2020.10.22

2020.10.22

公務員はリストラされることはないのか?

世界的に不安定な情勢が続く中で「リストラのない公務員は気楽でいいな」などと考えたことはないでしょうか。

民間企業を取り巻く環境は厳しいものがあるため、リストラという辛い選択をしないでいい公務員をうらやましく思ってしまうのは不思議ではありません。

しかし、公務員は本当にリストラとは無縁なのでしょうか。ここでは公務員の雇用に関する気になる疑問について解説していきます。

公務員にリストラはないのか?公務員の実情とは

公務員とはどのような立場で、解雇に対する規則などはどうなっているのでしょうか。公務員に関する基本的なことから実情まで、実例を交えながら確認してみましょう。

公務員は法律で保障された身分

公務員は国や地方自治体に属する職員のことで、国民に対して平等に、営利目的ではなく幸せな社会をつくり、支えるために活動する職業といいます。

ポイントは、その身分が法律で保障されていることです。

国家公務員法、または地方公務員法には「職員は、法律又は人事院規則に定める事由による場合でなければ、その意に反して降任され、休職され、又は免職されることはない」と明記されています。通常は本人の意思に反して降格(降任)や休職、免職はないということです。

公務員にもある解雇

公務員に降格(降任)や休職、免職はありませんが、あくまでも「通常であれば」です。公務員でも解雇やペナルティとなる場合があり、正確には、「懲戒免職」や「分限免職」といった処分が下ることもあります。

「懲戒免職処分」は犯罪行為などをした場合に適用されるもので、横領や飲酒運転、痴漢行為などが該当します。

「分限免職処分」は職員として不適切な行為と判断された場合に下されるもので、いわゆる解雇に相当すると考えられます。

具体的には無断欠勤が続くなど勤務に問題がある、仕事を放棄するなど職務態度に問題があるといった行為です。

分限免職処分にはどのような例がある?

では、「分限免職処分」にはどのような例があるのでしょうか。

「分限免職処分」を行った千葉市を例に取り上げてみます。

千葉市は勤務実績などに問題のある職員10人に対し、改善させるための手段としてまず3カ月の研修を実施。9人は改善、あるいは改善傾向にあるとしましたが、50代の男性1人は改善の見込みがないとし、分限免職処分が下されました。

千葉市の例が特別なわけではなく、他の自治体でも処分を下すまでにさまざまな研修やフォローをおこない、処分までに相当の時間がかかっています。これを妥当と考えるかどうかは意見の分かれるところでしょう。

公務員のリストラは異例中の異例

では、リストラはあるのでしょうか。

自治体が民間でいうところの経営難に陥るのはまれですが、経営破綻した自治体は日本にもあります。その唯一の事例が北海道夕張市の財政破綻です。

財政破綻した夕張市は、職員の給与や退職金を大幅に減額し、その結果半数以上の職員が退職しました。これは、事実上のリストラと考えられます。しかし公務員は行政破綻してはじめてリストラの可能性が出てくるため、基本的には「公務員にリストラはない」と考えていいでしょう。

雇用を創出し、経済を支える大きな支柱

公務員にはリストラがなく終身雇用を約束されていると考えることができるため、一見すると不公平な制度にも思えます。

しかし一方で、公務員は経済的に重要な役割も果たしています。不景気であっても揺るぐことのない雇用の創出です。

公務員は行政府や省庁などに所属する国家公務員から、地方自治体の職員、警察官や消防官、福祉関係など、多様で幅広い分野に亘っています。

国民へ行政サービスを行き届かせる役割も大切ですが、多大な雇用を生み出し経済を支える大きな支柱にもなっているわけです。これは、日本経済の安定に役立っていると考えることができるでしょう。

公務員のリストラは行政サービスに混乱を招く

公務員にリストラがあると、国民への平等なサービスに支障も出てくるでしょう。

現在もさまざまな行政機関で人手不足が深刻になっており、必要な場所に支援の手が行き届いていないのが現状です。

リストラが可能になれば、行政は混乱し、国民の不満は増すばかりです。公務員が身分を保障されるのは、それなりの理由があると考えるのが妥当ではないでしょうか。

まとめ:公務員はリストラされることはないのか?

リストラのような辛い決断をする必要のない公務員は、厳しい経営を続ける事業者にとっては気楽な立場にも見えるかもしれません。

しかし現状は自由度が低いため、経営状況や人員に問題を抱えていても解消するのが困難だったり、多くの段階を踏まなければならなかったりします。

保障のない立場は時に辛くもありますが、民間だからこそ経営者の力量をいかんなく発揮できるのではないでしょうか。

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