2020.10.31

2020.10.31

従業員の給料が払えない…経営者がとるべき手段について

資金繰りが悪化して従業員への給料が支払えないなど、倒産寸前の状況に追い込まれてしまい、頭を抱えている経営者の方もいるのではないでしょうか?

自然災害が原因であったとしても、経営者は、いかなる場合でも従業員へ給料を支払わなければなりません。

また、どのような企業であっても給料未払いの状況に陥ってしまうことは考えられますので、経営者は事前に給料に関する知識を持っておく必要があります。

そこで本記事では、従業員への給料が支払えない場合どうなるのかについて、未払い給料を支払うための方法や注意点などを交えて解説していきます。

従業員の給料が払えない場合はどうなる?

従業員の給料が払えない場合、「会社の崩壊」「資金繰りが悪化してしまう」「金融機関の機能が停止してしまう」などのリスクが考えられます。

しかし、このような状態になっていても、冒頭でお伝えした通り経営者は従業員に対して給料を支払う義務があります。

「通貨払いの原則」「直接払いの原則」「全額払いの原則」「毎月1回以上定期払いの原則」、これらの原則が労働基準法によって定められているからです。

もし、長期的に給料を支払わなければ逮捕や書類送検される恐れもあるため、経営者は給料が支払えないときの対策方法を覚えましょう。

未払いの給料を払うための相談先や注意すべきポイント

会社が破産して給料を支払えない状況になれば、独立行政法人労働者健康福祉機構が行っている「未払賃金の立替払制度」を利用しましょう。

これは破産会社の未払い給料を確保するための制度であり、立替払いの対象となるのは未払い給料の8割となっていますが、年齢に応じて限度額が定められています。

なお、あくまでもこれは「立替」なので、利用すれば労働者健康福祉機構へ賃金の返済義務があります。残りの2割に関しても、労働者へ支払い義務があることを忘れないようにしましょう。

未払賃金の立替払制度を利用する場合は、破産に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

給与の未払いや遅延を回避する方法

給料の未払いや遅延を回避したい場合に経営者がまず取らなければならない行動は、社長を始めとした役員報酬を減らすことです。そして、有事の際には役員報酬から予算を捻出し、従業員の給料に充てるようにしましょう。

事業年度の途中に役員報酬を減らすことは通常できませんが、経営状況が悪化するなどやむを得ない事情がある場合には、特別に認められている行為です。とはいえ、取締役会で決議を取り、役員全員からの賛同を得なければなりません。

その他の対策として、「ビジネスローンで必要な金額だけを借入する」「取引先に期限の交渉を行い、支払いを待ってもらう」などが挙げられます。

それでも支払いが行えない場合には、「従業員に状況を説明して支払いを待ってもらう」「倒産危機にある場合は未払賃金立替払制度を利用する」などの対応を取りましょう。

従業員の給料を勝手に減らしていいのか

従業員への給料をどうしても支払えないからといって、給料を勝手に減らすのは厳禁です。

なぜかというと、給料の減給が認められているのが、職場の規律に違反した場合にのみだからです。

もし、経営側のみの判断で減給した場合には、労働基準法第91条に違反し、30万円以下の罰金が科せられてしまいますので注意が必要です。

まとめ:従業員の給料が払えない…経営者がとるべき手段について

従業員への未払い給料は、従業員の信頼を失うだけではなく会社自体も信用を失い、さらに罰金を科せられてしまう可能性もあります。

そのため、従業員への未払い給料があるという経営者の方は、今回紹介した策を講じるようにしましょう。

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