2020.10.30

未払い残業代の遅延損害金(遅延利息)とは?利息で会社倒産の危機もあり得る?

近年、未払いの残業代に関する訴訟は珍しくなく、厚生労働省によると2015年度の未払い残業代は100億円にも上っています。

残業代の未払いがあった際、従業員の残業代だけではなく、遅延利息や付加金なども加えた金額を支払わなければなりません。そのため、経営が成り立たないほどの大きなダメージを受けてしまうケースもあるのです…。

そこで本記事では未払い残業代の遅延損害金(遅延利息)をテーマにお届けします。

経営者として、会社が被るダメージを最小限に留めるためにも、未払い残業代について理解を深めておきましょう。

未払い残業代がある場合には「債務不履行」になる?

会社などで働いている、または働いていた方に対して、経営者は働いた時間分だけ給料を支払わなくてはなりません。

もし、従業員に給料を支払わない場合、経営者として「給料を支払う」という義務、債務を履行していないこととなり、「債務不履行」の状態になってしまいます。

「債務不履行」とは?

「債務不履行」とは、契約上に生じた自らの債務を履行していない、つまり従業員と契約した際の約束事などを実際に行っていないということです。

そして、債務不履行には「履行遅延」「履行不能」「不完全履行」があり、残業代を履行期が過ぎても支給しない場合には、支払い期限を過ぎても支払いを行わない「履行遅延」が該当します。

未払い残業代には遅延損害金(遅延利息)がつく

給料や残業代の未払いには遅延損害金(遅延利息)がつき、従業員側から請求される可能性があります。その際の利率などについて見ていきましょう。

まず、「遅延損害金」とは在職中に請求できるもので、給料支払日の翌日から実際に未払い残業代が支払われた日、もしくは退職日までに会社へ要求します。

遅延損害金の利率に関しては民法の改正が行われましたので、改正前と改正後を見ていきましょう。

<民法改正前の遅延損害金利率>

  • 非営利法人などの場合:民法が根拠法となるため年利は5%
  • 会社である場合:商法が根拠法となるため商事法定利率の6%

<民法改正後の遅延損害金利率>

法改正時は3%。変動利率のため、3年ごとに見直しがなされる(商事法定利率は廃止)。

未払い残業代の請求で倒産の危機もあり得る!?

未払い残業代を請求された際、従業員一人あたりの金額はたいしたことがなくても、それが他の従業員にも波及し、全ての従業員から一度に請求された際には、膨大な金額になりかねません。

また未払い残業代のみではなく、遅延利息や付加金も加わるとなると、さらに高額となってしまう可能性も考えられます。

その際に受けるダメージは極めて大きく、一歩間違えれば倒産にまで追い込まれてしまうでしょう。

実際に2016年、岡山のJA職員の方たちが残業代約3億円の未払いを集団提訴し、労働基準法上で定められた付加金の合計が約2億5千万円で、総額約5億5千万円もの巨額に膨れ上がってしまったケースもあります。

このような事態を想像してみてください。未払い残業代請求によって、会社が倒産に追い込まれる可能性が十分にあり得ることが実感できるでしょう。

適切な対策を心得ておく必要性がご理解いただけるかと思います。

まとめ:未払い残業代の遅延損害金(遅延利息)とは?利息で会社倒産の危機もあり得る?

未払い残業代について詳しく解説してきましたが、いかがだったでしょうか?

未払いの残業代があった場合、給料支払日の翌日から実際に未払い残業代が支払われた日、もしくは退職日までに年利3%の遅延損害金がつきます。(民法改正により年利は変動制へ変更)

さらに付加金まで加わり、請求してきたのが一人ではなく集団であった場合には、膨大な金額にまで膨れ上がる可能性も考えられます。

経営者として今回内容を理解し、しっかりと対策をしておきましょう。

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