経営者として気になることと言えば、もし会社が倒産した場合その後の生活がどうなってしまうのかという点ではないでしょうか?
「破産後の末路が怖い…」というイメージがある方もいらっしゃるかもしれませんが、規則をきちんと知ることでその後の生活の立て直し方も見えてきます。
そこで本記事では、経営者が知っておきたい倒産後の負債をテーマに、再出発のための支援制度などを絡めて解説していきます。
Contents
破産手続きの方法と会社の負債がどうなるか解説
まずは、会社倒産後における負債の扱いと自己破産を行う手順について解説していきたいと思います。
会社倒産と自己破産は必ずしもセットではない
まず押さえておきたいのは、会社が倒産したからといって必ずしも経営者が返済義務を負う必要はないということです。
法律上は別で考えられるため、原則的には会社倒産後に自己破産をするのはセットではありません。
ただし、会社への融資の条件として経営者を連帯保証人にすることを設けている金融機関も多いため、会社倒産後に保証人としての返済義務が生じてしまい、それによって自己破産を選択する人も多くいらっしゃいます。
ですので、会社倒産に併せて自己破産も視野にいれている人は、その手順を事前に知っておくとよいでしょう。
自己破産手続きの手順について
まず、破産申立書(破産手続開始及び免責申立書)という書類を用意します。
書類は地方裁判所の公式サイトからダウンロードできますので、管轄のエリアの裁判所のサイトを確認してください。※名称は地方によって異なります。
破産申立書 |
・日付 ・住所 ・電話番号(固定電話/携帯/FAX) ・送達場所 ・送達場所の電話番号 ・申立者の名前と生年月日 ・代理人弁護士の名前と連絡先 |
以上の項目がありますのですべて埋めましょう。
別途必要なもの |
・陳述書 ・住民票の写し ・債権者一覧表 ・家計の状況 ・その他の資料(必要な場合) |
以上書類も添付します。提出時は漏れがないか確認してください。
申立て時点で残っている財産も裁判所に納めます。破産申し立てと免責申立ては同じ書類で行えることがほとんどです。
裁判所にて破産が確定すれば、負債は免責されます。
管財事件について
破産手続きには大きく管財事件と同時廃止事件があり、管財事件の場合は破産確定後破産者の財産を債権者に弁済・配当します。
破産確定後は管財人からの調査を受け、倒産までの流れを聴取されたり残りの財産や隠し財産がないかを調べられたりします。
端的に免責されたからといって返済が免れるわけではなく、残った財産を債権者に配分しなければならないということですね。
手続きが完了するまで、半年ほどかかるのが一般的ですが申立てから破産判決が出るまでは収入があったとしても裁判所で管理されます。
処理が終わった後の収入に関しては、収入を得たとしても押さえられません。
ちなみに破産手続きの同時廃止事件は、債権者へ弁済する財産が破産者にない場合に、破産手続き開始と廃止を同時に行うものになります。ですので、さきほど説明した管財人が選ばれることもないということです。
倒産した会社の経営者の家族はどうなる?
会社が倒産し、破産した後でも家族には返済義務は及びません。家族が連帯保証人でなかったり、会社のお金を不正に受け取っていた場合を除き経営者の家族であっても、会社や経営者本人の債務を払う必要はありません。
再出発するための資金問題
事業が失敗してしまいそれに併せて破産してしまったら、数年間は信用情報がブラックになってしまうため融資やローンを利用することは困難です。
そのため再起することが難しくなりますが、資金問題の解決として以下のようなものがあります。
支援制度の活用
日本政策金融公庫には「再挑戦支援資金」という、廃業した経験のある人が新たに開業する場合に利用できる融資制度があります。
- 廃業の理由が止むを得ないこと
- 廃業時の負債がある程度整理されている見込みであること
- 廃業歴を有する人が経営すること
などの条件を満たし、ある程度の自己資金を確保できれば融資を受けられる可能性があります。
自由財産についての基礎知識
破産を行うと家などは売却されますが、「自由財産」といって破産した後も残せる財産があります。
- 99万円以下の現金
- 法律により差し押さえが禁止された財産(家財など)
- 破産が決まったあとに取得した財産
- 自由財産の拡張として認められたもの
破産者の状況などによって拡張の範囲は異なります。
まとめ:経営者が知っておきたい倒産後の負債について
倒産については、なかなか話しにくいためか情報が共有されにくいテーマでもあります。
しかし、少しでも負担を軽減して今後の生活計画を立てるためにも具体的な流れや決まりについて知ることは大切でしょう。
再出発のためにも、破産を検討し始めた段階で早めに弁護士に依頼することをおすすめします。