飲食店倒産を視野に入れた時、借金の問題はもっとも気になることではないでしょうか?事業を畳むか新たに資金調達をすべきかお悩みの方も、借金の扱いを知っておくことでより現状に即した判断ができるのではないかと思います。
この記事では、借金を残さずに飲食店倒産することは可能なのか、仮に債務整理をする時の手順について解説していきます。
債務を作らず閉店することは可能か
倒産=借金が残るとお考えの方も多いでしょう。実際に倒産を経験された方でも、借金の扱いに苦心されているという方も少なくないかもしれません。
借金を残さずにお店を閉店するには、早い段階での判断が大事になります。また、閉店するにもある程度資金が必要な場合もあることを知っておくべきでしょう。どうにもならなくなってから倒産を選択すると、却って借金が増える恐れもあり債務整理が難しくなる可能性もあります。
再出発のために借金は残したくないし、債務整理をして信用情報をブラックにしたくないという場合は、まだ余力の残っているうちに閉店するかどうかを決めましょう。閉店時、物件の設備などを解体してスケルトンにする場合は、工事費用として坪あたり数万円かかることもあります。
立地や設備内容によっても費用は異なりますが、広い面積のお店の場合は早めに見積もりを取るか、居抜きで物件を渡すか早い段階で考えておくとよいでしょう。
何も対策を取らないのは避けること
経営悪化により借金がある中で、何も対策を取らずに督促状を無視して借金を滞納するのは避けましょう。債務整理の方法にはどのようなものがあるのか?立て直しすることは不可能なのか?という点をなるべく早く弁護士や専門機関に相談することが何より大切です。
破産する際の手順は?
飲食店を倒産したあとに借金が残ってしまい、そのままですと返済が難しい場合は債務整理を行うのも方法の1つです。中でも破産は借金が免責される債務整理として、選択されることが多いものです。
飲食店の場合は、自己破産と法人での破産に分かれると思いますのでそれぞれのケースごとに手順を紹介していきます。
個人経営
個人経営の飲食店の場合は、「自己破産」手続きを以下の手順で行います。
ただ、事業での破産ですので通常の自己破産よりは厳しい基準が設けられているので注意しましょう。
まずは申立の準備から始めましょう。
申立の際に必要な書類には、以下のようなものがあります。
- 破産手続開始及び免責申立書
- 陳述書
- 破産をする人の住民票と戸籍謄本
- 資産の目録
- 債権者が分かる一覧
- 通帳のコピー
- 給与明細、源泉徴収票のコピー
- 住民税等の証明書
- (賃貸の場合)賃貸契約書のコピー
- 不動産登記簿謄本
- 年金など受給証明書のコピー
また、保険に加入している場合は
- 保険証券のコピー
- 保険の解約返戻金証明書
が必要です。
自動車も換価処分の対象となる資産ですので、事前に見積もりを取っておき
- 車検証のコピー
- 査定書
を用意しておきましょう。
申立の手数料として、1,500円前後の収入印紙が必要です。
申立後は裁判官と面接を行いますので、裁判所に
- 申立書のコピー
- 身分証明書
- 印鑑
- ペン等筆記具
を持参しましょう。
自己破産では、一定額以上の資産がない場合迅速に手続きができる「同時廃止」が選択できますが、個人事業主の場合は管財事件、あるいは少額管財事件として扱われます。
物件・車・設備等、20万円以上の価値があると認められた資産は換価処分して債権者に配分されます。その処理が完了すれば、免責許可が裁判所から下りて債務者本人の返済義務ではなくなります。
法人の場合
法人化した会社の場合は、まず弁護士に相談しましょう。依頼した弁護士が受任通知を債権者に送った時点で、その後の債務についての問い合わせ窓口は弁護士となります。
裁判所への申立を行う際、従業員への解雇通知、残っている雑務をこなします。その後、管財人と債務状況などについて打ち合わせ行い、資産を換価して債権者へ配当が完了すれば、手続きは終了となります。それ以上の債務の返済義務は免責されます。
まとめ:飲食店倒産を選んだその後はどうすればいいの?借金を残さない方法は?
今回は、借金を残さずに倒産を選ぶ方法と、借金が残ったあとの債務整理について解説しました。早い段階から判断していくのが、借金を残さないようにするために大切な考え方であることがお分かりになったことでしょう。
破産手続きをする際は、保証人に返済義務が移ってしまうので、その点も考慮して決断してください。
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