「特別清算という債務整理方法があると聞いたが内容が分からない…」
「特別清算はどのような流れで行われるのだろうか…」
このような疑問はありませんか?
特別清算は清算型の債務整理方法の1つで、法人破産と似ていますがより簡易的な手続きが可能となります。
今回は、特別清算についての基礎知識と手順について解説していきます。
特別清算はどのような債務整理なのか?
まずは、特別清算がどのような制度なのかという点を押さえていきましょう。特別清算は、破産と同じく清算型の債務整理で裁判所を通して手続きが行われます。
破産は法人格を問いませんが、特別清算は株式会社だけが行えるものです。
平成28年~30年における特別清算件数は以下の通りです。
平成28年:292件
平成29年:335件
平成30年:312件
特別清算には、協定型と言って債権額の2/3以上の同意を得るものと、債権者全員から同意を得て手続きを行う和解型があります。逆に言うと、債権者の同意が得られないと手続きに進めません。
破産手続きと比べると、手続き自体がスピーディかつ簡易的に行われ、必要な費用が抑えられます。
破産の場合は、予納金は数十万円~数百万円と高額ですが、特別清算の場合は協定型で5万円前後・和解型で1万円前後が目安とされています。
清算人報酬も発生しますが、破産管財人の報酬よりは定額であることが多いようです。
このようにメリットもありますが、清算型ですので法人は消滅し事業継続はできません。
特別清算をするための要件について
解散した株式会社が、特別清算を行うための要件についても紹介していきます。
- 債務超過の疑いがある
- 会社の債務関係が複雑化している
- 関係者が多数いる
最後の2つの要件は、会社法510条2号の「清算の遂行に著しい支障を来すべき事情」だと判断されます。
特別清算を行う手順
特別清算手続きの手順について、段階ごとに見ていきましょう。
弁護士へ依頼
特別清算は裁判所が関与する債務整理ですので、まず弁護士に依頼しましょう。
弁護士が正式に代理人になると債権者へ受任通知が送付され、取り立てなどが停止されます。それと並行して、会社の財務状況や財産についての書類をまとめて弁護士に預けます。
債権者からの同意を得る
債権者集会は特別清算開始命令が出てから行いますが、あらかじめ交渉を進めておくのが一般的です。
いざ集会を行って同意が得られなければ意味がありませんので、弁護士が事前に債権者と交渉しておきます。
会社を解散する
特別清算のように清算型の整理を行うためには解散が必要であり、株式会社の場合は解散決議を行います。
解散決議では、議決権を持つ過半数の株主が出席し会社の解散と清算人選任が決められます。これは、2/3以上から賛成されなければなりません。
申立
管轄の裁判所へ事前に準備しておいた必要書類を同封し、申立を行います。
裁判所が、その株式会社に特別清算の要件があると認定されれば開始命令が下され、命令が裁判所から出されると、債権者は執行ができなくなります。
清算人は会社の財産を管理してそれぞれの評価額を調査し、債務の金額や内訳を調べ協定案の作成に移ります。
ちなみに特別清算をした後であっても、債務超過であると清算した残りの金額を返済していかなければなりません。
集会で債権者の同意を得る
清算人が作った協定案を債権者に送り、集会が開かれ決議が行われます。先ほども触れましたが、会社法567条1項に基づき債権の総額2/3以上(債権者の場合は1/2以上)の同意を得れば協定案可決となります。
清算人から弁済を行って特別清算の手続きはすべて完了し、それに伴い株式会社は無くなります。
まとめ:特別清算の手続きの流れや注意点について解説!
特別清算は株式会社しか手続きができないということもあり、なかなか内容が知られていない制度でもあります。
しかし、法人破産と比較しても特別清算は費用が安い・手続き完了までが比較的早いという特性を持っています。
債権者の同意を得なければなりませんが、株式会社の場合は清算型の1つとして有効な手続きではあります。