2020.10.7

資金繰りを分析すれば企業の実態を見える化できる

経営者で資金繰り表を作成する人は少ないと言われていますが、実は企業の実態把握には「資金繰り分析」が欠かせません。

本記事では、企業の実態把握に「資金繰り分析」が欠かせない理由を、資金繰り表の分析方法も絡めながら、解説していきます。

まずは決算書と資金繰りを分析

まず、決算書と資金繰りの関係について分析していきましょう。

決算書には、損益計算書(P/L)、貸借対照表(B/S)、キャッシュフロー計算書が含まれます。

損益計算書(P/L)には、大まかに分けて「収益」、「費用」、「利益」の3つが記載されます。「収益-費用=利益」です。

収益の合計から費用を引いた金額が、当期利益として損益計算書に記載されます。

製品やサービスを販売して納品すると、売上高として損益計算書に記載され、売上原価や販売費および一般管理費などは、その納品にかかった費用です。

一方、貸借対照表(B/S)は大きく分けると、資産、負債、純資産の3つからなります。

資産には流動資産と固定資産がありますが、左側に資産が来ます。右側には負債(流動負債と固定負債)と純資産が来ます。

製品やサービスを納品した時点で売上が上がりますが、売上金はすぐに回収できず、売掛金として貸借対照表の左側の資産の部に計上されます。

資金繰りの分析には企業活動の流れを把握することが不可欠

資金繰り表を分析する前に、年間の企業活動の流れを大まかに把握することが重要です。

企業活動には、「設備投資や人材研修が必要な時期」「在庫を増やして蓄える時期」「売上が伸びる時期」「落ち込む時期」といった具合に、年間を通して流れがあります。

そういった企業活動の年間サイクルを踏まえて、資金繰りの過去の実績や予定、借入金の金額と時期を見ることが必要になってきます。

また、資金繰りと貸借対照表の数値(売掛金、買掛金、固定資産、借入金)は密接につながっているので、その連動性も意識しなくてはなりません。

特に借入金は貸借対照表に記載されるので、金額と時期が貸借対照表上で違和感がないか注意することが重要です。

資金繰り表はどう分析すればいい?

資金繰り表の構造を簡略にすると、以下のような項目が入っています。

  • 前月繰越の現金・預金
  • 経常収支:本業からの資金の動きを表す収入と支出
  • 経常外収支:本業とは異なる収入と、本業以外の支出
  • 財務収支:借入金の調達と返済による収支
  • 翌月繰越の現金・預金

経常収支には、本業の商品やサービスを販売して得る収入、商品の仕入れや外注を利用することで発生する支出、社員への給料やオフィス賃料などが含まれています。

経常収支がマイナスになっていると、企業の経営において大きな問題を抱えていることを示していますが、損益計算書も併せて見る必要があります。

損益計算書は黒字で経常収支はマイナスの場合

損益計算書は黒字で経常収支はマイナスの場合は、明らかに資金繰りに問題があるので、資金繰りを改善する必要があります。

具体的な改善方法としては、以下のようなものがあります。

  • 仕入れ先や外注先に支払いを遅くする交渉をする。
  • 顧客からの入金を早める交渉をする。
  • 手形割引やファクタリングなど、早期の資金化を行う。

損益計算書が赤字で経常収支もマイナスの場合

損益計算書が赤字で、経常収支もマイナスの場合は、その事業自体に問題があるので、営業活動を通して以下の2点に取り組んで、利益を上げる必要があります。

  • 売上を上げる。
  • 原価や経費などのコストを削減する。

資金繰り表について

資金繰り表では、翌月繰越の現金・預金という項目がありますが、これは月末時点で現金を含む預金残高がどれだけあるかを表しています。

月末時点での預金残高がマイナスになっている場合、その月は債務の支払いができないということを意味しており、銀行からの借入金がある場合、銀行から取引停止の処分を受けるかもしれません。

資金繰り表を見るときには、3ヵ月後の翌月繰越の現金・預金がマイナスになっていないかも確認する必要があります。

3ヵ月後の翌月繰越の現金・預金がマイナスになる可能性があるなら、早急に資金調達と資金繰りの改善を検討する必要があります。

その可能性があるのに放置しておくと、資金が不足して倒産してしまいます。そうならないようにするには、入金される金額を増やして、出金する金額を減らす方法を考えましょう。

まとめ:資金繰りを分析すれば企業の実態を見える化できる

以上、企業の実態把握に「資金繰り分析」が欠かせない理由を、資金繰り表の分析方法にも触れながら解説してきました。

資金繰り表は毎月更新して分析をしながら、マイナスになっている部分がないかを確認し、対応が必要な場合は早急な行動が重要です。

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