自己破産の申立を余儀なくされる状況で気になるのは、保証人への影響ではないでしょうか?親族や知人などに保証人を依頼した方は、「迷惑をかけたくない」と考えるかもしれません。しかし、その気持ちが裏目に出て、保証人隠しなどの不正を行うと新たな問題が起きてしまいます。
この記事では、自己破産時に保証人が抱えるリスクや影響について解説していきます。
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通常時の自己破産での保証人への影響
まず、通常の自己破産時には保証人にはどのような影響が及ぶのでしょうか?自己破産により債務や返済義務が免責されるのはあくまでも債務者本人です。厳密には債務自体がなくなったわけではありません。
保証人がいる場合、債務者が破産すると弁済義務は保証人に移行します。つまり、換価配当を差し引いて残った金額の支払いは保証人がしなければならないのです。
保証人と連帯保証人はよく混同されがちですが、保証人には、
- 催告の抗弁権(債務者に請求を求める権利)
- 検索の抗弁権(債務者について調査を求める権利)
- 分別の利益(保証人が何人かいる場合は人数で借金を割る)
という3種類の権利があります。
一方で連帯保証人は、求償権といって連帯保証人が代わりに返済した金額を債務者に要求できる権利のみを持ちます。ただ、債務者が自己破産をすると求償権は行使できなくなり、代わりに借金を支払っても債務者に対して請求ができません。
催告の抗弁権、検索の抗弁権、分別の利益は自己破産手続きをした後も失効しません。そのため、保証人も債権者として配当を受け取り返済に充てることも可能です。
ただ、配当分で返済が完了することはほぼありませんので、どちらにせよ差額分の弁済義務はあります。弁済義務が移行した後に、保証人も返済ができない状態ですと保証人も自己破産をせざるを得ない状況に追い込まれることも珍しくありません。これは事業の債務だけでなく住宅ローンで夫婦どちらかが借りて、片方が保証人になった時などにもよく見られます。
保証人を隠すのは詐欺罪に当たる
保証人に負担をかけたくないという思いから、保証人の存在を隠したまま破産をしようとすることは詐欺破産罪に該当します。詐欺破産罪は、「10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、または両方」と破産犯罪の中でも最も刑罰が重い犯罪です。
個人が詐欺破産罪で刑事告訴されることは珍しいですが、不正行為が発覚した時のペナルティはそれだけではありません。免責不許可事由とされる可能性が高まる部分も見逃せません。免責不許可、つまり借金の支払い責任が免除されることが拒否されると、破産ができず自分の力で返済しなければならないのです。
詐欺破産罪の責任が問われるのは原則本人
保証人を隠して詐欺破産罪に該当すると考えられても、原則として罪に問われるのは債務者本人です。保証人が意図しない間に巻き込まれていた場合、何も知らされずにいた場合は共犯と見なされません。
ただし、保証人から債務者に不正行為を依頼していたり、債務者と結託して隠蔽したことが発覚すれば保証人ともども詐欺破産罪で起訴される可能性はあります。
保証人に迷惑をかけない方法はある?
破産を選ぶと、大なり小なり保証人に迷惑をかけることは避けられません。迷惑をかけたくないという場合は、破産に至る前の段階で早めに任意整理をして債務の圧縮をするなどの対策を取りましょう。
仮に、保証人も破産することになれば、人生に大きな影響を与えることになるので、破産申立をする前に相談し謝罪するべきです。
まとめ:詐欺破産罪と見なされた時保証人にはどのような影響がある?
保証人を隠すことは、詐欺破産罪に該当します。実際に告訴されることはなくても、免責不許可事由と判断される可能性は十分あります。不正をして大きなトラブルに発展するのを防ぐためにも、早い段階で誠意をもって対応するのがベストです。