2020.11.25

国が認めた借金救済措置とは?借金の減額・免除方法を徹底解説!

「収入と支出のバランスが崩れてしまい困っている…」
「借金によって自身の生活がままならない…」
このような悩みがあったとしても、借金の悩みはなかなか相談しにくいものですよね?しかし、解決しようにもその方法が分からなければ悩みは解消されないでしょう。

そこで本記事では、債務整理として国が認めている借金の救済措置をテーマにお届けしていきます。

そもそも債務整理(借金救済措置)とは?

債務整理とは、借金の減額や支払いに猶予を持たせることで、借金のある生活から解放させるための手続きのことを指します。

借金が返済できないとどうなる?

借金の返済ができなければ、督促や取り立てが行われます。自分の携帯電話に掛かってくるだけでなく、場合によっては会社の電話に自分宛にかかってくることがあります。

最悪の場合には、強制執行として、給料の差し押さえがされることもあり、そうなれば家のローンや車のローン支払いなど多くの面で支障がでてくるわけです。

借金救済措置を利用して生活を取り戻す

借金の取り立てに不安に過ごす毎日や、なかなか減らない借金があると、前向きに物事を考えるのが難しくなってきます。債務整理は国が認めた救済措置であり、何も後ろめたいことはありませんので、活用を検討しましょう。

債務整理は法律で認められている救済措置

法律で認められている債務整理には大きく3つの種類があります。それは、倒産法、民事再生法に基づき裁判所で手続きを行う「個人再生」「自己破産」、債権者と直接交渉を行う「任意整理」です。いずれの場合も、手間がかかり法律の専門的な知識が必要となるため、弁護士に依頼するのが一般的です。

任意整理について

任意整理は債務整理の中でも、多く用いられる方法でもあります。続いて任意整理について見ていきましょう。

任意整理はどのようなものなのか?

任意整理は金融機関や貸金業者などと、返済計画の見直しや将来利息のカットなどについて交渉する債務整理の手法です。

借金自体は免責されませんが、

  • 将来利息分がカットされる
  • 無理のない期間で返済できるようになる
  • 不正な金利の支払いがないかを確認する(あればその分減額される)

という内容で和解されます。

任意整理は裁判所を通さないため、個人再生と自己破産と比べて手続きの期間が短いのが特徴です。

また、周囲に知られる可能性はほとんどなく、官報公告にも掲載されることはありません。さらに、自己破産のように財産がなくなるわけでもありません。<h2

裁判所で手続きを行うもの

裁判所で手続きする債務整理として、「個人再生」と「自己破産」があります。以下では、それぞれの手続きの特色を説明していきます。

個人再生

個人再生は民事再生法に基づき裁判所で手続きを行い、借金を3年間(5年の場合も)で返済できるよう減額する方法です。

自己破産とは異なり免責はありませんが、その分持ち家や車など財産を手元に残すことができます。(ローン支払い中の車は回収されます。)

借金の理由などで自己破産ができなかったり、「財産はなるべく残したい」「収入はある」といったケースで選ばれることが多くあります。債務整理の中でも手間がかかったり、比較的複雑な基準が設けられていることから利用者は毎年それほどいません。

個人再生をしたことが周囲に知られるか?という点に関しては、官報公告はされてしまうため、可能性は非常に低いが0ではないということが言えるでしょう。

自己破産

自己破産は借金が帳消しになる代わりに、財産が回収されるものです。借金がいくらあれば自己破産できるというものではなく、借金と収入のバランスにより支払い能力の有無が判断されます。

基本的に財産が回収されてしまうため、持ち家の人は家を失ってしまいます。そして、返済できなかった分に関しては保証人に一括請求されることとなります。

ただし、借金の原因がギャンブルや単なる浪費である場合は、基本的に破産が認められない点に注意しましょう。

任意整理(借金救済措置)のメリット

任意整理のメリットは、利息がカットされる点と返済として支払った分はその分だけ減る点です。そして、借金返済のリスケジュールをするものですので、分割払いの期間を延ばしてもらうことが可能です。任意整理が成立すれば利息なしで元本のみを数年間にわたり返済できますので、月々の支払いは楽になります。

また、任意整理は裁判所の手続きを使わなかったり、収入や資産を証明する資料を準備する必要もないため簡易的ですし、割と短期間で借金の返済の筋道をつけられます。

任意整理(借金救済措置)のデメリット

信用情報機関に、債務整理を行った事実が載ります。信用情報機関に登録されると、5年~10年間はローンの利用ができなくなるため、家や車といった高い物の購入や、クレジットカードが使えなくなってしまいます。

