特別清算は清算型の債務整理として、経営状態が危機的状況となったときに、株式会社で用いられる方法です。破産手続きや民事再生手続きなどと比較すると、メジャーな方法ではないのですが、特別清算ならではの利点も存在しています。
そこで本記事では、特別清算を利用するメリット・デメリットを中心に解説していきます。
特別清算のメリット
まずは、特別清算にどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
会社が清算人を選定でき手続きを主導できる
特別清算をする時、清算人といって会社の財産の内訳や価値、債務の内容を調査する役割の人がおり、この清算人は会社が選定できます。
特別清算を行うにあたって、解散決議を得なければなりませんが、会社が提携している弁護士や会社の代表者が清算人になることも可能です。
この点においては、破産手続きと違って会社主導で清算できるというメリットがあります。
費用が抑えめ
特別清算の際に必要な費用は、
- 予納金
- 弁護士費用(清算人報酬)
です。
予納金は裁判所へ納める費用で、手続きによってその金額が変わります。
特別清算の場合は予納金の額が低いのが特徴で、
協定型:50,000円前後
和解型:10,000円前後
であることが多いです。
清算人を弁護士に依頼するためには、報酬を支払わなければなりません。経営者が清算人を務める場合は不要ですが、裁判所を通して法的手続きを行うので弁護士に依頼した方がよいでしょう。
対外的なイメージ
基本的に特別清算も手続きが完了すれば、その会社は無くなってしまいますが、親会社が子会社の清算をする時などグループ企業や関連会社は残る例もあります。
そのような時には、破産というよりも特別清算の方がいくらか対外的なイメージはよいかもしれません。
破産よりも手続きがしやすい
債務が多い場合、法人破産は手続きの手間と時間がかかります。
少額管財事件で破産する場合はそれほどではありませんが、管財事件(特定管財事件とも)と言われる手続きでは1年以上かかることも珍しくありません。しかし、特別清算の場合は、管財事件と比較すると短期間で完了します。
特別清算のデメリット
特別清算は他の清算型手続きと比較しても、メリットがあることが分かりましたね。しかし、その一方で少なからずデメリットがあることも知っておきましょう。
限定的な手続き
特別清算は、株式会社しか利用できない手続きです。
上場・非上場は関係ありませんが、近年増えている合同会社や社団法人など他の法人格の場合は、特別清算が利用できないという大きな難点も抱えています。
株主と債権者の同意を得なければならない
特別清算の手続きを進めるためには、株主総会で解散決議を実行し、その後も債権者集会で同意を得なければなりません。
特別清算の申し立てを行っても、債権者に不利益だ、破産の方がよいと判断されてしまえば手続きはできないのです。
否認権が使えない
否認権は、破産時に管財人が持つ権利で不正な行為を否定することができます。
例えば、破産申し立て前に特定の債権者にだけ返済をしていた、財産隠しと思われる行為をしていたという場合に否認権が行使できます。
特別清算では否認権は行使できないため、債権者とのトラブルが発生する可能性もあるのです。
まとめ:特別清算を選ぶメリットと知っておくべきデメリットについて
今回は、特別清算のメリットとデメリットについて紹介しました。
特別清算は破産と比べ、会社主導で迅速な手続きが行えるというメリットがある一方、株式会社でしか利用できず、規定を上回る同意を得なければ実行できないというデメリットもあります。
法的手続きである以上誠実な対応が求められますので、特別清算を行う際であっても最初から最後まで気を配る必要があります。
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