会社の事業が行き詰まり、資金繰りも厳しくなると「法人破産」を検討されると思いますが、個人の自己破産とは異なり、法人を破産させるにはより複雑な手続きが必要です。
しかし、法人破産について知識がなければ、どのような流れで行われるのか?必要な書類はどれか?など多くの疑問にぶつかるでしょう。
そこで本記事では、法人破産の詳しい流れや必要書類について解説していきます。
法人破産の流れを順序別に解説
法人破産手続は、大まかに以下のような流れで行われます。
- 弁護士への相談、依頼
- 受任通知の発送
- 会社財産の確保
- 申立書類の準備
- 破産手続開始の申立
- 破産手続開始決定
- 破産管財人による財産の換価処分
- 債権者への配当
- 破産手続の集結→会社消滅
では、1つ1つの流れについて詳しく見ていきましょう。
①弁護士への相談、依頼
法人破産は、弁護士への依頼を通じて行うのが一般的です。
専門の弁護士に相談して、会社の経営状況や負債額、債権者の状況などをヒアリングし、方針を定めていきます。
②受任通知の発送
法人破産を行うことが決まったら、弁護士から債権者に対して「受任通知」を発送します。
受任通知が送られると、その時点から債権者は取り立てや請求を原則行えなくなります。
③会社財産の確保
破産手続を行うに当たって、会社の保有する財産を確保しておきます。
会社の財産がバラバラになってしまわないよう、リストアップしてまとめておくのが重要です。
④申立書類の準備
破産手続の申立を行うにあたって、必要な書類を準備していきます。
必要書類は財産や負債などの状況に応じて異なるので、弁護士からの指示を受け、スムーズに集められるようにしましょう。収集された書類を元に、申立書類を作成していきます。
⑤破産手続開始の申立
裁判所に対して破産手続開始の申立を行います。
⑥破産手続開始決定
破産手続開始の決定が下されると、裁判所から破産管財人が選任され、会社の財産を管理する権限が移譲されます。
⑦破産管財人による財産の換価処分
破産管財人が会社の財産を調査・管理した上で、換価処分が行われます。
⑧債権者への配当
処分された財産は届出をした債権者への配当に充てられます。
⑨破産手続の集結→会社消滅
これらの流れが終了すると、裁判所が破産手続の終結を決定します。破産手続を終えると会社は消滅します。
法人破産で必要になる書類一覧
弁護士に依頼する際は、会社の概要や経過を知るために「直近5年分の決算書」を用意しておくといいでしょう。
さらに、破産手続開始の申立を行うには主に以下の書類が必要となります。
- 破産申立書
- 報告書
- 債権者一覧表
- 委任状
- 財産目録
- 取締役会議事録又は取締役全員の同意書
- 被課税公租公課チェック表
- 商業登記簿謄本又は登記事項証明書
- 決算書(最低限過去2年分)
- 不動産登記簿謄本及び評価証明書(不動産を保有している場合)
- 賃貸借契約書(賃貸物件を保有している場合)
- 各種疎明資料(通帳、保険証券、有価証券、車検証等)の写し
など。
必要書類はケースごとに異なりますので、弁護士から指示を仰いでスムーズに集められるよう準備してください。
法人破産の手続きは弁護士に依頼するのが得策
これまで説明にでてきました通り、法人破産は弁護士に依頼するのが一般的です。必要書類や手続きも複雑になってくるので、自分で行うというのは非現実的と言えるでしょう。
弁護士に依頼すれば、専門的な知識や経験をもって手続きもスムーズに行えますし、裁判所や債権者との対応も一任できます。
さらには、従業員や取引先への法的な説明など、破産する会社の関係者に対する対応も必要です。このように、ただ手続きを機械的に行えばいいというわけではないため、法人破産は早い段階で弁護士に相談しましょう。
まとめ:法人破産はどのような流れで行われる?
今回は法人破産の流れについて解説しましたが、いかがだったでしょうか。
個人の破産手続とは異なり債務者と債権者という関係だけでなく、従業員や取引先なども含んで破産手続を行うため、弁護士を活用してできるだけスムーズに処理できるよう努めてください。