2020.10.29

うつ病の社員はリストラできる?うつ病社員に会社がすべき対応は?

うつ病患者は増加傾向にあるといわれ、大きな社会問題となっています。なかでも職場はうつ病の要因となる要素が多く、メンタルケアの重要性も増してきました。

では実際にうつ病の社員がいた場合には、どのように対応すればいいのでしょうか?

本記事では、うつ病の社員へ会社がすべき対応やリストラなどの雇用の問題、うつ病の社員に対して注意すべき点などについて解説していきます。

うつ病の社員はリストラできる?会社がすべきことは?

会社の利益だけを考えれば、仕事に影響がでてしまっているうつ病の社員には何らかの対応が必要ですが、会社が解雇したりリストラしたりすることは可能なのでしょうか?

まずは会社としてできることとできないことを確認してみましょう。

うつ病の症状と原因

そもそもうつ病とは、疲労感や食欲の減退、不眠、動機・息切れなど、さまざまな症状を引き起こす精神疾患です。

主な原因としては、ストレスや人間関係などの環境要因が多いと考えられていますが、遺伝的な要素や身体の不調から患うこともあるといいます。

うつ病の社員を辞めさせられる?法律や規則は?

労働契約法では、合理的な理由があり社会通念上相当であると認められないと解雇できないとしているため、基本的にはうつ病の社員を解雇にはできません。

だからといって体調が優れない状態で無理に働かせようとする行為も、安全配慮義務違反に問われる可能性があります。

会社としては休業して治療に専念してもらうのが最善ですが、次はどうやって休業してもらうかが問題になってきます。

休業に対してはとくに法で定めておらず、会社判断になります。

この「会社判断」がポイントで、就業規則に記載がなければ休業を「いつ・どのように・いつまで」の明確なルールがあるとはいえません。対応次第ではトラブルになり、うつ病の社員がでてから記載しても無効となる可能性があります。

うつ病になった原因に目を向けること

うつ病になった原因にも目を向ける必要があります。業務が原因で傷病を発症し働けなくなった場合、療養が3年を超えるようであれば一定の補償を支払うことで解雇が例外的に認められると労働基準法は定めています。

しかしうつ病の原因となるのは業務の具体的な内容だけでなく、どちらかといえば労働環境(時間外労働やノルマ、パワハラなど)でしょう。その場合は慰謝料が求められるなど、社員の休業という話では終わりません。

では、リストラはできるのでしょうか?リストラ対象にすることは可能ですが、会社が適切な対応をとっていなかったり、うつ病の原因が会社にあったりすればリストラは無効となるでしょう。

以前から適切な対応をしていて、復職の見通しが立たないような状態であれば認められる可能性が高くなります。ひとくくりに「できる」「できない」といえる問題ではないといえます。

就業規則の整備が重要

うつ病の社員に対して会社ができることは、就業規則の記載内容で決まります。

治療に専念してもらいたいと考えても、就業規則に記載がなければ相手は「うつ病だから不当な対応を受けた」と思うかもしれません。精神疾患を抱えているわけですから、善意からの行動もマイナスに働く可能性があるのです。

就業規則には、さまざまケースを想定して、休職の申請方法から医療機関の診断書の有無、期間、期間中の賃金、期間中の社会保険料の支払い方法、休職申請の可否の判断、会社からの休職命令、復職後の取り扱いなど、細かに記載しておくのがよいでしょう。

そうすることによって、社員も会社の対応を受け入れやすくなります。

就業規則を社員に周知することも重要です。実際に就業規則が無効となった判決もありますので、入社時だけでなく社内報などを活用して再確認できる場をつくるのがおすすめです。

うつ病の社員がでたら…対応の注意点

うつ病は精神疾患ですので、社員への対応に注意が必要です。うつ病との報告を受けていない場合でも、懸念のある社員には同じように配慮しながら対応しましょう。

対応でとくに注意したいのが次の3つです。

・具合が悪そうであれば休みや医師の診断をすすめる

・病気とは決めつけずに、相手が気分を悪くしないような言葉を心がける

・休職期間中の行動に対して言動しない

早く医師に診断してもらうのがよいと思っても、強い言葉をかけたり無理強いしたりするのは逆効果です。

「うつ病なのでは?」と伝えられて嫌な気分になる人もいるでしょう。できるだけストレスを与えないようにして誘導するのが好ましいです。

リストラを考える前に…うつ病を防ぐ対策を

職場は、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスなど、うつ病になりやすい要因が多くあります。うつ病の社員がでたらリストラを考える前に原因となるものがないか職場環境を確認すべきでしょう。

次は職場でのうつ病を防ぐ対策をご紹介します。

職場環境をチェック

時間外労働やノルマなどの実務に関することに加えて、パワハラやいじめなどがなかったかの確認も必要です。

上司からの聞き取りでは浮き彫りにならない問題も考えられるため、さまざまな視点での調査や聞き取りをおこなうようにしましょう。

また、問題が1つ判明してもそれだけで終わらせてはいけません。複数の問題が隠れていれば根本的な解決にならず、同様のことがまた起きてしまうでしょう。

十分といえるところまで、徹底しておこなうようにしてください。

メンタルヘルスへの取り組みを強化

ストレスチェックが義務付けられましたが、結果を受けた後の対応も大切です。

また全体的な取り組みとしては、管理職には部下のメンタルヘルスに関する研修をおこなったり、社内外の相談窓口を社員に周知したりと、さまざまな方法があります。

まずは現状を把握し、専門家などにも相談しながら社内の状況に応じた方法を取り入れるようにしましょう。

まとめ:うつ病の社員はリストラできる?うつ病社員に会社がすべき対応は?

うつ病の患者は増加傾向にあり、どのような会社であってもうつ病の社員がでる可能性があります。

リストラができるかという点も気になるでしょうが、まずはうつ病の社員に対して適切な対応をすることが肝心です。就業規則が十分でないならば早急に整備しましょう。

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