「特別清算において清算人という存在が必要だと知ったが、どのような役割を持つのだろう…」
このような疑問をお持ちの方はいらっしゃいませんか?
特別清算の手続きを進めるにあたって、不可欠となるのが「特別清算人」の存在です。会社の資産を管理するという点では、管財人と共通しますが選任の方法など異なる点もあります。
そこで本記事では、
- 特別清算人の役割
- 特別清算人の選任
- 支払う報酬
などについて解説していきます。
特別清算で特別清算人が持つ役割
特別清算における特別清算人は、会社法523条に基づき債権者・株主・株式会社へ公平に清算業務を行うという大切な役割があります。
大きく分けて4つの義務があります。
- 忠実義務
- 競業避止義務
- 利益相反取引
- 報告義務
特別清算をするために株式会社が解散すると、それまでに交わされた取引をまとめる作業に入ります。
具体的な作業内容は、
- 会社の財産がどれくらいあるのか調査
- 財産がいくらくらいの価値になるのか調査
- 換価処分し債権者へ支払い
- 財産目録や貸借対照表の作成
- (債務超過でない場合は)株主への配当支払い
- 債権者へ債権の申し出を促すため官報公告
- 各種登記登録
などがあります。
特別清算が終了しても、各種書類を10年間保管しなければなりません。
特別清算人はこれらの作業について誠意をもって行うことが求められ、もしも不正が発覚したり公平性が欠けると判断された場合は、債権者や株主から申し立てをされ、裁判所が解任を行うこともあります。
それ以外にも、裁判所から要求があれば清算や財産の状況について報告義務があります。また、財産を処分する、和解、借財など指定行為に該当するものの前に、裁判所から許可を得なければ行えません。
清算人はどのように選ばれるのか?
清算人が特別清算において重要な役割を持つことが分かりましたが、どのように選ばれるのでしょうか。
多くの場合、清算する会社の代表か弁護士が特別清算人を務めることが一般的です。
会社を解散した時に清算人を選任する必要があり、株主総会で解散決議を取る時に清算人が任命されます。
会社法478条1項ではその他にも、
- あらかじめ定款に記載しておいた人
- 取締役
などが清算人として扱われています。
取締役が清算人となる場合は、「法定清算人」と呼ばれます。
清算人の欠格事由もあるので、以下にあてはまる人は清算人として選任できません。
- 法人
- 成年被後見人/被保佐人
- 会社法関連の罪により刑執行後2年未満のもの
- 禁固以上の刑執行が終わっていない者
また、監査役は会社の清算人と兼任はできません。
特別清算人報酬はどれくらいなのか?
特別清算人報酬は選任された人によって大きく異なります。
特別清算人への報酬支払いは、裁判所が定めた金額支払いが退任時に行われますが、管財人報酬よりは低い傾向があります。ただし、裁判所が特別清算人を選ぶ場合は管財人と同じくらいの報酬が設定されることもあります。
また、必要があれば特別清算人は代理人を立てることができますが、清算人代理への報酬も別途発生します。
会社が弁護士に特別清算人を依頼する場合は、清算人報酬の他に申立代理人の費用などを支払う可能性があります。
弁護士への報酬は事務所などによって異なり、申し立て代理人の費用は請求されないケースもあり、そのような場合は、申し立てをする際に報酬放棄書を提出しましょう。
まとめ:特別清算人とはどのような役割を持つのか?選出の仕方は?
特別清算人は、特別清算において大きな役割を持つことが分かりました。通常は、株式総会で代表者か弁護士が選任されることが多いですが、他にも定款で決めたり裁判所が選ぶという場合もあります。
ケースによって報酬なども変わってきますので、その時々に適した対応を行いましょう。弁護士に依頼する場合は、報酬の内訳についてもよく確認をしましょう。
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