経営破綻や大幅なリストラなどのニュースで「まさかあの会社が」と驚いた経験があるのではないでしょうか。
しかし、これが取引先ともなると自社の存続にまで影響する可能性があり、悠長に構えてはいられません。
共倒れのリスクを避けるためには、危険な前兆を早く察知し、備えることが重要です。
そこで今回は、取引先の倒産やリストラなどの前兆を見抜くチェックポイントや、まさかの事態で経営者がすべき行動について考えます。
取引先は大丈夫?会社の倒産・リストラの前兆
取引先で倒産やリストラがあっても、対処によっては自社への影響を極力抑えることもできます。
では早速、どのような点に注目すればよいか確認してみましょう。
管理職など要職者の退職が相次ぐ
管理職など要職に就いていると、一般社員には伝わらない会社の状況を把握しているものです。このような人員の退社が続く場合は、会社に不安要素があるからと想像できます。とくに、資産状況のわかる経理部門の動きには注意しておきましょう。
要職者の退職が経営陣との不和などにあるケースもありますが、その場合も楽観はできません。それは、クライアントも一緒に離れることがあるからです。
要職者の退社をきっかけに業績が低下しないか、当分は様子をみる必要があります。
縮小・削減が広がる
企業のさまざまな取り組みの中で縮小や削減といったものが続いた場合、経営がひっ迫している可能性が浮かびます。
具体的には事業の縮小、社内イベントや福利厚生サービスの規模の縮小、経費の削減など、社内外両方の活動を対象とするのがよいでしょう。
リストラもこれらの1つですが、縮小・削減傾向は大規模なリストラの前兆としても役立つ情報です。派遣社員やパート、アルバイトを採用している会社では、このような非正規雇用の人員削減もリストラの前兆としてみられます。
もちろん、健全な経営のための方向転換や刷新といった意味合いのケースもありますが、いくつも続くようならば会社の傾きを疑い、他にも前兆がないか注意深く観察してみてください。
要職が頻繁に会議・打ち合わせしている
経営陣や管理職クラスが頻繁に会議・打ち合わせをしている場合は、何かしらの大きな動きがあります。同じ部署の社員が何の会議か知らない、もしくはあいまいな内容であるなど、はっきりとしないようならば、社員にも打ち明けられない事情があるのでしょう。
これが経理部門なら資金繰りに関連すること、人事ならリストラという具合に、所属する部署から何が起こっているのかある程度は予想もできます。
素性のわからない管理職の赴任
他にも次のようなチェックポイントがあります。
- ボーナスや残業代のカット、減少
- 経営コンサルタントとの契約や他社からの管理職の赴任
- 同業他社の悪い噂
- 親会社の売上減少 など
なかでも注目したいのが、経営コンサルタントとの契約です。会社の経営に問題が起きている可能性も考えられるでしょう。
しかし、経営コンサルタントとの契約は把握しづらいものです。社内の人間にも伝えないことがあるため、外部から管理職が就いた場合は、経歴を確認してみましょう。
銀行関連企業からの出向、社会保険労務士の雇用なども同様の理由でおこなわれます。管理職が新しく就いたら、その都度確認するようにしてみてください。
危険な前兆に気づいたら…経営者がやるべきことについて
倒産やリストラの前兆に気づいたら経営者はどうすればいいのでしょうか。
自社への影響を少なくするためには、早めに備えることが大切です。
取引額の調整
倒産やリストラの前兆に気づいても取引は続きます。会社がすぐになくなるわけではないので、慌てずにまずは現在の取引状況を確認しましょう。大口の場合はリスクを回避するために額を減らしたり、契約の見直しも必要になったりするかもしれません。
ここで重要なのは、極端な取引の減少や契約の破棄は相手先をさらに窮地に追いやる可能性もあるということです。
自社を守る判断はしつつも、相手先に必要以上の負荷はかけないようにしましょう。
セーフティネットの利用を検討する
取引先の倒産などで、経営が困難になった企業に対して助けとなる制度があります。
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度) |
無担保・保証人なしで上限の8000万円まで、掛け金に対して最高10倍の借入ができる |
セーフティネット保証制度 |
自治体の認定を受けることで一般枠とは別に融資を受けられる制度 保証人は原則不要、条件によっては無担保 |
すぐに利用しないとしても制度の概要を確認し、利用したい時にスムーズに申請できるようにしておきましょう。
まとめ:会社の倒産・リストラの前兆を見抜いて共倒れリスクを回避
堅実な経営していても、取引先の経営難はどうにもできません。
そんな「まさか」の事態から会社を守るには、普段から情報収集し前兆を見逃さないことです。「あそこの企業は大丈夫」などと楽観せず、常にさまざまなリスクに備えておきましょう。