2021.1.25

詐欺破産罪で逮捕されたら執行猶予はつく?懲役はどのくらい?

詐欺破産罪は、破産犯罪の中でも重い量刑が課せられている犯罪です。まれではありますが、悪質な事件だと判断されると、逮捕・起訴されることもあります。

この記事では、

  • 詐欺破産罪で逮捕された場合懲役はどれくらいなのか
  • 執行猶予はつくのか

という点について解説していきます。

詐欺破産罪はどのような犯罪なのか?

詐欺破産罪は債権者の利益を保護する目的で定められたもので、破産法265条において、

  • 債務者の財産を隠したり、故意に壊す行為
  • 債務者の財産を第三者に譲渡する、またはそう見せかける行為
  • 債務者の財産の現状に変化を加えて減損させる行為
  • 債権者を害するために財産を不利益な方法で処分する行為

などが詐欺破産罪に当たります。

法例文で見ると難しい印象を受けるかもしれませんが、要は財産隠しをしたり、配当を減らすために財産を不当に安くしたりすることです。

詐欺破産罪の刑罰

詐欺破産罪の刑罰は、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金(または併科)とされています。個人や小規模の金額の場合は、詐欺破産罪にあてはまっても逮捕されることはほぼありません。その代わり、民事上での責任を問われ免責が認められないこともあります。一方、不正行為が巨額だったり、財産隠しの目的が悪質だと判断されると逮捕・起訴されることもあります。

執行猶予はつく?詐欺破産罪の判例を見る

先ほども触れたように詐欺破産罪で逮捕・起訴されるのは法人による、財産隠しが発覚したケースが多いようです。今回は執行猶予がついた判例を紹介します。

文化財を隠した罪で有罪判決

2018年、不動産会社の元代表が破産開始決定後に保有していた重要文化財の資産隠しを図った事件が報じられました。7点の重要文化財、金額にして7憶9,600万円相当を破産手続き前に博物館に寄託し、債権者への配当を不当に減らす狙いがあったとされます。

破産管財人には行方が分からなくなったと嘘をつき、博物館からくる郵便物は配偶者名義にするなど故意性が高いケースです。裁判では懲役3年、執行猶予5年の判決が下されましたが、詐欺破産罪単体としては重めの判決だと言えるでしょう。

隠していた財産の金額の高さや、容易周到に隠匿していたことも影響していると考えられます。

隠した財産を元に事業を再開

もう一つの判例は、また違った内容です。東北地方で、食品会社を経営していた人が破産手続きの際に760万円の財産隠しを行い、逮捕・起訴されました。裁判所は執行猶予3年と罰金50万円を言い渡しましたが、この事件のポイントは元経営者が隠した財産を使って事業を再開していたことでしょう。

このようなケースでは、債権者を害している悪質な例と判断されるようです。事業継続を希望し手元には数百万円の現金を残せるなら、任意整理や事業譲渡を行うべきですが、こちらはずさんな方法と言わざるを得ません。

悪質性が高いと判断されれば実刑判決が下る恐れも

上記で取り上げた判例はどちらも執行猶予がついていますが、弁護士の指示で1億円の資産を隠した事件など、悪質で事件性が高い事件は初犯であってもいきなり実刑判決が言い渡された事例もあります。

法人の代表者・代理人・従業員が詐欺破産罪で起訴された場合は、会社と個人の両方に罰金刑が下される可能性も存在します。

まとめ:詐欺破産罪で逮捕されたら執行猶予はつく?懲役はどのくらい?


詐欺破産罪で逮捕されること自体は少ないですが、刑事告訴される事件もまれながらあります。判例を見ると執行猶予が付くことがほとんどですが、中にはいきなり実刑判決が下される事例もあるようです。

資金繰りに悩んでいるが財産を残したいという経営者の方は、破産以外の選択肢がないか専門家に相談してみてはいかがでしょうか?

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