2020.11.24

会社売却時における借入金の取扱いと具体的な対処方法について

会社を売却するときに借入金が問題となることがありますが、借入金の種類や会社売却の方法によって取り扱いに違いがあります。

今回は、会社を売却するときの借入金についての考え方や、具体的な取り扱い方法について解説していきます。

会社売却時の借入金についての考え方

まずは、「株式譲渡で会社売却をした場合」と「事業譲渡をした場合」の借入金の取り扱いを見ていきましょう。

株式譲渡した場合における借入金の取り扱い

株式譲渡は、会社が保有する株式を譲渡することで会社を売却する方法で、この方法であれば負債等も含めて買い手に引き継ぐのが通常ですので、借入金についても譲受会社に移動します。

金融機関などからの借り入れがあれば、株式の買い手が返済者となります。譲渡会社の経営者個人が連帯保証人になっているなどであれば、それがはずれることになります。

事業譲渡した場合における借入金の取り扱い

一方、事業譲渡をした場合の借入金の扱いについては、考え方が異なります。事業譲渡とは、事業の全部または一部を譲渡するという方法で、何をどれだけ譲渡するのかを売り手、買い手の双方合意で決めていきます。すなわち、負債については買い手会社に引き受けてもらえないことがあります。

借入金がある会社は、その取り扱いも含めて会社売却方法を考えるとよいでしょう。

事業譲渡における借入金・連帯保証の行方

借入金のある会社を事業譲渡したときに、借入金・連帯保証がどうなるのかについて見ていきましょう。

まず、事業譲渡する会社の借入金が金融機関からの借り入れなのか、それとも経営者個人が会社に対して貸し付けている借金なのかによって、その扱いに違いがあります。

・金融機関からの借り入れの場合

譲渡会社が金融機関等の借入金を持つ場合ですが、このパターンであれば買い手企業がそのまま引き受けて返済することがあり得ます。

金融機関からの借り入れの際には、譲渡会社の経営者が個人的に連帯保証人となっていることが多くみられますが、買い手に負債を引き継ぐことで個人の責任もはずれます。

・経営者個人が会社に対して貸し付けている場合

経営者個人が会社に対して貸し付けた借入金がある場合は、買い手会社がその負債を引き受けることは稀です。つまり、経営者個人に対して借り入れ分が返済されることは基本的にないということです。

対策としては、経営者個人からの借入金については事業を譲渡する事前準備の段階で、経営者借り入れを返済しておくという方法があります。それによって決算書に経営者借り入れが記載されませんので、いざ事業譲渡となったときに買い手会社も安心して取引に進むことができます。

いずれにしても借入金の扱いは、買い手主導の双方合意によって決定されます。気になる借入金については、わかりやすく準備した上で交渉し、納得して会社売却に進むことをおすすめします。

株式譲渡における経営者個人の連帯保証の行方と対処方法

株式譲渡による、会社売却での借入金の扱いについてみていきます。

株式譲渡による会社売却であれば、通常は負債についても譲受会社に引き継がれますので、譲渡会社の経営者は個人負債がはずれます。

個人負債をはずすための手続きですが、まず基本合意締結に「株式譲渡により金融機関に対する譲受会社経営者の連帯保証を解除する」という旨の承諾を取り付けておきます。

その上で、株式譲渡後の登記変更が完了してから、変更後の登記簿謄本をもって「金融機関に対し連帯保証人の書き換えを申請」します。借入金が複数ある場合などはもれなく書き換えを行いましょう。

まとめ:会社売却時における借入金の取扱いと具体的な対処方法について

今回は、会社を売却しようとするときの借入金の扱いや考え方、具体的な対処方法について解説しました。

会社の借入金の取り扱いは会社売却の手段や、借入金の性質によって変わってきます。自社の借入金のタイプによって対策を検討しておきましょう。

経営者個人の負債や責任があるならば特に注意が必要です。後悔なく売却するために、相応の時間をかけて事前準備を行うことが大切です。

あなたにおすすめの記事

よく読まれている記事

この記事を見た人はこんな記事も見ています

会社倒産手続き.comをご覧の皆様へ

会社倒産手続き.comは、倒産〜復活にかけての道標を示すメディアです。経営者が第二の挑戦をすることを前提に、「終わり方」について参考となるデータと情報を提供していき、倒産〜復活のフローに関して、様々な道筋での援助方法ご提案します。

無料相談はこちら