2020.11.24

「事業停止処分」と「営業停止処分」はどういった点が違うのか

会社を経営している人にとって覚えておくべき知識の中に「事業停止処分」と「営業停止処分」があります。

似たような名称ですがこれにはれっきとした違いがあり、それについて知らない方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、この二つの概要と違いについて解説していきます。

事業停止処分とは

事業停止処分とは、行政から指導され「事業停止」が命じられることを指します。

事業停止処分が下されると、その名のとおり「一切の事業を停止する」必要があります。工場を動かすことも、出社して事務所を開けてデスクワークすら不可能です。

ただし、「業務のための出社」は不可能ですが、「清掃など業務以外の出社」であれば大丈夫なこともあります。社員は自宅待機になることが多いですが、自宅待機中でも給与は発生するものです。

事業停止処分が下されると、「事実上の倒産」ともいわれるくらい重い処分と言えます。

営業停止処分とは

営業停止処分とは、行政庁によって「営業の禁止および営業許可の効力の停止」のことを指します。営業停止処分が下されるケースとしては、対象の企業や会社が事業を行う上で守るべき法律・法令に違反したときなどが多いです。

違反をそのまま継続させないようにするため、そして違反したことを反省させるための制裁となります。

それぞれの各産業法によってどのようなケースが営業停止処分になるかは規定されており、監査や聞き取りを行った上で違法行為が見つかった際に、行政が営業停止処分を下します。

例えば「建設業者」の場合で確認してみましょう。建設業者でよくある違法行為として「不正入札」や「違法建築」「虚偽申請」などが挙げられます。

ただし、これらを行ってすぐに営業停止処分になる場合と、そうではない場合があるのです。このような行為が発覚すると、現在の状況を改善するように「指示処分」が下されます。

この指示処分に従わずに違反を続けた場合、反省の色なしとして営業停止処分が下されるのです。特例として、独占禁止法などの刑法に明確に違反する場合は、指示処分なしでいきなり営業停止処分になることもあります。

事業停止と営業停止の大きな違い

事業停止と営業停止の大きな違いとしては、「社内の業務が行えるか、行えないか」です。事業停止は、前述したとおりすべての業務を停止しなくてはいけません。

工場を動かすことだけでなく、事務所を開けて仕事をすることも不可能です。しかし、営業停止は「経済活動(サービスを行って対価に金銭を貰うこと)でなければ、社内の業務を行うことは可能」という性質を持っています。

例えば、飲食店で食中毒が出たとしましょう。食中毒が起こったということは、その問題がすべて解決するまでは「営業停止処分」として店舗にお客さんを呼んで食事を提供することはできません。

しかし、店舗に残っている在庫整理だったり、今後のための発注業務、新メニューの開発などの裏方業務は行えます。これらは経済活動ではありませんので、特例として認められているのです。

まとめ:「事業停止処分」と「営業停止処分」はどういった点が違うのか

今回の記事をまとめると以下のようになります。

  • 事業停止処分になると、「すべての業務」を停止する必要がある
  • 営業停止処分であれば、「経済活動以外の業務」は行うことが可能
  • 事業停止処分と営業停止処分では、事業停止処分の方が重い処分である

事業停止処分も営業停止処分も、経営者や従業員にとっては非常に困るものです。

大事なことは、絶対に違反行為をしないことです。しかし、やむを得ず違反行為をしてしまった場合、知らずに違反行為を行っていた場合は、必ず「指示処分」に従うようにしましょう。

指示処分を受けて状況を改善するだけで、営業停止処分や事業停止処分にならないことも充分にあり得ます。

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