2020.12.9

過去に免責を受けているとどうなるのか?免責不許可事由があっても免責される場合

自己破産の申請を考えるときに気になることのひとつが、過去に免責を受けていても、「再び免責が受けられるのかどうか」ということと、もし、「免責不許可となった場合にはどうなるのか」ということです。

裁判所に自己破産を申請しても免責が認められなければ、債務はそのままになってしまいます。

今回は、「過去に免責を受けた人が再び受けることができるか否か」と、「免責不許可事由があっても免責が受けられる場合」について解説します。

免責不許可事由とは?過去に免責を受けていたらどうなるのか?

正当な手段で債務や借金の返済が難しいときに自己破産で免責を受けて、それらを免除してもらうという方法があります。

ただし、自己破産を申請すれば、必ず免責が受けられるということはなく、免責不許可事由があればそれは退けられてしまいます。

もし、すでに免責を受けた過去があれば、それは免責不許可事由になることがあり、その詳細は「免責制度に関わる政策的類型」という項に記されています。

それでは、免責制度に関わる政策的類型の「7年以内の免責取得」についてくわしく見ていきましょう。

7年以内の免責取得等

破産法第252条第1項第10号には次のように定められています。

・次のイからハまでに掲げる事由のいずれかがある場合において、それぞれイからハまでに定める日から7年以内に免責許可の申立てがあったこと。

イ 免責許可の決定が確定したこと  当該免責許可の決定の確定の日

ロ 民事再生法 (平成11年法律第225号)第239条第1項 に規定する給与所得者等再生における再生計画が遂行されたこと  当該再生計画認可の決定の確定の日

ハ 民事再生法第235条第1項(同法第244条 において準用する場合を含む)に規定する免責の決定が確定したこと  当該免責の決定に係る再生計画認可の決定の確定の日

これは、7年以内に免責など強い効力をもつ個人再生のための免責を受けたのであれば、二度目は認めないとしているものです。なお、この免責不許可事由は、7年以内と規定されていますので、前回の免責から7年を超えていれば免責が再び得られる可能性はあります。

免責不許可事由があっても免責される場合とは?

自己破産で免責を受けるときに不許可事由があれば、それは退けられると定められていますが、不許可事由があっても免責が認められることもあり、これを裁量免責といいます。

・前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。(破産法 第252条 第2項)

これは、免責不許可事項に該当することがあったとしても何かしらの事情を考慮し、裁判所が裁量で免責をすることが妥当と判断すれば、免責が受けられるということです。

例えば、免責不許可となった事由が非常に軽微であった場合や、申請した本人が現状と過去を十分に反省し更生に前向きである場合などがこれにあたります。

反対に、意図的に説明責任を果たさなかったり、申請の前後もギャンブルで多額の借金を作るなどであれば、裁量免責が受けられる可能性は低いでしょう。

まとめ:過去に免責を受けているとどうなるのか?免責不許可事由があっても免責される場合

自己破産での免責について、「過去に免責を受けていたらどうなるのか」、また「免責不許可事由があっても免責が受けられるのはどのような場合か」について解説しました。

免責の不許可事由は定められていますが、事情などによっては不許可事由があっても免責が受けられることがあります。

これらは個々のケースによって異なりますので、事前に法律の専門家などに相談すると安心です。

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