2020.12.9

自己破産が認められない!免責不許可事由とは?

経営者の皆さんは、万が一の時に備えて自己破産の知識はお持ちですか?自己破産の基礎知識として覚えておくべき言葉に、「免責」というものがあります。

この免責は申請すれば必ず通るというものではなく、免責が認められない場合もあるのです。

そこで今回は、免責の意味から免責が認められない「免責不許可事由」まで解説していきます。

免責不許可事由にはどのような種類があるのか?

自己破産をする理由は、借金や債務の責任を免除してもらうことにあります。これを免責といい、裁判所の許可決定によって受けることができます。

免責は自己破産を申し立てることで与えられますが、申請すればいかなる場合でも認められるというものではありません。

定められた事由を持つ自己破産申請者については、それが認められないことがあるのです。

自己破産の申請で免責が認められない事由には、

  1. 破産債権者を害する行為
  2. 破産法上の義務に違反する行為
  3. 免責制度に関する政策的な行為

があります。

それぞれについて詳しくみていきましょう。

免責不許可となる事由①破産債権者を害する行為

自己破産の免責が受けられない事由である破産債権者を害する行為とは、次のことをさします。

不当な破産財団価値減少行為債権者に引き渡すはずの財産(換価の対象になる財産)について、誰かに譲る、安く売却する、損壊などして、その目的をもって債権者に損害を与えた場合。
不当な債務負担行為ヤミ金から借金したり、カードで買い物をしてそれを安価な料金で売るなどの行為を、破産手続きを遅らせる目的で行った場合。
不当な偏頗行為ほかの債権者には支払いをしていないのに、家族や知人など特定の債権者だけに支払いをしたり、担保を与えるなどした場合。ほかの債権者の権利を邪魔する目的で同様のことを行った場合もこれにあたります。
浪費または賭博その他の射幸行為収入に見合わない高額なものを買うなど浪費して借金を増やしてしまった場合や、パチンコなどのギャンブルや株式取引などで財産を失ったり、借金を負った場合。
詐術による信用取引自己破産の申し立てを行う1年前の日から、実際の破産手続き開始決定日までの間で、すでに自分が破産申し立てをする可能性を了解していながらそれを隠して、ローンなどを組んだ場合。借金があることを申請せずにローンを組んで車を買った、などがこれにあたります。
業務帳簿隠匿等の行為事業についての帳簿を改ざんしたり財産状況を隠すための行為をとった場合など。これについては、私文書偽造とされ刑事処分の対象となる可能性があります。
虚偽の債権者名簿提出行為債権者に迷惑をかけるという意志をもって、架空の債権者を名簿に記載したり、特定の債権者だけ名簿に載せないなどして、その名簿を裁判所に提出した場合。

免責不許可となる事由②破産法上の義務に違反する行為

裁判所への説明拒絶・虚偽説明裁判所の調査に対して説明を拒んだり、嘘の証言をした場合。
管財業務妨害行為破産管財人が職務を遂行しようとすることについて、暴力などを用いてその行為を妨害した場合。
破産法上の義務違反行為破産手続きをするにあたって、それを申請した人に発生する義務に従わなかった場合。破産について事情説明を求められているのに従わないなどが、これにあたります。

自己破産の免責が受けられない事由、破産法上の義務に違反する行為とは次のことをいいます。

免責不許可となる事由③免責制度に関わる政策的な行為

自己破産の免責が受けられない事由、免責制度に関わる政策的な行為とは次の通りです。

  • 7年以内の免責取得:過去7年以内に免責を受けていたり、法律上の保護を受けるなどがあった場合は、免責が認められないとするものです。

まとめ:自己破産が認められない!免責不許可事由とは?

いかがでしたか?今回は、自己破産が認められない免責不許可事由について、その性格別に分けて解説しました。

裁判所によって自己破産が認められると、借金などの債務責任が免除される免責を与えられますが、不許可事由があった場合は退けられることになります。

自己破産の申請を行う前に、自身の状況について確認しておきましょう。

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