違法な労働時間を課せたり、給与の未払いがあったり、違法な労働をしているいわゆる「ブラック企業」などでは行政処分が入ることで事業停止処分になることもあります。
しかし、職種によっては基準が厳しくなったことで、事業停止になるハードルが低くなってしまっている現状です。
果たして、事業停止になってしまった会社はどこまで停止する必要があるのでしょうか。
今回の記事では、分かりやすいように職種を限定して、事業停止処分の対象について解説していきます。
事業停止処分は増えている
世の中にはさまざまな職種がありますが、その中でも「運輸事業者」に対して事業停止処分が増加しています。
昔よりも軽微な法令違反に関しては監査を緩める一方で、悪質な違反行為に関しては厳罰化することを定めた行政処分基準の改正が行われたからです。
事業停止処分を受けてしまえば運輸事業者にとって大きな打撃となり、平成28年の1年間に事業停止を受けた業者は21件、平成27年の9件と比較して2.3倍という状況になっています。
事業停止はどこまで対象になるのか
「事業停止処分」という言葉どおり、基本的には「事業の停止」と「施設の使用停止」がセットになっていると考えましょう。
そうなれば、会社を完全に動かすことができなくなります。たとえば、事務所は稼働させないが工場は動かす…なんてこともできません。
有価物は取り締まりを受けない
ここではもう少し詳しく事業停止処分について「産業廃棄物」と「有価物」の両方を取り扱っている会社を例にして確認していきましょう。
もし、産業廃棄物と有価物を2つとも取り扱っている会社が事業停止処分を受けた場合を考えると、産業廃棄物に対する事業は一切動かせなくなります。
処理工程や工場の稼働もすべてストップする必要があるのです。
しかし、有価物の受け入れに関してはストップする必要はありません。法律上、廃棄物に関する法律「廃棄物処理法」は、あくまで廃棄物のみに適用されるものです。
そのため、有価物に関しては取り締まることができません。
産業廃棄物処理法に基づいて事業停止処分を受けたのであれば、有価物の買取事業はそのまま継続していくことができます。
ただし法律上での話である
上記のように、法律上は有価物の買取に影響はありません。
しかし、あくまで法律上問題がないだけであってトラブルが起きないわけではありません。たとえば、産業廃棄物を取り扱う施設で有価物の取り扱いを行っていた場合のことを考えてみましょう。
産業廃棄物処理法によって、産業廃棄物に関する事業が停止したとします。
そのため、施設の使用は停止しなくてはいけません。しかし、有価物の取り扱いで施設を利用したとします。こうなると非常に紛らわしい状態になってしまうのです。
事業停止期間中に施設を動かしているわけですから、当然「事業停止処分を受けているのに何故施設を稼働させているんだ」という言葉が投げかけられると思います。
産業廃棄物事業ではなく、有価物に関しての事業を進めているだけだと説明したとしても「本当に有価物の取り扱いだけで稼働しているのか、廃棄物の処理も隠れて行っているのではないか」と信じてくれないことも普通にあり得ることなのです。
もちろん、事業停止処分を受けているのに産業廃棄物の処理を行った場合、処分内容を意図して破ったものとみなされ最悪「許可取り消し」になる可能性もあります。
法律上は問題ない場合であっても、トラブルの発展やその後に訪れるリスクを考えれば、大人しく施設の稼働をやめておいた方が良いでしょう。
まとめ:事業停止処分になった場合、どこまでが対象になってしまうのか?
今回の記事をまとめると以下のようになります。
- 法律によって厳罰化が進み、事業停止処分になる事業が増えている
- 事業停止処分とは、「事業の停止」と「施設の停止」が含まれている
- 法律上問題ない事業であったとしても、トラブルやリスクを考えたら稼働させないのが良い
事業停止処分は、企業にとって非常に重たい処分であり、運営に大きな影響を与えてしまいます。
ですので、事業停止処分にならないように体制を整えるようにしましょう。そうすることで、トラブルやリスクが無くなり処分を回避できるようになるでしょう。