2020.10.30

自己破産時の不動産売却のタイミングや注意点ついて

債務者が、経済的破綻をした場合の選択肢に「自己破産」という清算方法があります。

そして家屋や土地建物をもつ債務者が自己破産をしたときには、破産の前または後にそれらの不動産を処分することとなります。

しかし、自己破産というのはほとんどの方が経験されないことなので、不動産売却について知らない方が多いのではないでしょうか?

そこで本記事では、自己破産時の不動産売却についての注意点と、適切な売却のタイミングについて解説していきます。

自己破産における不動産売却で注意すべき点

経済的な理由で自己破産を希望する場合に、まず考えるべきことのひとつが自己不動産の取り扱いについてです。

自分名義の家や土地、建物があればそれらの処分を検討しなければなりませんので、まずは注意すべき点から見ていきましょう。

破産時の不動産の売却で注意すべきこと

まず、破産手続きに入る前に売却手続きをするのであれば、「安く売却しない」「売却で得た資金を理由がつくこと意外に使用しない」ということを頭においておきましょう。

もし安い金額で売却すれば、債権者への配当が少なくなります。そして相場からかけ離れた金額での売却は、破産後に売却の効力を否定されることがありますので注意しましょう。

また、破産前の不動産売却で得た資金は、破産の手続き費用など正当な理由についてのみ使えます。それ以外の資金にあてることは、先と同様に債権者の不利になりますので、否認されてしまいます。

自己破産後の不動産処分について

自己破産後の不動産の売却処分は、選任された破産管財人が行います。ただし、住宅ローンが残っていて、その額が時価相当額を大きく上回っているなどであれば、自分で売却手続きをすることになります。

このパターンであれば、買い手がつかず売却が難しいことが多いので注意しましょう。

不動産の売却を自己破産前に行うメリット

不動産を所有したまま破産した場合、破産後は土地建物などの売却処分の権利は、破産管財人に移ります。すなわち、一部の事由があるときをのぞいて、自分で不動産を売却できなくなるということです。

不動産等は、破産前に売却処分することが可能で、こちらはいくつかのメリットがあります。

そのメリットとして、

  • 売却して得た資金を破産にまつわる費用の支払いにあてることができる
  • 売却して得た資金を今後の生活立て直し分として残すことができる
  • 破産後に売却するよりも高く処分できる

などが挙げられます。

破産申し立てには、弁護士費用や手続き実費が必要となりますが、破産前に不動産を売却して捻出すれば、その中からこれらの費用をまかなうことができます。

また、自己破産後の生活立て直し費用として、100万円未満、99万円までが認められていますので、その分については売却で得た費用から確保することができます。

ただし、不動産売却で得た利益を先述の認められたもの以外に使用すると、破産が認められなくなったり、場合によっては詐欺罪が適用されますのでご留意ください。

自己破産手続きの流れと不動産売却のタイミング

続いて不動産売却を踏まえた自己破産の手続きについて、その流れを見ていきましょう。

まず、破産前に不動産等を自分で売却するのであればそれを実行した後に、破産手続き開始の申し立てをします。

裁判所は申し立てを受けてから破産手続きの開始を決定し、ここで破産管財人が破産者の不動産等の財産を売却することで売掛債権を回収します。(問題があれば否認権が行使されることがあります。)

その後、債権者集会を経て配当が実施されて、破産手続きの終結が決定されます。

まとめ:自己破産時の不動産売却のタイミングや注意点について

いかがでしたか?今回は、自己破産を実行する際の手持ち不動産について、取り扱いの注意点や売却のタイミングについて解説しました。

記事内にもありましたように、不動産は破産手続きの前に処分することで、手持ち資金を残すことができるなどのメリットがありますのでおすすめです。

しかし、定められた範囲を超えて売却した費用を使用したり、債権者の不利になるような場合は、売却が否認されることや、罪に問われることがありますので十分に注意しましょう。

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