会社を経営していると、自然災害などにより資金繰りが悪化してしまい、その対応に追われることもあるでしょう。この際、クレジットカードのキャッシングを利用したり、消費者金融を利用したりする経営者の方も少なくありません。
最終的に、借入により会社が破綻せずに全額返済できれば問題ありませんが、返済できなくなってしまった場合には、金利の高いローンが残ってしまいます。
このような中で、八方塞がりの状態でよく耳にされる破産という選択肢がベストとは限らず、民事再生という選択肢も存在します。
そこで本記事では、民事再生と債権者集会について解説していきます。
そもそも民事再生とは?
そもそも民事再生とは、民事再生法に基づく裁判の手続きの一種になります。
これは、会社債権者(利害関係者)などの多数同意のもと再生計画を策定・遂行することによって、利害を適切に調整しながら会社事業の再建を図ることを指します。
つまり、業務を継続しながら再生計画案を立案し、債権者の多数決による決議で再生計画案を採択して実行するということです。
倒産法には清算型・再建型の2種類が存在しますが、民事再生法は再建型の基本となる法律となっています。
民事再生手続の流れを紹介
民事再生手続の流れは、以下のようになっています。
- 再生手続申立:法人を管轄している裁判所にて申立書類を提出して予納金を納付する
- 再生手続開始決定:申立から2週間ほど経過後、民事再生手続開始
- 財産目録、賃借対照表・債権認否書の提出:再生手続開始決定から約1ヶ月後に会社の財務・負債額の計算のために財産目録・賃借対照表を裁判所に提出する
- 再生計画案提出:再生手続申立してから2〜3ヶ月程度で再生計画案を裁判所へ提出する
- 債権者集会開催及び民事再生決議:再生計画案を裁判所に提出後、債権者集会を開催し、債権者全員から再生計画に関連する決議を得る
- 再生計画の遂行及び終結:再生計画が確定したら債務者は弁済など、計画の遂行に着手する
民事再生手続は上記のような流れとなっており、5ヶ月程度で終了することがほとんどです。
債権者集会において債権者の半数以上の賛成によって可決されますが、万が一可決しない場合には自動的に破産へ移行します。
そのため、債権者の賛成を得られる再生計画案を提出する必要があるのです。
民事再生を検討した方がよい会社とは?
民事再生を検討した方がよい会社とは、一体どのような会社なのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
まず挙げられるのは、一部の債権者が私的整理に反対しているケースです。私的整理では、すべての債権者の同意が必要になりますので、反対があれば私的整理が成立されないため民事再生が検討されるでしょう。
(私的整理とは、債務者・債権者の合意に基づいて事業の再建を行う手続きのことを指します。)
次に挙げられるのは、資金繰り破綻が目前に迫っており、すでに差し押さえが行われているケースです。民事再生を申立することにより、差し押さえられた金額を資金繰りにまわすことができます。
まとめ:債権者集会における民事再生とは?基礎知識や流れを紹介
いかがでしたでしょうか?
民事再生法とは経済的に窮境にある債務者について債権者の多数同意を得て、裁判所の認可を受けた再生計画を定めることにより、
- 当該債務者と債権者間の民事上の権利関係を適切に調整
- 債務者の事業や経済生活の再建
することを目的とする法的な手続きです。
民事再生手続きでは、債権者集会において債権者の半数以上の可決が必要となり、万が一否決となった場合には再生手続は廃止とされて終了し、破産手続に移行することとなりますので、その点を覚えておきましょう。