2020.10.20

2020.10.20

事業譲渡での会計処理はどうする?会計処理の基本からのれん処理方法まで解説!

事業譲渡を行った場合は、買い手も売り手も適切な仕訳処理を行う必要があります。

しかし、事業譲渡では普段使わない科目があったり、ケースによって処理の方法が異なったりします。

そこで今回は、事業譲渡を行った際の会計処理の基本から、のれん代が発生した時の対処法について解説していきます。

事業譲渡の手法を知ろう

適切な会計処理を行うためには、事業譲渡の手法や税金周りのことについて知っておくべきでしょう。

そもそも事業譲渡は、事業の資産として売買取引するものです。そのため、不動産登記や認可を取り直し、株主名簿の名義を書き換えるなど諸手続きを細かく行わなければなりません。

そして、会社譲渡と事業譲渡の違いには「消費税」があります。事業譲渡は売却される資産ごとに、消費税が課されるのです(非課税対象の資産もあります)。

事業譲渡をした時の基本的な仕訳について

まずは、事業譲渡をした際の基本的な仕訳処理の方法について説明していきます。

貸借対照表(B/S)に時価評価した譲渡(売却)対象の資産、引き受ける負債を記入します。

事業譲渡を仮定して仕訳を解説

今回は、以下のような事業譲渡が行われたと仮定して仕訳を解説します。

A社が社内の事業見直しを行った際、1つの事業の撤退を決めB社に事業売却することを決めました。そして、話し合いの結果資産のみを譲渡することとなりました。

譲渡の対象となる資産は以下の通りです。(単位はすべて千円)

【資産】

・棚卸資産

簿価:20,000

時価:20,000

損益:0

・建物

簿価:50,000

時価:40,000

損益:-10,000

・機械設備費

簿価:90,000

時価:85,000

損益:-5,000

・土地

簿価:100,000

時価:140,000

損益:40,000

・商標権

簿価:300

時価:1,000

損益:700

・合計

簿価:260,300

時価:286,000

損益:25,700

【負債】

なし

※ここでは分かりやすくするために消費税を省いていますが、実際には課税対象の資産には消費税がかかります。

売り手会社の仕訳処理

事業譲渡を行う会社の仕訳処理は以下の通りです。

譲渡する側(売り手)は、資産と負債は「簿価」で、譲渡によって得た対価は「時価」と判断しますので以下のように処理します。

【借方】

現金預金:286,000

【貸方】

棚卸資産:20,000

建物:50,000

機械設備費:90,000

土地:100,000

商標権:300

事業譲渡益:25,700

簿価と時価の差額を、売買損益として処理します。

買い手会社の仕訳処理

一方、事業を買い取る会社は対象資産を時価で計上します。

その時の仕訳は以下の通りです。

【借方】

棚卸資産:20,000

建物:40,000

機械設備費:85,000

土地:140,000

商標権:1,000

【貸方】

現金預金:286,000

のれん代が発生した場合はどう処理するのが適切か?

実際に事業譲渡を行う時は、時価の他に将来性や稀少性、市場でのブランド力などを加味して譲渡対価を決めます。

この差を「のれん代」と呼び、のれんの種類によって仕訳処理の方法が異なります。

【正ののれん】

正ののれん(譲渡対価>時価合計額)が発生した際、売り手企業は譲渡益に含めます。

買い手企業は「のれん」という感情科目を追加し、時価の合計との差額分を記載します。

最長20年間償却できる資産なので、のれん償却費として毎年計上することも可能です。

【負ののれん】

負ののれん(譲渡対価<時価合計額)が発生した時、買い手企業は特別利益として計上します。正ののれんが発生した時と処理が異なるため注意しましょう。

まとめ:事業譲渡での会計処理はどうする?会計処理の基本からのれん処理方法まで解説!

今回は、事業譲渡を行った時の会計や仕訳処理について解説しました。基本を押さえておけば、のれんが発生した時など応用もできるようになるので、会計処理においては難しくはありません。

より大きい金額や、複雑な会計処理をしなければいけない時なども、明確に処理してください。

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