個人再生(借金救済措置)のメリット

個人再生のメリットについて見ていきましょう。

取り立てが停止する

他の債務整理手続きと同様に、個人再生の場合も弁護士に依頼することで、債権者に対して受任通知を送付すると、債権者からの直接な取り立てはストップします。債権者からの直接的な取り立てがなくなるだけでも、精神的な落ち着きを取り戻すことが可能です。

自己破産のような制限がない

自己破産の場合は免責が許可されれば、基本的に借金の全てについて支払い義務がなくなり、帳消しになるという大きなメリットありますが、その分のリスクがあります。

それは、財産を処分しなければならなかったり、手続き中は資格を使った仕事ができなかったりといった点です。これに対して、個人再生の場合は財産を必ずしも処分する必要はありませんし、資格制限もありません。

減額・分割払いが可能

個人再生の場合、債務を大幅に減額させられることがあります。借金の総額や資産の状況、そして手続きの選択によっても違いますが、借金の5分の1まで減らせる場合もあります。

減額された借金を長期返済の計画にできる

個人再生は、減額された借金を長期返済の計画としてもらえるため、月々の返済負担を抑えられます。任意整理よりも、毎月の返済額を低額にできる可能性もあります。

裁判手続きである

任意整理は、裁判所を利用せずに債権者と交渉して返済計画に合意するという手続きであり、あくまで示談交渉という形なので法律的な制限が少ないというメリットがあります。

しかし、法的な強制力がない分納得しなければ合意にならないデメリットがあります。

一方個人再生は裁判手続きであるため、債権者も強制力が生じて従わざるを得なくなります。個人再生は債権者の意向に左右されにくいメリットがあると言えます。

自宅を維持できる場合がある

個人再生には、住宅資金特別条項という制度が用意されています。この制度は、自宅の住宅ローンは通常通り支払いつつ、それ以外の借金だけを個人再生手続きにより整理していくという制度です。

住宅ローン以外の借金については個人再生により大幅な減額と長期分割払いが期待できます。

職業の制限がない

個人再生の場合は、資格や職業の制限がないのも特徴です。自己破産の場合には、手続き中、弁護士や司法書士といった士業や生命保険募集人や貸金業者といった金融関連業が制限を受けます。

個人再生(借金救済措置)のデメリット

個人再生のデメリット

続いて、個人再生のデメリットについて見ていきましょう。

返済を継続する必要がある

個人再生では減額された借金を返済していくことが原則となっており、自己破産のように借金の全てが免除されるというわけではありません。そのため、安定的な収入がなくては、個人再生が選べないと言えるでしょう。

個人再生も信用情報機関に登録される

個人再生も自己破産などと同じように信用情報機関に事故情報が登録されてしまいます。

保証人に一括請求される

保証人がついている借金の場合、減額分が保証人に一括請求されることになります。

手続きが複雑

個人再生は、債務整理の中でも最も手続きが複雑であり手間もかかります。手続きには6カ月から1年ほどかかり、裁判所に提出する書類も多岐にわたります。

また、裁判所に提出する再生計画案は、法的な要件を満たす必要があるため、弁護士や司法書士に依頼しなければならず多額な費用が必要になります。

自己破産(借金救済措置)のメリット

続いて自己破産のメリットについて見ていきましょう。

返済義務の免除

自己破産の一番のメリットは、すべての借金に対する免除が挙げられます。

督促が無くなる

自己破産も弁護士に依頼すると、債権者である金融機関などに受任通知を送ることで、督促が無くなります。多重債務者の中には督促、取り立てに大きなストレスを抱えている人もいますが、督促がなくなるだけでも精神的に楽になります。

財産全てを失うわけではない

自己破産は財産全てを失うというイメージを持たれている方も多いですが、実は99万円以下の現金は没収されることはありませんし、20万円未満の預貯金も没収されることはありません。

そしてさらに、ベッドや衣類など生活に必要なものは差し押さえが禁止されています。

具体的には、生活していくのに必要な範囲で財産を残せるものを、自由財産と呼びます。また、賃貸に住んでいる人は追い出されることなくそのまま住み続けることが可能です。

誰でも自己破産が可能

裁判所に支払いが困難であると認められれば、無職でも、専業主婦でも、生活保護受給者であっても自己破産は可能です。

自己破産後の財産は守られる

自己破産後に得た財産は、回収されることなく手元に入ります。収入も得られますので、生活の立て直しが可能です。

自己破産(借金救済措置)のデメリット

続いて自己破産のデメリットについて見ていきましょう。

信用情報機関に載る

自己破産も他の債務整理と同様に事故情報として記載されますので、ローンやクレジットカードの利用はできなくなります。

財産が処分される

借金は帳消しされますが、価値ある財産は処分されてしまいます。

職業が制限される

自己破産手続きを開始すると、免責決定までの間特定の職業に就くことはできません。免責が決定すれば解除されますが信用問題に関わってきますし、特定の仕事ができないということですので、その職業で働いている場合、会社には知られてしまいます。

