2020.12.9

債権者を害する事由である換金行為とは?〜免責不許可事由〜

借金や債務の返済が難しくなったときの手段として自己破産があり、自己破産を申請して免責が認められると、借金等の債務責任から免除されます。

しかし、自己破産を申請すれば必ず免責が認められるということではなく、免責不許可事由とよばれる事由を有すれば、不許可となります。

今回は、免責不許可事由のひとつである「債務負担・換金等行為」について解説していきます。

免責不許可事由:債務負担・換金等行為とはなにか

自己破産の申請をしても免責が認められない事由のひとつに「債権者を害する事由」があります。

債権者を害する事由とは、自己破産を申請した破産者は、自分の財産を隠したり、第三者に譲り渡すなどすることが禁じられていますが、それを破った場合のことをいいます。

通常であれば、自己破産を申請した債務者は、免責を受けて借金がなくなる代わりに、生活に必要なものをのぞいた資産を差し出さなければなりません。差し出された資産は換価処分されて、債務者に配当されます。

自分の財産を隠すなどした場合は、この対処に背くことになりますので、免責が受けられないと判定されます。

「債権者を害する事由」のひとつ、「債務負担・換金等行為」について詳しく説明していきます。

著しく不利益の条件での換金行為①クレジットカード

<破産法:第252条第1項第2号>

破産手続の開始を遅延させる目的で,著しく不利益な条件で債務を負担し,又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。

ここに定められた、「信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと」についてみていきます。

これはクレジットカードなど使って物品などを購入して、それを安価で転売し現金を得るという意味です。

例えば、債務者である自己破産申請者が、クレジットカードを使い20万円の電化製品を購入して、それを5万円で販売し現金を手に入れた場合などがこれにあたります。

クレジットカード会社は商品購入代金を立て替えて、販売者に支払い後に購入者に代金を請求しますが、購入者に免責が成立したのであれば、その請求はできませんのでそのままクレジットカード会社はマイナスとなり、一方の債務者は5万円を得たことになります。

このような事態を防ぐために、免責不許可事由に定められています。なお、状況や理由によってはこれら一連の行為は詐欺罪となることがあり刑事罰の対象ですので、ご留意ください。

著しく不利益の条件での換金行為②高金利の借金

先述の破産法:第252条第1項第2号、「著しく不利益な条件で債務を負担」についてみていきます。

これは、常識外の利息で借り入れをしたことをいい、ヤミ金融などからの借金のことで、免責が認められない事由のひとつとなります。

なお、ヤミ金融からの借金は、免責を受けたとしても関係なく取り立てなどを受けることがありますので利用には十分注意が必要です。

破産手続きの開始を遅延させる目的の行為とは?

先述の破産法:第252条第1項第2号の冒頭に定められた「破産手続きを遅延させる目的」についてみていきます。

例えば、既に抱えている債務によって身動きができない状況であるにも関わらず、クレジットカードを使って購入したものを換金した、という場合などです。この場合、クレジットカード会社等への調査が必要となり、破産手続きの開始までに時間がかかってしまいます。

裏を返せば、破産手続きを遅らせるために、わざわざクレジットカードを使って換金をしたと見ることができますので、それが免責不許可事由になると定められています。

まとめ:債権者を害する事由である換金行為とは?~免責不許可事由~

自己破産の免責が認められない免責不許可事由のひとつである、債権者を害する事由の換金行為について解説しました。

クレジットカードを用いた換金行為や、不当に高い利子がつけられたヤミ金からの借金などは免責が認められない事由に相当します。

自己破産を検討するのであれば、これら事由に該当がないかしっかりと整理しておくことをおすすめします。

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