2020.10.30

不動産を売却したときの「所得税」や「分離課税」について

私たちの生活においてさまざまなものに税金は課せられていますが、不動産の売却についてもそれは同様で、収益があればそこに所得税がかかってしまいます。

しかし、不動産売却にかかる税金について詳しい人は少ないのではないでしょうか?

そこで本記事では、個人が不動産を売却したときの「所得税」や「分離課税」について解説していきます。

所得税の総合課税と分離課税について

所得税の課税方法には「総合課税」と「分離課税」の2つの方法があります。

所得税の総合課税とは、個人が給与や事業で得た収入に対して課せられる税金のことで、あらゆる収入を合算し、必要経費や基礎控除を差し引いた金額に対して計算されるものです。

所得税の分離課税とは、他の所得と合計せずに独自の税率で税金を計算されるものです。

不動産売却の所得税は「分離課税」

不動産を売却して得た収入は「譲渡所得」に分類され、一時所得として単独で課税される「分離課税」が適用されます。

つまり、継続的に得ている給与や事業収入とは合算されないということです。

しかし、同じ不動産から得る収入でも、投資を目的としたものから継続的に得る収入については分離課税が適用されず、駐車場や賃貸物件などを所有してそこから収益を得ている場合は「不動産所得」に属します。

不動産売却でかかる所得税の計算方法

続いて、個人が不動産を売却した場合に課せられる所得税の計算についてみていきましょう。

先述した通り、不動産譲渡にかかる所得税は分離課税ですので、単独で計算します。

所得税は利益部分について課せられる

所得税の課税対象となる利益は、下記計算式で算出されます。

  • (売却で得た金額)−(取得費用+売却にかかった費用)

こちらで導き出された金額に、税率を乗じて所得税が決定されます。

住居として用いた不動産を売却する場合は、「所有していた期間が5年以下であるのか、それを超えているのか」によって税率が異なり、長く所有していた方が税率は低く設定されています。

ちなみに、居住用の不動産の売却について、一定の条件を満たせば3,000万円の控除が受けられる特例制度がありますので、今回の譲渡が条件を満たすかどうかを確認してみるとよいでしょう。

所得税は確定申告によって収める

所得税は、確定申告にて収めることとなりますが、不動産の売却をすれば自動的に計算されたり、税務署から何かしら連絡が来たりするものではないため、自己申告での対応が必要です。

自己申告ではありますが納税は義務であり、失念していて期限までに納税ができていないなどであれば、延滞利息の対象となりますのでくれぐれもご注意ください。

不動産売却の所得税で適用される分離課税のメリットとは?

一見、損であるかに感じる分離課税制度ですが、実際には大きなメリットがありますので、続いて見ていきましょう。

分離課税は税負担を抑えることができる仕組みになっている

住居として使用していた不動産などを売却して収入を得るのは、継続的なことではありません。

もし、分離課税でなかったとしたら、継続して得ている給与収入などに、その年だけ不動産収入が乗せられることになります。

所得税は所得額の大きさに準じて税率が異なり、所得額が大きくなれば税率があがりますので、高額な不動産譲渡額を合算してしまえば、税負担は一気に大きくなってしまうでしょう。

つまり、通常の所得と一時的な不動産譲渡所得を切り離しておくことで、税負担を抑えることができる仕組みとなっているということです。

まとめ:不動産を売却したときの「所得税」や「分離課税」について

いかがでしたか?今回は、個人が不動産を売却したときに課せられる税金をテーマに、「所得税」と「分離課税」について解説してきました。

個人が不動産を売却して得た収益にかかる税金は所得税に分類されますが、通常の給与や事業収入とは合算されることのない分離課税となっています。

税控除等が受けられる可能性もありますので、しっかり確認しておくと安心でしょう。

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