保証人に迷惑がかかる

支払えなくなった債務に関して、当事者の支払い義務は免除されてもその分の返済は保証人・連帯保証人がしなければなりません。自己破産前には保証人との話し合いが必要になるでしょう。

借金の救済措置を利用するなら弁護士に依頼

借金の救済措置を利用するためには、法律の専門知識がなければ難しいため、基本的には弁護士に依頼してスムーズに事を運ばせます。

例えば、任意整理を自力で行うとして、債権者に借金や利息の減額を交渉するは非常に難しいでしょう。

交渉経験に乏しかったり、専門知識がなくては債権者が応じてくれないことも考えられます。また、同意を得られたとしても、思ったような減額ができなったり、かなりの時間を要してしまうことが考えられます。弁護士に依頼することで、交渉などに際する精神的負担も軽減することでしょう。

個別の弁護士事務所以外の債務整理に関する相談先は、法律上の問題を解決する総合窓口として法テラスが挙げられます。法テラスでは、一定の条件を満たすことで無料相談や弁護士費用の立て替えを利用できます。

その他、カウンセリングなどを行っている日本カウンセリング協会では、多重債務に陥った方に対して、無料の家計再建カウンセリングや債務整理アドバイスを行っています。

書類作成の代行も行ってくれる

自己破産や個人再生といった借金救済措置では、書類の用意や作成が必要になってきますが、それらに慣れている弁護士に依頼することで正確に準備を進められます。

その人に合った救済措置を利用できる

救済措置も複数ありますので、自分では良いと思った債務整理であってもプロの視点から見ると他の選択の方が最適な場合もあります。自分に合った救済措置のアドバイスをもらえる点も、弁護士に依頼するメリットです。

弁護士に依頼するとどのような費用が発生するのか?

弁護士に依頼する場合主に3つの費用が発生します。

  • 相談料…弁護士に相談する際に発生する料金
  • 着手金…弁護士に依頼する際に発生する料金
  • 成功報酬…依頼した案件が成功した際に発生する料金


弁護士事務所により料金は異なりますが、相談料を必要としない弁護士事務所や、着手金が無料となっている弁護士事務所など様々です。また、着手金の分割払いが可能だったり、成功報酬のみのところもありますので、いくつか弁護士事務所を比較することをおすすめします。

個人再生における最低弁済額について

最低弁済額とは、文字通り個人再生において最低限返済しなければならない金額のことをいいます。最低弁済額は、負債の総額に応じた金額で下記のようになります。

借金総額最低弁済額
100万円未満全額
100万円以上500万円未満100万円
500万円以上1500万円未満借金の1/5
1500万円以上3000万円未満300万円
3000万円以上5000万円未満借金の1/10

借金の支払額を減らす他の方法とは?

公的な救済措置の他にも、支払い額を減らせる可能性のある手段として「借り換え」という制度があります。

借り換えとは、現在支払っているものよりも低い金利のローンに借り換えて、トータルの支払い金額を抑えるものです。

似たような制度としておまとめローンというものもありますが、これは「複数のローンをまとめて返済を楽にする」というものです。
おまとめローンは銀行や消費者金融など、金融機関によってルールや扱いが異なります。

救済措置とは違い借り換えやおまとめローンをしてもブラックリスト入りはしませんが、公的な制度と比較すると軽減する金額は少な目です。

まとめ:国が認めた借金救済措置とは?借金の減額・免除方法を徹底解説!

借金の支払いが負担だと感じる方は、本記事で紹介した救済措置の利用を検討してもよいでしょう。

今回の内容をまとめると、

  • 債務整理は借金の減額や支払いに猶予を持たせるための手続き
  • 借金の返済ができなければ督促や取り立てがある
  • 借金の救済措置には個人清算・任意整理・自己破産がある
  • 救済措置の種類により官報公告への掲載有無や財産の扱いが異なる(下記表に記載)

以上の点が重要なポイントでした。表としても下記にまとめます。

任意整理個人再生自己破産
財産について無くならないローンが残っている場合は無くなることがある基本的に無くなる
官報公告掲載無し掲載有り掲載有り
職業の制限無し無し一部の職業で手続き中の制限有り
事故情報掲載有り掲載有り掲載有り
借金の減額将来利息、もしくは減額大きく減額基本的に全額免除

本文中でも紹介した通り、それぞれの制度で異なる基準や要件がありますので、早い段階で弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

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