生活保護を受けている、またはこれから受けようと考えている人にとっては、どのような事が欠格事由(要求されている資格を欠くこと)になるのか気になるでしょう。
特に自己破産をしたことがある人は、その経験をネガティブにとらえることも少なくなく、生活保護受給に関しても不安点があることでしょう。
そこで本記事では、「破産経歴があっても生活保護を受給できるのか」という点について解説していきます。また、自己破産についての誤解についても触れていきますので、ぜひご覧ください。
自己破産をしても生活保護自体は受給できる
自己破産をする前後であっても、生活保護の申請や受給には支障ありません。むしろ、生活保護を受ける前に何らかの形で債務整理することを進められることもあるため、自己破産をして自立や再出発に備えることは問題ありません。
注意点としては、自己破産も生活保護も換価できる財産は保有できない点です。どちらの場合も、持ち家・車・宝石・時計など高価な財産がある場合は、まずそれらの売却や整理が勧められます。
生活保護費を債務の返済に使っていた場合
生活保護は自己破産する前でも利用できるとご紹介しましたが、本来の使途である生活費以外の使い道は認められていません。
つまり、生活保護費を借金の返済に使うことはできないのです。
生活保護費の原資は税金です。国の税金を個人の債務処理に使うことは不正な使い道と判断されます。ケースワーカーや担当者に申告せず、黙って返済してしまえばいいと考える人もいるかもしれませんがそれは誤りです。
生活保護受給者の口座の動きは監視されていますので、金融機関や消費者金融に振り込んだり引き落としされるとすぐに分かってしまいます。
故意に不正な使い方をした、と判断されると「徴収金」として使った分よりも上乗せして請求されます。
徴収金と判断されたものは、その後自己破産しても免責されません。同意を得て、毎月の生活保護費から差し引くことも可能なのです。
過払い金を受け取ると生活保護は打ち切られる?
借入金返済の利息が高額で、過払い金が発生している事例もあります。生活保護受給後に過払い金請求して返還されたとしても、それは基本的には本来手元にあるべきお金が返ってきただけなので問題はありません。
ただ、自治体や事務所単位で対応が異なることもあるので、あらかじめ相談しておいた方が無難でしょう。
よくある自己破産についての誤解
自己破産はれっきとした債務整理の方法ですが、後ろめたい行為のようなイメージを持つ人も多く、誤解される部分もたくさんあります。
自己破産に対するよくある誤解として、以下のようなものが挙げられます。
無条件で周囲に知られる
自己破産したことが知人や近所に広まってしまう…ということは基本的にはありません。自分から誰かに伝えなければ、実家の家族にも知られることはありません。
家が借りられない
これはケースによって異なります。自己破産したことは信用情報には5年から10年は記載されますので、保証人を付けずに保証協会を利用して部屋を借りるのは難しいことがあるでしょう。
しかし、家が必ずしも借りられないというわけではなく、保証協会を通さず保証人を付けて契約することは可能です。
家族の生活や就職に影響する
破産はあくまでも本人だけの問題です。家族であっても、本人以外の信用情報は変化しませんので、その家族はクレジットカードを作れますし、家族の職業選択の自由も保たれたままです。
戸籍などに破産履歴が残る
戸籍には破産したことは記載されません。国が発行している官報には掲載されますが、金融機関など一部の人が見るものですので、一般の人にその情報が漏れる確率は極めて低いでしょう。
まとめ:破産経歴があっても生活保護を受給できるのか?
生活保護は不正に厳格な対処を取るイメージからか、自己破産した場合に利用できないという固定観念を持つ人も多いようです。
本文中で解説した通り、借金返済などに支給された資金を使ったりしなければ自己破産する前でも後でも、問題なく生活保護制度が活用できます。
すでに生活保護を受給している方で「問題がありそう…」と引っかかることがあれば、福祉事務所に相談しましょう。