少子化が進んでいる今、社会的に労働力が不足して企業の人手不足倒産を招いています。人手不足倒産という言葉が一般的になった今でも、そのメカニズムはあまり知られていないと言っても良いでしょう。
この記事では、なぜ人手不足倒産が起こってしまうのか?そのメカニズムを具体的な例を挙げながら解説していきます。
人手不足倒産のメカニズムの例
人手不足倒産は、実際には人手が不足しているのではなく、資金的な理由で倒産してしまうことが多いです。ここでは、大きな公共事業が行われる時に発生した人手不足倒産を例として、話を進めたいと思います。
公共事業が発注される
一般的には多くの人員が必要な大きな事業ほど大手事業者が発注を受け、下請け会社に業務を委託するものです。10億円の報酬で1,000人の人員が必要な工事が発注されたと仮定しましょう。
大手事業者か下請け会社に業務を依頼する
大手で数十人の人材を用意して作業の監督を実施し、実際に作業を行う1,000人の人員は下請け会社に委任します。この流れが多くの公共事業などで行われている仕組みです。一般的には、その下請けが更に孫請けを用意するなど、非常に多くの企業が関わり合って一つの事業が進められます。
ここでは分かりやすくするために、孫請けではなく下請け会社を対象とします。
下請け会社が人員を追加する
多くの人員が必要な場合ほど業務を請け負った下請け会社も本来の人員では対応ができず、追加人員を一時的に雇用するなどの方法で業務に対応できるようにします。
下請け会社の資金繰りが困難になり倒産する
下請け会社は急遽必要な人員1,000人を雇ったとしましょう。業務が始まったばかりでも、下請け会社の1,000人の人員は当然のように賃金を求めますが、下請け会社にはすぐ報酬が手に入りません。
また大手事業者が10億円の報酬を発注者から受け取ったとしても、すぐに下請けまで報酬が回らないでしょう。下請け会社の方で報酬を得るまでの期間、1,000人分の賃金を支払いができなければ、下請け会社の経営はすぐに苦しい状態に陥ってしまいます。
下請け会社が倒産する
賃金の支払いができなければ、会社の経営はすぐに傾きます。無理に資金繰りをして一時的に倒産を凌いだとしても、簡単に状況が良くなることはないでしょう。状況が改善されなければ、下請け会社が倒産は避けられない状態になってしまうのです。
人手不足倒産のメカニズムを考える
先ほど紹介した人手不足倒産のメカニズムでは、人手不足で倒産をしたのではなく賃金の支払いが困難で倒産したと感じられるかと思います。いわゆる「黒字倒産」に似たものがあるでしょう。しかし、こちらの例も「人手が不足して人員を増やした結果、賃金が支払えなかった」という人手不足倒産の原因に当てはまります。
今回の例では報酬の流れに発生するタイムラグが倒産の理由ですが、実際には報酬が支払われたとしても多額の中間マージンが発生し、同じ結果につながってしまう場合もあります。また、人手不足倒産の原因は非常に多岐にわたるため、この事例以外のメカニズムも考えられるでしょう。
まとめ:人手不足倒産のメカニズムについて例を挙げて解説!
今回は、具体的な例を用いて人手不足倒産のメカニズムを説明しました。人手不足倒産は、単純に人手不足のみが原因で起こるものではないことが分かったと思います。
一言で人手不足を理由とした倒産と言っても、多くの原因が絡み合っている可能性があることを理解しておきましょう。
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