2020.10.30

生活保護受給していても同時廃止で自己破産できる?

自己破産手続きの中でも、最も費用が安く手続き完了までの期間が短い、「同時廃止」というものがあります。

生活保護受給者でも、この同時廃止による自己破産手続きができるのでしょうか?この記事の中で、同時廃止の特徴や注意点と併せて解説していきます。

自己破産の同時廃止とはどんな制度なのか

まずは自己破産における、同時廃止の制度について見ていきましょう。

同時廃止とは、破産申し立てをしている人に換価処分できる財産がほぼない場合に行われる破産手続きです。

法人も含めた全体の破産手続きの約6割がこの同時廃止で破産手続きを行い、個人の破産に関してはその大半が同時廃止で手続きを行います。

同時廃止は申立者が自由に決められるのではなく、裁判所が決定し、申立者の財産が20万円以下であることが条件になります。

費用にどれぐらいかかるのか?

同時廃止の場合には、弁護士費用・予納金・その他実費を合わせて20万円~50万円程となり、弁護士への着手金が必要な場合は高額になる傾向があります。

自己破産するにも費用がかかってしまいますが、生活保護受給者の場合は、弁護士費用と予納金が免除される制度が利用できます。また、同時廃止も他の自己破産手続きと同様に99万円以下の現金や家財など、手元に残る財産もあります。

同時廃止で破産するにはどれくらいの期間がかかる?

同時廃止は他の手続きよりも期間が短く、申し立てから手続き完了して免責されるまで3~4ヵ月ほどです。

事前の準備期間は人によって差がありますが、3ヵ月~6ヵ月程度のことが多いようです。

同時廃止で自己破産する時の手順

同時廃止がどのような手順で手続きされるのか、以下から見てみましょう。

・弁護士(または司法書士)に依頼

・債権者に受任通知等を送付して督促を停止

・債権の金額や内容について調査(過払い金請求がある場合もこの時点で)

・申し立て者の資産状況・家計について調査(配偶者がいる場合は収入証明書を提出)

・申立書を作成し裁判所へ申し立てる

・裁判所で審尋(聴取)を行う

・手続き開始/同時廃止を決める

生活保護受給者が必ずしも同時廃止とは限らない?

生活保護は収入がなく、就労や家族に頼ることが難しいことが受給の条件です。そのため、生活保護受給者が自己破産をするなら同時廃止というケースが多いのは事実です。

しかし、福祉事務所が住居として認めた持ち家などがある場合は少額管財となります。

その他の自己破産手続きについて解説

同時廃止以外の手続きについても併せてご紹介します。状況によっては、他の手続きの方が適していると判断されるケースもあります。

管財事件

管財事件(東京地裁では特定管財)は、多額の債務があったり債務者にある程度財産が残っている場合に用いられる破産手続きです。

主に法人や個人事業主など、事業者の破産手続きで行われます。

管財事件で手続きをすべきと判断されるのは、以下のいずれか(もしくは複数)にあてはまる場合です。

  • 債務の金額が5,000万円以上
  • 免責不許可事由について調査する
  • 会社の代表取締役など

調査に手間がかかる分費用は、自己破産手続きの中でも予納金の額は最低でも50万円以上と、最も高い特徴があります。

また、手続きの期間は内容によって長期に渡る可能性があります。

少額管財

上記の管財手続きと同様に、資産や債務についての調査は行うものの手続きを簡略化して費用を押さえたものが少額管財になります。代理人弁護士が調査を行うため管財事件とは異なり、少額管財は弁護士に依頼しなければなりません。

予納金は20万円~程で、申立てから免責まで3ヵ月~6ヵ月ほどかかります。

まとめ:生活保護受給していても同時廃止で自己破産できる?

生活保護受給者は、その制度の特性上同時廃止で破産手続きを行うことがほとんどです。

そして同時廃止は費用も安く、決定までがスピーディであるため迅速に債務整理を行うことができます。

ただ、本文中でも触れたように申立者が手続きの種類を決められるわけではなく、例外もありますので、自分の場合はどの手続きになるか弁護士に確認してみましょう。

あなたにおすすめの記事

よく読まれている記事

この記事を見た人はこんな記事も見ています

会社倒産手続き.comをご覧の皆様へ

会社倒産手続き.comは、倒産〜復活にかけての道標を示すメディアです。経営者が第二の挑戦をすることを前提に、「終わり方」について参考となるデータと情報を提供していき、倒産〜復活のフローに関して、様々な道筋での援助方法ご提案します。

無料相談はこちら