事業資金を獲得する方法のひとつに銀行融資があります。銀行融資は金利が低いという話も耳にすると思いますが、その金利はどのように決められているのでしょうか?
そこで本記事では、金利の決まり方と金利相場について解説していきます。
Contents
金利を決める原則
まずは、銀行などが金利を決める際の要素を紹介します。原則として金利は、「調達利益+経費+貸し倒れリスク+利益」によって決められます。
上記には一般的には使われない単語も出ているので、それぞれの要素について見ていきましょう。
調達金利
調達金利とは、銀行が融資に使う金額を調達するための金利のことです。
銀行は預金者などから預かっているお金を原資にしており、預かったお金をもとに企業へ融資しています。
そして、預かったお金に対して支払う利息を、融資への利息でまかなっています。
諸経費
銀行は設備費・人件費・光熱費…など、他の業種と同じように営業するために諸経費を毎月支払わなければなりません。
融資の金利にも、その諸経費分が加算されています。
利益
銀行だけでなく、お金を貸す事業は金利で利益を獲得しています。
ただし、銀行はノンバンク系の機関や消費者金融と比べて、金利が低い傾向にあります。
これは銀行の規模によっても差が出るのですが、大体大手都市銀行で数%~10%ほど、地方銀行などで2%~9%ほどだとされています。
ノンバンク系が年利10%台のところも多いことを考えれば、多額の資金が必要な事業資金は、銀行などの金利が抑えられる機関を選びたいものです。
企業への信頼度(貸し倒れリスク)
最も金利に影響する要素がこの「貸し倒れリスク」です。貸し倒れとは、債務者が財務悪化などの要因で、返済ができなくなる状態を指します。
そうなると銀行は、貸し出した融資を回収できなくなってしまうため、場合によっては大きな損失が発生してしまいます。
またの名をデフォルトリスク、信用リスク、クレジットリスク…などと呼びます。
貸し倒れリスクは会社の財務状況や過去の融資実績においてランク付けされ、ランクが高いほど金利が安く積極的に融資が受けられます。
金利の相場は調達方法で異なる
続いて、それぞれの機関の金利相場について見ていきましょう。
ちなみに、帝国データバンクが2019年11月に発表した「全国平均借入金利動向調査」では2018年の平均借入金額は1.37%となっています。
銀行
銀行の規模によっても金利の相場が異なりますが、目安は以下の通りです。
プロパー融資:約2〜9%/年
証書貸付:約8〜10%/年
銀行以外の金融機関
事業向け融資は、銀行以外の金融機関でも金利相場に違いがあります。
例えば、日本政策金融公庫は政府系金融機関のため、それほど利益重視ではありません。
金利は1〜3%/年ほどが目安ですが、国内の経済状態によって変動するため、申請の前に利率をチェックしましょう。
審査期間が長く、実行まで1ヵ月ほどかかりますが、個人事業主や中小規模の企業に向けた融資制度も充実していることから、人気があります。
ノンバンク系の機関は金利が6~18%/年と高い水準です。
また、銀行や公庫に比べて資金的な体力はありませんので、大きな額を借入するのは難しいかもしれません。
その分申請から融資実行までが早いので、少額をすぐ調達したいというときに向いています。
融資の金利を下げる方法ってあるの?
融資の金利(利息)は、できれば少なくしたいですよね。
低金利で融資を受けるためには、銀行の格付け(ランク)情報を改善する必要があります。
格付け改善のためには、以下の方法を参考にしていただればと思います。
- 事業の業績が良い状態を継続する(連続黒字)
- 財務の見直しや整理をしてキャッシュフローを改善する
- 経営計画書などを提出して、事業に対する評価を上げる
- 「中小企業の会計に関する指針」に基づいて経理処理を行う
上記全てでなくても、できることから試してみてもいいでしょう。
まとめ:銀行融資の金利はどのように決まっている?金利の相場について解説!
今回は、調達方法ごとの金利相場と、金利を決める基礎的な要素について紹介しました。
利用する機関や制度によって実際の金利は異なるため、目安としてお考えください。
大まかな知識でも傾向を知ることにより、事業や状況に合った使い分けができるはずです。