債権者破産は、文字通り債権者が破産申し立てを行って債務者の債務整理を促すものです。ただ、自己破産や通常の法人破産とは異なる要件や手続きが必要になってきます。
そこで本記事では、債権者破産申し立ての手順と要件などについて解説していきます。
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破産手続を開始するためには要件が必要となる
破産手続きを行う際の要件は、
- 破産手続きを行う原因があること(支払い不能・債務超過)
- 破産障害事由がないか
が必要となります。
破産障害事由とは、予納金が納付されていなかったり破産以外の債務整理が行われている、といった破産手続きをスムーズに行えない理由のことを指します。たとえば、民事再生手続きや会社更生など他の手続きをしているときは、破産手続きは行えません。
ただし、これはあくまでも債務者が破産手続きをする時の要件です。債務者による破産のように債権者と債務者の名簿・資産の目録・登記簿謄本・取締役による同意書を、債権者が準備するのは困難です。
債権者が破産申し立てするための要件には、「破産手続開始の原因となる事実の疎明」があります。疎明とは、法律用語で「(確信まではいかなくても)裁判官が確からしいと考え得る程度の証拠」のことを指します。
決定的な証拠は申し立て後に管財人が調査しますが、申し立て手続きの時点である程度疎明が必要となります。
事実の疎明とは何をすればよいのか?
では、事実の疎明とは具体的に何をすればよいのでしょうか。
負債
債務者の負債の疎明が必要となりますが、債務者が不動産を所有している場合は、登記事項証明書を手に入れて、その不動産の抵当内容から負債疎明を行うことが多いようです。
資産
債務者の資産疎明は、負債の時よりも難易度が高いもので、債務者が協力してくれるのであれば手っ取り早いのですが、全面的に協力してくれるのは非常にまれなことです。
そこで、裁判所から債務者に対して財産開示手続きをしてもらうという方法があり、その場合には、債権名義が必要となります。
債権者破産申立方法の手順は自己破産とは違う?
債権者が破産申し立てをする場合の手順は、以下のような流れで行われます。
- 債権者が疎明するための情報を集める
- 管轄の裁判所へ申し立てを行う
- 予納金を支払う
- 裁判所からの審尋を受ける
- 保全処分(債務者の財産を仮差押え)
- 破産手続開始決定
- 管財人が裁判所から選任され債務者の財産を換価処分
- 債権者へ配当
大まかな流れは自己破産と変わりませんが、疎明するための情報収集や予納金の支払い、債権者も審尋を受けるなど通常ではない手間も増えます。
また、審理にかかる時間も自己破産の数倍はかかるとされています。債務者が破産した場合は申し立てをしてから破産手続き開始決定まで、1週間から2週間程度ですが、債権者破産の場合は数ヵ月単位で時間を要する事例もあるようです。
予納金は申し立てをした人が支払う必要があり、債権者が申し立てたとしても、債務者の負債額によってその金額が変わり、100万円以上かかるケースもあります。しかし、破産手続きが始まって債務者の財産が十分確保できたら、金額の一部(または全額)が返ってくる可能性もあります。
ただし、換価可能な財産がそれほどない場合は管財人報酬が優先され、予納金や債権が回収できないということも十分考えられるのです。
また、他にも債権者がいる場合は申し立てをした債権者だけを優先せず、公平に扱われます。
まとめ:債権者破産を行う要件と手続きの方法について
いかがでしたか?今回は債権者破産がテーマでしたが、債権者破産を申し立てるためには、疎明をする必要であるということでした。
疎明は手間と時間がかかり申し立てするにも支払いがあるため、債権者破産をする場合は、慎重を期して行動しましょう。