2020.11.20

中小企業における代表取締役・役員の解職・解任の方法と注意すべきこと

会社を運営して行く上で何かしらの事情により、代表取締役や役員を解職または解任する運びとなることがあります。解職や解任は非常にデリケートな問題ですので、手順や取り扱いを間違うと大きなトラブルに発展することも考えられるため注意が必要です。

そこで本記事では、中小企業で取締役を解職または解任するときの方法や、気を配るべきことについて解説していきます。

役員の解任・解職の意味とその方法

役員の解任と解職について、まずは言葉の意味を説明します。

解任と解職ですが、解任は取締役だった人物を取締役から退かせることをいい、解職とは代表取締役だった人物を代表権のない取締役に変更することをさします。

解任に至る理由は、事業の縮小や効率化であったり、役員であった人物の不祥事などによるものなど様々です。

もし、代表取締役を会社の意向で解職したい場合であれば、本人や周囲がそれを承諾しないというリスクがあります。

役員の解任の流れ

中小企業において、役員を解任する際のもっともスムーズな方法は、任期満了をまって退任してもらう方法でしょう。

現在の会社法では、会社の規模や株式の取り扱い方法に準じて役員数などに幅が認められていますので、それを利用して役員を減らすという方法などが考えられます。

しかし、なにかしらの理由によって任期満了を待たずに解任したい場合があり、それには、解任を促す手続きをとることになります。

解任を促す方法として、株主総会を開催して決議するというのがひとつの方法です。

当該役員の解任を要求する代表取締役がオーナー経営者であるなら、すんなりと解任できることが多いでしょう。

ただし、この方法であれば株主総会で役員の解任決議が否決されることがありますので、裁判所に解任請求するなどで対応することになります。

役員の解任は取り扱いが難しい問題です。解任理由について理解が得られない、正当ではないなどであれば解任された役員から損害賠償請求を受けることがあります。

事前の根回しや話し合いを怠らず、誠意を持って対応するなどで、トラブルを防ぐよう努めましょう。

代表取締役の解職の流れ

代表取締役を解任しようとするのであれば、会社法にのっとった手続きが必要です。取締役会をもうけている法人であれば、取締役会を開催して定款または会社法に準じて、解職に必要な決議が得られるだけの賛成票を揃えなければなりません。

そのためには、取締役会の開催までに十分な根回しを行い、票を取りまとめておきましょう。

また、取締役会そのものについての注意点として、解任された代表取締役サイドから指摘がないよう、事前準備をしっかりすることが大切です。適法な手段がとられたことを証明するために弁護士を同席させておくのがよいでしょう。

解職の決議が終了すれば、新しい取締役をすみやかに選定し決議します。

一連の内容については、後々トラブルとならないよう、ICレコーダーなどで必ず録音しておくと安心です。

以上が取締役会のある法人での流れですが、取締役会をもうけていない法人であれば、取締役の解任は株主総会で決議するのが通常の流れです。

代表取締役を解職決議した後の手続き

代表取締役の解職が決議されたなら登記変更手続きに進みます。解職を決議する取締役会の日に書類を準備しておき、役員の印鑑をもらってその日のうちに登記申請をするのが理想です。

解職等を理由とする登記変更手続きであれば、それが決議された取締役会の議事録を登記変更書類に貼付することとなっています。すぐに作成できるようあらかじめ準備を整えておくとスムーズです。

代表取締役が変更となった場合は、登記変更手続きと並行して、できるだけ近いうちに、取引先へその旨の通知を行う必要があります。

まとめ:中小企業における代表取締役・役員の解職・解任の方法と注意すべきこと

中小企業における代表取締役の解職や役員の解任について、手続きの流れなどを解説しました。

役員の解職や解任は非常にデリケートで、方法や流れを間違うと大きなトラブルになります。必要があれば法律の専門家の力を借りることも検討ください。

また、事前の根回しや書類等の準備はもちろん、取締役会や株主総会当日の進行についても十分に対策をしておきましょう。

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