固定費の回収は、事業を行う人にとっては重要なテーマであり、製品の価格や販売量を決める際には、固定費を回収できるかどうかを考えなければなりません。
本記事では、
- 固定費の回収について
- 固定費回収の考え方
- 回収で必要な限界利益
について解説していきたいと思います。
固定費の回収はどのような意味があるの?
固定費とは、経費のうち「売上に関係なく毎月かかる費用」のことを指します。
そして、固定費の回収を理解するためには、CVP分析が役立ちます。
CVPは、Cost(原価)・Volume(売上)・Profit(利益)という3つの言葉の頭文字からなっており、販売量に応じた売上原価と利益の変移を分析するために用いられます。
分析を行うためには、必要な費用を固定費と変動費に分けるのですが、これを「費用の固変分解」と呼びます。
製品・サービスの販売価格から、変動費を引くと「限界利益」になります。限界利益で固定費にかかった分を回収するためには、製品の販売数を増やさなければなりません。
そして、製品の販売数を増やしていくと、いずれ固定費(費用)と利益がイコールになる数値になるのですが、これを「損益分岐点」と呼びます。
また、分岐点を超えてそれ以上製品を販売する量が増えれば利益も増えていきます。そのため、売り上げの中の損益分岐点は低いことが望ましく、経営の安全性を測るものさしとしても使われているのです。
固定費と売上の関係を示す例として、1つ100円の商品を売っている会社は毎月3,000円の固定費がかかっているとします。この場合、固定費を回収するためには最低でも30個売らなければならないのです。そして、変動費も回収し利益を上げるためには、当然ながらより多く販売する必要があります。
固定費回収の目安やポイントについて
必要経費のうち、固定費と変動費の割合は会社や職種ごとに異なります。経費が大きいと不安になってしまうこともあるかと思いますが、この2つはそれぞれ見方のポイントが違ってきます。
変動費は売上量によって変動するものですので、売上高の中での比率を見ます。一方の固定費は、売上や販売量に関わらず発生するので、金額を重視して管理しましょう。
限界利益および限界利益率について
限界利益とは、売上高から変動費を差し引いた金額のことで、固定費の回収においてはこれが重要です。
限界利益というと、少しネガティブなイメージがあるかもしれませんが「marginal profit」の訳ですので、最低限の利益と考えるのが自然でしょう。
また、固定費回収に貢献するという意味合いから「貢献利益」と呼ばれることもありますが、言葉の意味はどちらも同じです。
固定費を回収する能力を測るためには、「限界利益率」が用いられますので、続いてそれを見ていきましょう。
限界利益率とは
限界利益率は、売上の中の限界利益がどれくらいの割合かを表すもので、限界利益/売上で計算します。
限界利益率の割合が高いほど、固定費の回収がしやすいと考えられます。
たとえば、
A社
・売上:10億円(うち変動費5億円)
B社
・売上:30億円(うち変動費25億円)
という2つの会社があるとしましょう。
売上の数字は大きな差がありますが、「売上-変動費」で両社とも限界利益は5億円です。
さらに限界利益率を出すと、
A社:50%(限界利益5億円/売上高10億円)
B社:16%(限界利益5億円/売上高30億円)
固定費回収能力は売上が低いはずのA社の方が、3倍以上高いことが分かります。
まとめ:利益獲得には固定費回収が重要!
いかがでしたか?本記事において、
- 固定費の回収は利益を生み出すために重要であること
- 固定費と変動費は管理するポイントが異なること
- 固定費回収能力を判断するためには限界利益を活用すること
が大切であるということを紹介しました。
今回の概要を把握することによって実務に役立ちますので、ぜひ活用ください。