事業売却は、法人同士で行うものというイメージがあるかもしれませんが、個人事業主も事業売却を行う場合が多々あります。
その際の手続きが法人とは異なるので、この記事で紹介する注意点やポイントをぜひご覧ください。今回は、個人事業主による事業売却をテーマにお届けしていきます。
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個人事業主は事業売却を行えるの?
ご存知のことと思いますが、個人事業主とは法人化せず個人が事業を行うことで、個人経営の飲食店や小売店、塾、士業など様々な業種で個人事業主が存在しています。
個人事業主の事業売却は、
- 事業承継
- 売却による資金獲得
- 後継者不在
- 廃業回避
などの目的で行われます。
買い手となるのは、親族や付き合いのある取引先などが一般的です。そういったコネクションがない場合は仲介業者や、専門の窓口を利用するとよいでしょう。
法人でも出口戦略のために事業売却を行うケースも少なくありませんが、個人事業主でもそれは同様です。
廃業するとコストが高くなってしまうので、事業売却を選ぶことで出費を押さえることもできます。
売却価格の相場はどれくらい?
個人事業を売却する際の相場は、営業権(譲渡後数年の利益)と資産の時価を合計すると目安が分かりますので、直近過去1年分の利益を参考に計算してみてください。
買い手側が事業の価値や将来性を感じれば、価格が上乗せされる可能性も大いにあります。
個人事業主が事業売却をする時の手順
個人事業主の事業売却の手順は法人と大きく異なりますので、売り手と買い手それぞれの面からご説明いたします。
売り手
売り手側が必要な手続きは以下の通りです。
- 廃業届の提出
- 青色申告の取りやめ届出を提出(青色申告をやめる時)
- 事業廃止届出書を提出
- 予定する所得税の減額申請書を提出
- 取引先や顧客への通知
個人事業を始める際に、「個人事業の開業・廃業等届」を提出したかと思いますが、廃業の際も同じ書類を使って届け出をします。
- 廃業届(個人事業の開業・廃業等届書)
- 青色申告の取りやめ届出
- 事業廃止届出
- 予定納税額の減額申請書
は、管轄の税務署へ提出します。
必要書類の提出が終わったら、顧客や取引先の事業者・企業への引継ぎを行います。
売却はしますが、事業は続くので譲渡後も滞りなく取引ができるようにきちんとお知らせをしましょう。
買い手
買い手側も個人の場合は、個人事業主として開業の手続きを行います。
- 税務署へ必要書類を提出
- 従業員を雇う場合は雇用に関する書類を作成
- 許可や登記の再取得
必要書類は、
- 開業届(個人事業の開業・廃業等届書)
- 青色申告承認申告書
が必須です。
家族あるいは第三者を従業員とする場合は、
- 青色事業専従者給与に関する届出書
- 雇用契約書
のいずれかを作成・提出しましょう。
事業売却をする際の個人事業主ならではの注意点
個人事業主が事業売却をする際の注意点として、以下のようなものがあります。
- 廃業届を提出しなければならない
- 買い手を探すのに手間がかかることもある
- 売却後の取引に影響を及ぼす可能性がある
法人でも同じですが売却をしたのは会社ではなく、あくまでも事業なので各種届出や認可を行う必要があるのが面倒と感じるかもしれません。
買い手を探していても、元々繋がりがない場合は選定に時間がかかることもあります。
仲介業者を利用する場合は、早い段階でいくつか候補に選んで相談するのがおすすめです。
まとめ:個人事業主による事業売却の基礎知識・手順・注意点について
いかがでしたか?個人事業主が事業売却を行うことは、資金獲得や後継者不足の解消といったメリットがあることが分かりました。
しかし、その反面、細々とした手続きが多く売却完了まで時間がかかります。事業の売却を検討し始めたら、契約時に慌てないように余裕をもって準備を進めていきましょう。