任意整理のために法律事務所に依頼したものの、手続きの途中で気が変わることもあるでしょう。しかし、債権者に通知する受任通知の送付後でも取り下げは可能なのでしょうか?
ここでは、受任通知の送付後の取り下げについて、「信用情報や費用」「取り下げるリスク」など、詳しく解説していきます。
Contents
任意整理の取り下げ(キャンセル)は可能!
任意整理の取り下げは、結論からいうと可能です。
取り下げの手順や、取り下げが可能なタイミングなどについて詳しく確認してみましょう。
債権者への通知も必要
任意整理は法律事務所などとの契約によって進めるため、債務者は契約先に「任意整理を取り下げたい」と伝えることでキャンセルできます。
しかし、受任通知を送付した後では債権者にも債務整理をする旨を伝えているため、債権者へも取り下げたことを知らせなければなりません。これは債務者本人ではなく、依頼を受けた法律事務所や弁護士が行います。
任意整理を取り下げた後は、債務の取り立てや督促が再開するため、返済の用意も必要になってきます。
任意整理を取り下げられるのは和解する前まで
受任通知後に任意整理の取り下げはできると説明しましたが、いつでも可能というわけではありません。債権者との和解が済んでいれば任意整理の手続きが終わったことになるため、この段階では取り下げるといった行為が不可能になります。
受任通知を送付している場合、債権者との交渉段階までであれば任意整理の取り下げができるというわけです。
任意整理のキャンセルに関する4つの疑問
任意整理の取り下げはできたとしても、信用情報や費用はどのような扱いになるのでしょうか。次は受任通知送付後の任意整理取り下げに関する気になる疑問について確認しましょう。
信用情報は元に戻せる?
もっとも気になるのは信用情報ではないでしょうか?受任通知を債権者に送ると信用情報が登録され、新たな借り入れができなくなります。クレジットカードの作成や携帯電話などの購入にも関係するため、日常生活にも深く関係してくる部分です。
通常は、任意整理を取り下げる通知を債権者に送ると信用情報の取り消し手続きも同時に行ってくれます。ただし、債権者の裁量で行っているため、中には取り消し手続きをしてくれないところもあります。
自身の信用情報は、信用機関に申請すれば確認できるので、気になる場合は各信用機関に問い合わせてみるといいでしょう。
依頼料など、すでに支払った費用は戻る?
費用についても気になるところでしょう。任意整理で弁護士に支払う費用には、正式に依頼する際に支払う着手金や、受任通知後に支払う弁護士費用などがあり、事務所によって扱いが異なります。ただし、着手金は一度支払えば返ってこないケースが多いようです。
着手金の必要のない法律事務所などもあるため、契約前に必要となる費用の種類や支払うタイミングなども確認しておくといいでしょう。
キャンセル料は発生する?
キャンセル料金という考えはありませんが、債務整理を取り下げるまでにかかった費用については追加請求される可能性はあります。
依頼した法律事務所の料金体系や、任意整理がどの段階まで進んでいたかによっても変わるため、任意整理の取り下げを依頼する前に確認しておくといいでしょう。別途必要となる費用によって継続か取り下げかを決めるのも1つの方法です。
他の法律事務所に再依頼するのは可能?
任意整理を依頼した法律事務所や弁護士との契約を解除して、他の事務所に依頼したいという人もいるでしょう。受任通知後に任意整理を取り下げた人が、その直後にまた任意整理の手続きに入ることは可能なのでしょうか?
結論からいうと、手続きの上ではまったく問題ありません。
着手金などが戻らない可能性はありますが、何かしら気になる点があるのならば無理に契約を維持せず、安心して手続きを頼める事務所に乗り換える方がいいでしょう。
任意整理を取り下げる前に確認したい取り下げのリスク
受任通知の送付後でも任意整理を取り下げは可能とわかりましたが、費用や信用情報などの他にも問題となることはないのでしょうか?
任意整理をキャンセルして後悔しないように、受任通知後のキャンセルのリスクについても考えてみましょう。
再び任意整理しようとした際に難易度が上がる
一度債務整理を依頼したということは、返済が厳しい状況にあったと考えられます。受任通知によって一度は督促が止まっても取り下げれば元の状態に戻るため、問題は何も解決していません。このまま何も手を打たなければ、生活がより厳しいものになるのは間違いないでしょう。
「やはり任意整理したい」と相談しても、債務状況によっては任意整理が難しくなります。任意整理はあくまでも債権者との和解で成立するため、条件が合致しなければ任意整理の手続きは進められません。
そもそも、弁護士に相談した時点で自己破産などを勧められる可能性もあります。
返済が厳しい状況であるならば、任意整理の手続きは早い方がメリットは大きいでしょう。
債権者が回収に力を入れる
債務整理のなかでも自己再生や自己破産などの手続きは、債権者にとってあまり喜ばしいものではありません。回収できる金額が大幅に減少、もしくは回収できなくなってしまうからです。
一度、受任通知を送付したということは、債務整理をする考えがあるということと同じですので、債権者としては自己再生や自己破産の手続きに備えたいと考えるでしょう。その結果、督促が以前よりも頻繁になったり、訴訟を起こしたりといった行動に移る可能性がでてきます。
必ずしもこのような行動に移るとは限りませんが、債務整理を依頼する法律事務所を変更するための任意整理の取り下げであるならば、早めに次の事務所に依頼したいところです。
まとめ:受任通知の送付後に任意整理の取り下げは可能?気になる疑問を徹底解説!
受任通知を送付した後でも任意整理の取り下げは可能ですが、家族の援助などで返済の目途が立ち任意整理の必要性がなくなった、あるいは依頼する法律事務所を変えたいといった理由ではなく、とくに現状を変える手段がないのならばメリットは少ないように感じられます。
受任通知送付後の任意整理の取り下げはさまざまな影響があるため、よく検討してから決断するのがよいでしょう。