「原価」について皆さんは正しく理解していますか?原価計算をしっかり行う事は会社運営や店舗運営をする上で非常に大切な事項です。
今回は、原価計算をテーマに進めていきますので、概要を把握した上で管理ができるようにしましょう。
全部原価計算と直接原価計算について
早速原価計算を考える際に重要な、「全部原価計算」と「直接原価計算」について見ていきましょう。
全部原価計算とは
全部原価計算とは、その名の通り商品の生産やサービスの提供に関わる全ての費用を原価として考えるもので、人件費も含まれます。
たとえば商品販売代金が1万円、商品材料費が3,000円、人件費が20万円だとしましょう。
この場合商品を100個生産した場合の原価計算は、商品1つあたりの人件費が20万円÷100個=2,000円となります。材料費の3,000円と商品1つあたりの人件費を合わせて5,000円です。
すなわち、商品販売代金が1万円ですので、原価率は50%となります。
しかし、この商品を200個生産するとどうでしょう。人件費20万円÷200個=1,000円となり、商品1個あたりの原価は材料費と合わせると4,000円に下がります。(原価率は40%)これでは生産数によって原価率が変わってしまうため、正しい原価計算を行うことは難しくなります。
全部原価計算では、商品の生産数によって原価率が増減します。そして商品が売れない場合には期末棚卸商品の計上を通し、当期の人件費が来期以降に繰り延べられ、当期の利益が多く残るのです。
直接原価計算
続いて直接原価計算についても見ていきましょう。直接原価計算では、費用を変動費と固定費に分類し、変動費の方を原価として原価計算を行います。
直接原価計算での変動費は、商品やサービスの売上に直接かかる費用のことを指し、前項での材料費がそれに当たります。
人件費は基本的に固定費に分類されますので、人件費を固定費として直接原価計算を考えていきましょう。
変動費は原材料のみとなり、商品1個あたりの原価は3,000円です。直接原価計算では、全部原価計算のように人件費が含まれませんので、商品販売代金1万円に対して原価率は30%のままで変わりません。
人件費は商品原価に含まれず、棚卸商品にも計上されません。そして支払った期間で費用化されますので、利益が多く残ることはありません。
ここまでを簡潔にまとめると、全部原価計算では人件費が計算に入ってくるので商品の生産数によって原価率は増減し、直接原価計算では、人件費が計算に入らないので原価率は一定であるということです。
固定費調整について
上記で述べた直接原価計算は経営管理にあたって有効ですが、実は問題もあります。
それは、株主などの出資者や税務当局といった外部に対しては、直接原価計算ではなく、
全部原価計算で作成しなけばいけないという問題です。
そして、企業内部利用を目的に直接原価計算を行って計算された利益額を、外部報告用に全部原価計算の利益額に修正することを固定費調整といいます。
固定費調整のための公式は以下のようになります。
「直接原価計算の営業利益」+「期末在庫に含まれる固定費」-「期首在庫に含まれる固定費」=「全部原価計算の営業利益」
まとめ:原価計算の概要を把握しよう!固定費調整についても併せて解説!
いかがでしたか?原価計算について概要把握ができましたでしょうか。原価計算は簿記の専門的な知識が必要になるため、正確に計算することは簡単なことではありません。
ただし、会社にとって原価を把握することはその後の経営計画にも影響を与えることですので、概要を理解した上で改善につなげましょう。