2020.12.8

債権者破産における免責まわりについて!知っておくべき注意点

破産をすると債務者の債務が免責されて支払い義務は消滅するのですが、債権者が破産申立を行う場合には、免責はどのように扱われるのでしょうか?

債権者が債務者の免責を進めるとはなかなか想像し難いですが、本記事の中で債権者破産における免責について解説していきます。

免責許可について

債権者破産は非常に珍しいケースですので、まずは、通常の破産手続きにおける免責についておさらいしましょう。

実は、破産手続き自体は債務の整理を行っただけで、債務の弁済義務自体は消滅していません。裁判所から免責許可決定を受けて初めて、返済義務が無くなりその後の生活の更生が望めるのです。

そのため自己破産の申立書は、破産手続きと免責手続きが一緒になっています。個人が破産手続きをして免責を希望する場合、別々に申し立てを行う必要はありません。

ただ、免責が適用されるのは個人の破産で、法人破産の場合はこれにあてはまりません。法人破産の場合は免責制度というものはありませんが、債務整理を行い法人が消滅することで残債の支払い義務はなくなります。

つまり法人破産の場合は制度としての免責はなく、法人の消滅により実質免責状態となるのです。そして、個人で債務の支払いが免責されたからといっても、非免責債権に分類されるものの支払い義務は破産後・免責後も残ったままです。

非免責債権は、税金・罰金・養育費などがあり、慰謝料等は免責される可能性があります。

債権者破産の場合は免責申立を行えない?

債務者が申し立てた破産手続きでは、免責手続きも同時に行われるということが分かりました。しかし、債権者が破産申立を行う場合、免責手続きはできません。

債権者が行えるのは破産手続きの申し立てのみで、破産法第248条第4項破産と免責の同時申立は適用されないのです。

そのため債務者が破産手続きに応じても、免責手続きは債務者自身が行うことになります。免責の申立には期限が設けられており、破産開始決定後1ヵ月までに免責許可の申立が必要となります。

そして破産手続き開始後であっても、債権者は免責手続きをできません。

債権者からすると免責にはそれほどメリットはない

債権者からすれば、免責という制度自体にそれほどメリットはありません。債務整理をした後に債権を回収できるほどの財産があるという保証もありませんし、申し立てをしたからといって、その債権者が優先して配当してもらえるという仕組みはないのです。

むしろ、債権者が申し立てを行うことで弁護士費用や予納金など、支払いが増え負担が大きくなってしまいます。債権者破産は債権回収というよりも、きちんと対応しない債務者や財産隠しの可能性がある場合など、きちんと法的処理をすることが優先されるケースに選ばれることが多いようです。

税制面ではサービサーへの売却が有利?

債権者破産申立のメリットとして、不良債権を損失計上可能というものがあります。債権者が債権回収会社(サービサー)へ債権を譲渡した場合は、債権者は無税償却が可能です。

サービサーへの債権譲渡は、債権額よりも安い値段で行われます。債権額と譲渡額の差額を売却損として、無税償却できるのです。

このような方法があることを考えれば、わざわざ時間とコストと手間をかけて債権者が回収のために破産手続きを行う利点は、それほどないでしょう。

まとめ:債権者破産における免責まわりについて!知っておくべき注意点!

債権者も破産申立は行えるものの、免責申立を行う権利はありません。もし仮にできたとしても、債務者が免責をすることは債権者の利益には繋がらないことです。

債権者破産を検討されている方は、手間と時間がかかる方法だと理解された上で、行う覚悟が必要になるでしょう。

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