特別清算で債務整理を行うためには、裁判所に申立を行う必要があります。特別清算は主流の清算方法というわけではありませんので、手続きや書類について知らないという方も少なくないでしょう。
そこで本記事では、特別清算の申立時に必要な申立書などの書類関係や、手続きに必要な費用について解説していきます。
特別清算を利用できるのはどんな会社?
特別清算は株式会社だけが利用できる清算方法ですが、それ以外にも条件があります。
- 債権者の協力が得られる
- 税金、社会保険料、労働債権等を滞納していない
最初の理由は、特別清算は協定型であっても和解型であっても債権者の同意が必要です。
そのため、争いがあると同意を得ることが難しいため、特別清算ができない恐れがあります。
また、公租公課、労働債権などは優先順位の高い債権です。これらの支払いが滞っていると、金融機関等の一般債権者に配当する資産がなくなってしまうため特別清算は利用できません。
申立を行う前に、上記2つの条件を満たしているかを確認しましょう。
特別清算開始申立書の概要と書き方について
特別清算開始申立書は裁判所に提出する書類です。裁判所によって書類の名称が異なることもありますが、書式はほぼ一緒です。
管轄の裁判所からテンプレートをダウンロードするか、自身で書式を満たす書類を作成します。
必要な項目は以下の通りです。
- 日付
- 裁判所の担当部署
- 清算人の所在地と申立人の名前
- (弁護士に依頼する場合)弁護士の名前と事務所の住所と連絡先
- 清算を行う会社の所在地
- 申立の趣旨
- 申立の理由
【第1】会社の概要/株式や資本などの状況/会社の解散日時など/債権申出期間
【第2】解散した会社の資産と負債の状況(負債状況と債権者など)
【第3】特別清算申立に至る理由
【第4】特別清算を行う方法と見込み(スケジュール)について
【第5】官庁その他の機関の有無
【第6】その他記載事項(清算人の報酬について記載することがあれば書く)
例えば、会社の代表者が清算人を務め、その報酬を放棄する場合はその旨を記載し別途報酬放棄書を添付します。
申立書の他に必要な書類
申立書の他に必要な書類としては、以下のようなものがあります。
- 解散した株式会社の登記事項証明書
- 清算財産目録
- 清算貸借対照表
- 清算貸借対照表の株主総会決議の議事録(コピー)
- 貸借対照表と損益計算書(直近2期分)
- 解散時の株主の名簿(住所は不要)
- 債権者の名簿(住所は不要)
- 債務者の名簿(住所は不要)
- 債権申出催告の官報公告写(コピー)
- 債権者の特別清算申立同意書
- 清算人の履歴書
- 定款
- 事業譲渡をしていた場合は契約書のコピー
- スケジュール表(申立書に収まらなかった場合)
- 清算人が報酬を放棄する場合は報酬放棄書
- 代理人が申立をする場合は委任状
- 清算人が代理人の場合は株式会社からの委任状
以上から分かる通り、必要な書類も非常に多いため弁護士に相談しながら余裕をもって準備しておきましょう。
会社の代表者が清算人を務める場合は、必要書類の漏れがないよう気を付けてください。
特別清算に必要な費用内訳
特別清算の手続きには手数料等費用がかかります。
・予納金
裁判所に提出する費用で、
協定型:約50,000円
和解型:約10,000円
ほど、かかります。
・清算人報酬
弁護士が清算人を務める場合は、報酬が発生します。
特別清算の場合は100万円ほどが目安とされていますが、依頼する事務所によって差があります。(会社代表者自らが清算人となる場合は、報酬は不要です。)
・収入印紙等
申立書に貼る収入印紙代も必要です。
東京地裁の場合は20,000円で、その他に予納郵券600円前後もかかります。
まとめ:特別清算に必要な申立書の概要と作成方法について
今回は、特別清算の申立に必要な書類について紹介しました。
申立書に記載した情報が分かるよう、添付書類も多数必要ですので特別清算を行うと決めれば早め早めに準備を進めましょう。
債権者からの同意書も必要ですので、余裕をもって交渉しておくことをおすすめします。