経営者の方であれば知っておくべきことのひとつとして、未払い給料の知識があります。
「退職までに未払い給料を請求されなければ、支払わなくていいのではないか…」と軽く考えている方もいるのではないでしょうか?
しかし結論からいうと、退職後でも退職者は未払い給料を請求できる権利があるのです。
そこで本記事では、「退職後の未払い給料を従業員はどのようにして請求するのか」について、解説していきます。
Contents
退職後の未払い給料…従業員が相談できるのはこの3つ
経営者として、従業員に給料を支払わないことは「労働基準法」に違反しており、犯罪となってしまいます。
そのため、従業員側は適切な手続きを取り、冒頭で述べた通り未払い給料を請求することが可能なのです。
従業員が未払い給料に関することを相談できるのは、主に「労働基準監督署」「労働組合」「弁護士」の3つです。まずはそれぞれについてご紹介していきます。
労働基準監督署
「労働基準監督署」とは、労働基準法に基づいて企業を監督する機関です。電話やメールなどで労働基準監督署に相談すると、以下のような流れで調査が始まります。
- 労働関係の帳簿を調査したり、責任者や労働者にヒアリングしたりして、その企業を調査
- 違法性があった場合、企業へ「〇〇をやめなさい」「△△しなさい」などと是正勧告する
- 是正勧告に従わない、極めて悪質なケースだった場合には経営者を逮捕
労働組合
「労働組合」とは、労働者であれば誰でも参加することができる、自分たちの立場を守るための組織です。勤務先に労働組合がなくても、個人で加盟可能なものもあります。
労働組合に加入すると、未払い給料を解決するためにサポートしてくれ、従業員と一緒に団体として企業に交渉を行います。このとき経営者は、労働組合との団体交渉は拒否できません。
弁護士
「弁護士」に相談した場合、交渉・労働審判・訴訟などの手段で未払い給料が請求されます。まずは、企業と交渉をし、まとまらなければ労働審判へ、労働審判でもまとまらなければ訴訟へと段階を踏みます。
とはいえ、どのような状態でも未払い給料が請求できるというわけではありません。次の章で、未払い給料を請求するための条件を解説していきます。
未払い給料を請求するための条件を把握しておこう
未払い給料を請求するための条件は、以下の2つです。
- 給料が未払いになっている事実と金額を証明できる証拠がある
- その企業に勤めていたという事実を証明できる証拠がある
上記条件があるとはいえ、完璧な証拠がなくても未払い給料を取り返すことは可能ですので、経営者は従業員が条件を満たしていないからといって安心するのはやめましょう。
従業員はどのような流れで退職後の未払い給料を請求する?
退職後に未払い給料を請求する場合、まずは未払い給料がある旨を電話などの口頭で伝えます。
もし、電話などの口頭で未払い給料の事実を伝えても応じてくれなかった場合や、勤務していた企業に連絡するのが難しい場合には、内容証明郵便で請求します。
内容証明郵便とは、「AさんはBさんにこのような内容の郵便を送り、Bさんは確かにその郵便を受け取りました」ということを証明してくれるサービスになります。
そのため、「受け取っていない」「未払い給料があることを知らなかった」というように、誤魔化すことはできません。
内容証明郵便でも応じてこない場合、「労働基準法第24条違反」となるため、労働基準監督署に申告可能です。
もし、労働基準監督署でも解決しない場合には裁判となります。このような流れで、従業員は未払い給料を請求します。
まとめ:退職後でも未払い給料は請求される!従業員側の対応を把握しておこう!
退職後も未払い給料は請求できますので、退職したからといって経営者は安心できません。
未払い給料があるということは、会社としての信用を失いかねませんので、そもそも未払い給料とならないためにも、資金繰りを日々考えしっかりとした対策を立てておきましょう。