特別清算は基本的には株式会社のみができる清算手続きですが、破産よりも短期間かつ柔軟な手続きができることから、他の法人格でも特別清算を望む場合もあるでしょう。
この記事では、有限会社が特別清算を例外的に行えるのか?有限会社が解散・清算する方法について解説していきます。
有限会社が解散・清算をする方法
特別清算は、株式会社のみに認められた債務整理の方法です。
そのため、有限会社が解散して債務整理をする場合は基本的には他の方法を選ばなければなりません。
有限会社の解散事由は会社法に基づき、以下のように定められています。
- 定款で決めた解散事由(期間満了など)
- 合併
- 解散命令あるいは解散判決
- 破産手続き
- 株主総会での特別決議
有限会社の特別決議は、株式会社とは条件が異なります。株式会社の解散決議は、議決権がある株主の過半数が株主総会に参加して、2/3以上の同意を獲得して決議が行われます。
有限会社の場合は、「総株主」の半数以上が出席した上で3/4以上の同意を得なければなりません。
法人格によって利用できる債務整理は異なりますが、有限会社の場合は、
- 破産(清算型)
- 民事再生(再建型)
のどちらかを実施するのが一般的です。
破産
破産手続きは、法人格問わず利用できる清算型の債務整理です。
負債が多額に上ったり、経営状態の悪化などの要因で弁済ができなくなってしまった時に行われます。
債務を整理して会社をたたむため、手続きを終えると会社が消滅します。
法人破産の手順は、
- 申立準備
- 裁判所へ申し立て
- 裁判所による破産審尋
- 管財人の選任
- 会社の資産を調査し換価処分
- 裁判所が債権者集会を開催し配当
- 手続きの終結
で行われます。
法人破産の場合、負債の額によって少額管財か管財事件のどちらかで手続きが進められます。裁判所へ納める予納金は、少額管財で約20万円、管財事件の場合で数十万円~数百万円で変動します。
民事再生
事業を継続し再建を目指す場合は、民事再生という制度が利用できます。民事再生とは、実質倒産状態にある会社の資産を残しながら、債務を返済可能な額まで減額する制度です。
民事再生も裁判所で行われるので、弁護士に依頼した方がよいでしょう。
民事再生は以下の手順で進められます。
- 弁護士に依頼し事前準備
- 管轄の裁判所へ再生手続開始申立
- 裁判所が監督委員を選任
- 会社が債権者へ説明する
- 再生手続がスタート
- 債務者と金額を調べるために債権調査
- 会社が持つ資産評価を報告して債務の削減率を決定
- 民事再生後の弁済予定を決める再生計画を提出
- 再生計画が認定されたら計画を遂行
民事再生は、会社や事業が引き続き継続できるという大きなメリットがありますが、破産手続きよりも予納金が高い傾向にあります。負債の総額によって200万円~1,000万円以上にまで上ることもあるのです。
また、代表者が保証人となっている場合は、債務カット分の差額を返済しなければならず、返済できない場合は代表者が自己破産するケースもあります。
有限会社が特別清算をする裏技とは
有限会社は2006年の会社法施行により、新規設立は認められておらず以前からある会社は「特例有限会社」として、会社法上株式会社と同様に扱われています。
有限会社は原則特別清算を利用できませんが、特別清算の方にメリットがあり、どうしても利用したいというのであれば、株式会社に商号を変えることで特別清算手続きを行えます。
まとめ:有限会社は特別清算ができない?有限会社が解散・清算する方法について
有限会社が債務整理をする時、一般的には民事再生か法人破産を選ぶことになります。しかし、商号変更で株式会社にすれば特別清算を利用できるという裏技もあるのです。
もちろん手間がかかりますが、債務整理の費用を抑えたい、債権者からの協力を得られそうという場合には検討してみてもよいかもしれません。
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