会社を立て直すためには売上を上げたり財務状況を改善して、赤字から脱却することは重要です。しかし、会社経営においては必ずしも赤字だから悪いというわけではありません。
この記事では、注意した方がいい赤字や、会社を立て直して赤字を脱出する方法について解説していきます。
すべての赤字経営が悪いわけではない
冒頭でもお伝えしたとおり、全ての赤字経営が会社にとって悪影響を及ぼすというのは短絡的な考え方です。そもそも「赤字」とは、支払うべき費用が収入よりも多い状態を指します。
ご家庭でも支出が多い月は赤字だった…という経験があるのではないでしょうか。もちろん、会社にとって収入が多いに越したことはありませんが、赤字か黒字かだけが経営存続を左右するわけではありません。
2019年の国税庁が行った「会社標本調査」によると、欠損法人つまり赤字状態の企業は全体の63.6%にも上ります。一方、同じく2019年の休廃業・解散企業動向調査によると休廃業した企業は全体の1.4%ほどだということが分かります。
また、赤字経営でもメリットがないわけではありません。「欠損繰越金控除」といって、欠損金(赤字)が発生すれば、翌年度以降10年の期間内で黒字になった場合、損失と相殺できる制度が利用できます。赤字を出した翌年黒字化しても、欠損を繰り越して相殺することで節税にも繋がります。
注意すべき赤字のポイント
赤字=倒産とはいえませんが、経営状態に影響するよくない赤字があることも事実です。
それを判断するポイントとして、以下の要素が挙げられます。
- 長期的に見た売り上げの傾向
- 財産や資産の状況
- 取引状況
- 売掛金回収の状況
- 在庫がどれくらいか
など、数字だけでなくその内訳にも注目したいものです。また、同じ赤字でも「お金」「経理」と2種類があります。お金の赤字は、そのまま支出が収入よりも多い状態を指します。経理での赤字は、売上金と比べて借入金など経費の方が多い状態のことです。
赤字から脱出するための糸口とは
ここからは、「よくない赤字」から脱出して、会社を立て直すためのヒントを紹介していきます。
固定費や経費削減
まず、経営状態が深刻な場合は無駄な出費を抑えることが先決です。
- 固定費
- その他経費
- 赤字事業からの撤退
など、削れる部分がないか細かな部分まで見ていきましょう。無駄な部分を削減するため、対象を勘定科目などから分析・測定して削減案や削る金額を考えていきましょう。また、コアとなる事業は順調だが拡大した事業が不採算部門となっている場合などは、撤退するのか事業譲渡を行うのか早めに決めましょう。
事業の見直し
会社理念や事業の見直しも、会社の立て直しをする際に重要です。経営状態が悪化している会社は、目の前の問題を解決することに集中しすぎて、中長期的な理念が曖昧になってしまっていることも少なくありません。
従業員からすれば、どの方向を向けばいいか分からない状態になっているので結束力が弱まり、生産性や作業効率の低下も招く恐れがあります。
全員営業
よく、ピンチの時には全員営業で乗り切ろうという言葉を耳にします。営業職以外の部門の人にとっては、「どういう事?コネやツテを使って営業するの?」と困惑してしまうフレーズかもしれません。
たしかに、会社の規模によってはこれまでの人脈をたどって、従業員総出で営業をかけるという例もあるでしょう。
しかし、「目的としての営業」はそうとは限りません。目の前の作業をただ片づけるのではなく、「どんな事がお客様のためになるのだろう」と考えながら行動することが実績に繋がります。売上アップや業績の改善を目指して、労働環境の改善や作業の効率化など、自分でできることを全力で行うことを指します。
まとめ:会社を立て直して赤字を脱出するための方法と見極め方
日本には、赤字経営の会社が多く存在しています。それは、税制上の都合だったり、その期間支出が多かった、というものから経営が悪化しているといった深刻なものまで様々です。
深刻な状態から会社を立て直すためには、データ分析をして削れる経費や事業を削減し、結束して目標に向かうことが大切です。