自己破産は債務整理の1つで、借金の支払いが困難になった場合に行われます。人によっては、生活保護を受けていたり無職だったりすることもありますが、そのような場合でも自己破産は可能なのでしょうか?
そこで本記事では、生活保護受給者や無職であっても自己破産は可能であるのか解説していきます。
自己破産と生活保護は別物
最初にはっきりさせておきたいのが、自己破産と生活保護は関連性がない制度だということです。
さらに、自己破産の手続きを行うにあたって職業的な制限はありませんので、申し立て時点で無職であっても問題はありません。また、職がないことで特例を認めることはありませんので、他の人と同じ条件で手続きに臨む必要があります。
これは生活保護受給者に対しても同様で、生活保護を受けているからといって自己破産の対象にはならないのです。
ただ、生活保護を申請する際に不正利用の観点から福祉事務所や相談窓口で先に債務整理を勧められることもあります。生活保護申請と自己破産はどちらが先のタイミングで行ってもよいので、状況に応じて手続きをしましょう。
無職の場合、収入がまったくなく頼れる親類もない時は生活保護申請を先に行うことをおすすめします。
自己破産は申し立てをしてから手続きが完了するまで数ヵ月かかりますので、「終わってから生活保護を受けよう」と考えていると、負担が大きくなることもあるでしょう。
さらに自己破産の手続き自体にお金がかかります。生活保護を受けていると場合によってはその費用が免除されますので、必要な資金がない場合は生活保護申請も検討しておきましょう。
生活保護受給者と無職はどう違う?
生活保護受給者と無職は、混同されることもありますが内情は異なります。
生活保護を受ける条件は、
- 最低限の文化的生活を受けるための収入がない(または乏しい)
- ケガや病気で就労が難しい
- 頼れる家族や親類がいない
というものです。
生活保護を受けながら働くことは不可能ではありませんが、一定額以上の稼ぎがあれば自治体へ返還しなければなりません。
無職は、端的にお仕事についていない状態全般を指し、収入がなくても、不労所得があっても無職と呼ぶことが可能です。
無職には自己破産するまで保有する財産に制限はありませんが、生活保護を受ける際には家や車などの財産を持つことはできません。
支払い能力がないと個人再生を受けることは難しい?
自己破産以外の債務整理として個人再生がありますが、これは債務を免責するのではなく返済ができるように債務の一部や利息を軽減する措置です。
無職や生活保護受給者の場合は、この個人再生を利用するのはかなりハードルが高くなるでしょう。
収入がないと個人再生は難しい
なぜ無職や生活保護受給者が個人再生を活用できないかというと、「継続した収入がない」ことが影響しています。
生活保護は毎月決められた金額が支給されますが、それはあくまでも生活に必要なお金ですので継続した収入とは認められません。
また、生活保護に関する法律でも支給した生活保護費で、借金の返済などを行うのは不正だと定められています。
無職で収入がない場合は軽減しても、債務不履行に陥る可能性が高いと判断されます。
ですので、自己破産を避けたいというのであれば、まず仕事に就いて働くことです。
また、派遣社員・パートなどの非正規雇用である程度収入がある場合は、個人再生が認められることもあります。
まとめ:生活保護を受けていたり無職であっても自己破産は可能?
無職であったり、生活保護を受けている場合でも自己破産は原則可能ですが、破産申し立てを行う際には専用の制度を利用する必要性も出てきます。
自己破産を避けて債務の整理を行いたいという場合は、生活保護受給者・無職ともに厳しくなりますので、定期収入のある仕事に就いて債務整理に向けた環境作りから行いましょう。