、詐欺破産罪として立件されるのはその内20~30件程度だとされています。ただし、刑事告発されなくても、不正行為が発覚したら免責が不許可となったり民事で賠償請求される例はあります。

告訴状

詐欺破産罪として債務者を起訴する場合、以下の項目を定めた告訴状を作成する必要があります。

  • 管轄の警察署長宛て
  • 日付
  • 告訴人の署名と捺印
  • 告訴人の住所/職業/氏名/生年月日/電話番号
  • 被告訴人の住所/職業/氏名/生年月日
  • 告訴の趣旨(該当する法律などを明記)
  • 告訴事実(詐欺破産罪と思われる行為についての概要説明)
  • 立証方法
  • 添付書類
  • 証拠となる書類
  • その他証拠

自分で提出する場合はこの書式に則って自分で作るか、各裁判所の公式サイトからテンプレートをダウンロードして適示変えて作成してください。告訴事実の欄は、客観的な事実に基づいて時系列に沿った流れで記載しましょう。

弁護士・行政書士・司法書士等に依頼して告訴状を提出するのが一般的で、その場合は自分で作成する必要はありません。

法人が詐欺破産罪を行った場合

法人破産の際に、代表者や代理人が詐欺破産罪に相当する行為を行った場合は、法人と行為を行った人両方に詐欺破産罪の罰金が科されます。つまり、法人と個人それぞれに罰金の支払い義務が生じるため、最大で2,000万円を支払わなければなりません。

まとめ:詐欺破産罪は刑事告発の対象となる?発覚した場合の処遇について

詐欺破産罪と認められるほど悪質な行為は、刑事告発の対象となります。破産手続き時の不正行為が発覚し詐欺破産罪として起訴された場合は、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が科せられるという比較的重い罪です。

ただし、債権者や管財人を対象とした犯罪もあるので、全ての人が法に則り正当な手続きを行う必要があります。

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