2020.10.22

事業譲渡による従業員の影響とは?

事業譲渡は事業の継続や拡大のための前向きな戦略ですが、そこに勤務する従業員には大きな影響を与えます。

経営者として事業譲渡を考えるのであれば、従業員のその後について知っておく必要があるでしょう。

そこで本記事では、「事業譲渡が従業員に与える影響」「譲渡にあたり従業員に配慮するべきこと」について解説していきます。

事業譲渡と従業員の関係

事業譲渡とは、事業の全部または一部を別会社に譲る方法をいい、ビジネス戦略のひとつとして活用されています。そして昨今では事業承継の問題から、事業譲渡を選択する中小企業も多く見られます。

しかし、事業を別会社に譲る場合の問題として、そこで働く従業員をどうするかを考えなければなりません。その選択肢としては、「譲受会社に移籍」や「部署の異動」などが挙げられますが、いずれの場合も従業員の意志によって決めることになります。

従業員への対応は慎重に

事業譲渡においては、ノウハウを持った従業員の存在も含めて企業価値とみる譲受会社もあり、必要な従業員が退職を希望するとなれば、事業譲渡取引に影響を及ぼしてしまうでしょう。

ですので、会社としては慎重に対応する必要があると言えます。

例えば譲渡しようとしている部署の従業員が、どうしても従前の会社に残りたいという意志であれば、配置転換などでその対応が必要です。

また、事業譲渡を理由に従業員をリストラすることはできません。事業の状況によっては希望退職や退職勧奨も考えられますが、トラブルに発展する可能性がある事項ですので、十分に配慮した上で対応しましょう。

事業譲渡・事業売却時の社員や従業員の待遇

事業譲渡後に、従業員が譲受会社で引き続き雇用されることになった場合、雇用契約は新しい会社と結びなおすことになります。従業員の待遇については譲受会社の規定に従うことになりますが、給与が下がったり役職がなくなったりと待遇が悪くなれば、従業員が転籍を拒否する可能性が考えられます。

スムーズな人材の引継ぎのために、そしてこれまで共に働いてきた従業員のために、譲渡会社は出来る限り従業員が不利にならない待遇が受けられるよう、譲受会社に交渉すべきでしょう。

退職金については転籍時点で一度清算する方法があるのですが、これは、譲渡側が従業員に退職金を支払い、転籍後は譲受会社の規定に従うというやり方です。もうひとつは、転籍前の勤務期間を持ったまま譲受会社に転籍し通算してもらう、という方法です。

いずれにしても従業員が不利にならないよう、しっかり話し合いをしておくことが大切です。

年次有給休暇についても、規則としては退職前の休暇は転籍先には引き継がれません。しかし、それでは不満が出る可能性がありますので、転籍前に譲渡側で消化するか、譲受先に引き継いでもらうといった対応が望まれるでしょう。

労働契約や退職金、転籍の手続きについて

従業員に転籍してもらうのであれば、次の手続きが必要です。

・雇用契約の再締結

・社会保険の手続き

同じ仕事を引き続きしてもらう目的ではありますが、新しい会社に入ることになりますので、そのための手続きが必要です。

従業員に不利益のないよう漏れなく手続きを進めましょう。

まとめ:事業譲渡による従業員の影響とは?

事業譲渡はビジネスの継続と活性化を目的に実施されますが、そこで働く従業員にとって大きな影響を与えます。

従業員の取り扱いについてはデリケートなものですし、扱いを間違うと大きなトラブルに発展する可能性がありますので注意しましょう。

また、事業譲渡によって大切な従業員が離職することのないよう、しっかり交渉することが大切です。

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