2020.10.29

倒産の弁護士一任とはどんな制度か?

倒産の手続きをする際、「弁護士一任」と言って対応を弁護士に任せる方法があります。

また、弁護士一任は債権者の対応を任せられるため、経営者は自身の生活のことに集中できるという利点もあります。

この記事では、弁護士一任の倒産手続きについての概要やメリット・デメリットについて解説していきます。

弁護士一任の倒産でお任せできること

まずは、弁護士一任がどのような仕組みなのかについて説明していきます。

弁護士一任とは、会社が事実上破綻している、もしくはそれに近い状態になった時に債務者(会社)と債権者の間に弁護士が入って対応してくれるというものです。

倒産において弁護士一任という正式な制度があるわけではなく、「手続きや対応を弁護士にお任せする」といった意味ですので広い場面で使われます。

弁護士一任による倒産という場合、弁護士が担当する業務は以下の通りです。

  • 金融機関等債権者への対応
  • 裁判所へ破産の申し立て
  • 従業員等の関係者へ対応
  • クレーム対応

次からは、弁護士に一任するメリットについて解説いたします。

弁護士が窓口になってくれる

弁護士に対応を一任することで、対応するのが債務者から弁護士に移ります。法律のプロフェッショナルであり経験豊富な弁護士が対応してくれることで、正確に手続きが進められるでしょう。

当事者である経営者は事業停止状態になったことで余裕がなくなることもありますので、そのような諸手続きを任せられることで、他に対応しなければならないことに集中できます。

債権者に通知してくれる

担当弁護士に倒産の手続きを委任して、金融機関などの債権者に債務整理を始めたことを知らせる「受任通知」を送ります。そうすると、催促の停止やデータ開示要求ができるようになるのです。

また、債権者からの問合せの窓口も弁護士になるため、債務者の精神的負担が軽減されます。

簡単に弁護士一任してはいけない?知っておきたいデメリット

弁護士一任することで手続きの手間が少なくなったり、債務者の負担も抑えられたりするなどのメリットがあることが分かりました。

その一方で、事前にリスクやデメリットがあることも知っておきましょう。

タイミングに注意が必要

弁護士一任した時点では、破産申立てはできていません。事実上倒産状態であるということを通知してから破産申し立てに入ってしまうと、債権者と何らかのトラブルが生まれる可能性もあるのです。

法律上、弁護士が受任通知を送ると債権者は直接取り立てを行えなくなります。しかし、債権者によっては受任通知を受け取ったことで、その会社に直接訪れる可能性もあります。

その上で言い争いなどなにかトラブルが起こったり、その心配をしなければならないというリスクもあるのです。

しかし、個人的なトラブルに対しての対応は弁護士によって異なります。クレームや言いがかりなどにも対応してくれる弁護士もいれば、それらは業務外である場合もあります。

倒産を決めた時は、とにかく早く手続きを終わらせたいと急いでしまうこともありますが、スムーズに進めるためには破産申し立ての準備を進めつつ頃合いを計ることも大切です。

お金の確保をしてから一任すべき

受任通知を金融機関が受け取ると、自分の意志で返済することはできません。債務整理など手続きを踏むのを待たなければならないのです。

また、借入もできないので生活のために収入を得る必要がありますし、銀行から借入していた人に貯金がある場合は引き出すこともできません。

例えば、受任通知送付のタイミングが悪く給与や報酬の振り込み日に口座が押さえられてしまうと、生活費が確保できないということも考えられます。

まとめ:倒産の弁護士一任とはどんな制度か?

倒産時に弁護士に一任するのは、債権者と直接交渉しなくて良い必要な手続きを任せられるというメリットがあることが分かりました。

ただ、デメリットとして債権者とのトラブルや、資金のロックなどのトラブルも起こりうるのでタイミングには気を付けましょう。

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