2020.9.16

ファクタリングで用いる債権の種類について

債権を買い取ってもらう方法のひとつにファクタリングというサービスがあり、資金繰りの行き詰まりや、つなぎ資金を得るために利用されます。

ここでは、ファクタリングで用いることができる債権の種類や、債権回収との違いについてみていきます。

ファクタリングと債権の種類

ファクタリングとは、売掛債権を買い取るサービスのことです。現在、わが国で多く行われている取引方法には、売掛方式というものがあります。商品等を自社が取引先に納品し、後に代金を受け取るという方法なのですが、納品から集金までに時間がかかってしまうという問題点があります。

資金繰りが厳しい中小企業や、急に資金が必要になった場合などは、集金までのタイムラグに苦しめられることがあり、それをしのぐためにファクタリングが利用されます。また、売掛方式のリスク、貸し倒れを回避するための方法として利用されることもあります。

ファクタリングに用いられる債権について

ファクタリングで用いられる債権は「確定債権」と呼ばれる売掛債権のみで、取引先がすでに商品等を受け取り検収を終えて支払いに合意している債権のことを言います。また、検収前で、修正や返品の可能性のある状態の債権は、確定債権ではないので、ファクタリングでは用いることができません。


ファクタリングと債権回収はどう違うのか

ファクタリングは、すでに検収が済んで入金が確定した売掛債権を買い取ってもらう方法です。ファクタリングで利用される債権が期日前の「確定債権」であるのに対して、債権回収では期日を超過した、いわゆる不良債権が対象です。未回収となった債権を譲渡することで現金を得る方法が「債権回収」です。

ファクタリングでは、譲渡した売掛債権の額から手数料を差し引いた金額を、取引先と定めた入金期日前に受け取ることができます。債権回収では、回収に成功した額の中から手数料をひいた金額を受け取ることができます。すなわち、ファクタリングではサービス業者との契約時点で受取額が決定していますが、債権回収の方は回収の結果に応じて、受け取り金額が変動するという事です。

ファクタリングと債権回収は、実施業者や債権の取り扱い方法も異なります。ファクタリングサービスを実施しているのは、金融機関や民間会社などで、債権回収は、法務大臣から許可を得た会社が実施できます。

前提として、ファクタリングが行うのは債権の買い取りであり、債権回収の方は借金の取り立てです。債権回収で取り扱うことができるのは、特定金銭債権といわれるもので、リースやクレジットの債権、倒産手続き中の人が持っている金銭債権など範囲が限られています。

支払いが確定した健全な債権を使用し、すぐに現金を手に入れたいのであればファクタリングを、すでに支払いが滞った不良債権を可能なかぎり現金化したいのであれば、債権回収を利用すると良いでしょう。


ファクタリングと債権譲渡の違い

債権を譲渡するという意味に関しては、ファクタリングと債権譲渡は同じと言えます。しかし、実際に行われるファクタリングと、債権譲渡には明確な差があります。

ファクタリングは、支払期日の到来前に健全な売掛債権を譲渡し、資金を得ることを目的としています。そして、スムーズにお金が流れることを前提に取引されるものなので、ファクタリングによって、取引先との関係が悪化する事は基本的にありません。

一方で債権譲渡は、期日が過ぎているなどトラブルのある不良債権を譲渡することを指し、不良債権を譲渡したことで取引先は、借金の取り立てを受けることになります。

ですから、自社との関係性に何らかの影響があることが想定できます。

このように、ファクタリングと債権譲渡では、深刻さの点で大きな違いがあります。


まとめ:ファクタリングで用いる債権の種類について

ファクタリングで用いられる債権の種類や、債権譲渡との違いについて紹介していきました。ファクタリングは、健全な売掛債権を用いた取引で、自社の都合で現金化することを目的としています。一方で債権譲渡は、不良債権を対象とした回収権利の譲渡のことを言い、利用する債権や、実行後のメリット・デメリットにも明確な違いがあります。

両者の異なる点を理解し、状況に合わせて使い分けをしていく必要があります。

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