2020.12.21

法人破産の費用と相場は?法人破産費用が不足する場合の対応策

企業の経営が悪化し、法人破産を検討する中で気になるのが破産手続きにかかる費用です。法人破産では、どのような費用がいくらかかるのでしょうか?

ここでは、法人破産でかかる費用や相場、法人破産費用の捻出が難しい場合の対応策について解説します。

法人破産について

それでは、法人破産についての簡単な概要から費用について見ていきましょう。

法人破産は法人の債務整理方法の1つ

負債が膨らみ経営が悪化した企業が債務整理するには、会社を消滅させる「清算型」と事業を継承させる「再建型」とがあります。法人破産は清算型の債務整理の1つで、債務整理が終了すると会社そのものがなくなります。

清算型…法人破産、特別清算
再建型…会社更生、民事再生、私的整理 など

法人破産にかかる費用の内訳

法人破産にかかる費用は、裁判所に支払うものと弁護士に支払うものとがあります。

法人破産は裁判所に申し立てて進める手続きのため、裁判所に支払う費用が必要になります。また、手続きを進めるには法的知識が必要で手続きも煩雑なため、弁護士に依頼するのが一般的です。そのため弁護士費用を用意する必要もあります。

裁判所に支払う費用の内訳と目安

それぞれの費用についてより詳しく確認してみましょう。

①申立手数料

申立手数料は、いわゆる実費の部分ですが、裁判所によって多少の違いがあります。東京地方裁判所での費用は次の通りです。

  • 収入印紙1000円
  • 郵券(切手)4200円分
  • 官報広告費1万4786円

官報広告費とは、官報に破産手続きを掲載するための費用で希望する・しないに関係なく掲載しなければならず、その費用も負担する必要があります。なお、官報広告費は改定することがあり、郵券も郵便料金の改定により変動します。

②引継予納金

引継予納金は、法人破産手続きにおける人件費に該当します。

破産手続きでは、所有する財産を処分して債権者に配当するため財産を調査し管理する人が必要で、これを「破産管財人」といいます。破産管財人は公平性が担保されることが重要なため裁判所が選任し、利害関係のない弁護士が就任するのが一般的です。引継予納金は、その破産管財人への報酬となります。

破産管財人への報酬は、本来すべての手続きが終了してから裁判所が働きや成果に応じて額を決定します。しかし、破産手続きでは破産管財人に支払うべき資産が残らない可能性もあります。そこで、破産手続きの申立をする時点で最低限の報酬を確保して破産管財人に引き継ぐのが引継予納金です。

引継ぎ予納金は負債額によって変わり、少なくとも70万円、多ければ700万円を超えます。申立手数料と合わせた裁判所に支払う費用だけでも相当な負担になるでしょう。しかし、費用負担が軽くなる制度もあります。

少額管財手続きのメリットと注意点

多くの裁判所が導入している「少額管財手続き」(または小規模管財手続き)という制度があります。破産手続きにおける費用負担の軽減を目的に作られた制度で、引継予納金が20万円程になります。他にも、通常であれば法人破産手続きの終了までに半年〜1年程かかるところが数ヵ月程度で済むメリットもあります。

少額管財として扱うかは裁判所の判断になりますが、一般的には次のような項目が判断材料になるといわれています。

  • 代理人(弁護士)を立てている
  • 所有する財産が少ない(またはない)、もしくは少額であるか、財産の調査や換金が短期で終わる見込みがある

一方で、少額管財手続きを利用するには注意点もあります。

  • すべての裁判所がおこなうとは限らない
  • 裁判所によって名称が異なる
  • 裁判所によって手続き内容や費用に違いがある

少額管財手続きは法で定められたものではなく、東京地方裁判所が導入したものです。そのため、導入している裁判所は多いものの手続きの名称や内容、費用などが裁判所によって異なります。また、代理人を立てることで弁護士費用が必要になります。まずは、法人破産の申立する裁判所が少額管財手続きを扱った事例があるか、確認してから検討するといいでしょう。

弁護士に支払う費用の内訳と相場

法人破産は必ずしも弁護士に依頼する必要はありませんが、ほとんどのケースで弁護士に依頼しているのが現状です。弁護士費用は弁護士事務所によって料金体系が異なりますが、一般的には着手金とその他の実費に分けられます。

着手金

着手金は、弁護士に依頼するための費用で、正式に契約する際に支払います。法人破産では法人の規模や債権者の数、依頼する手続きの内容などに応じて変わるのが一般的です。

着手金の相場は50万円~となっていますが、中にはより低い料金を提示するところもあります。ただし、着手金の他に成功報酬など他の名目で追加費用がかかるケースもあるため注意しましょう。

その他の実費

弁護士に依頼する場合は、業務上で必要になった経費も実費として支払う必要があります。具体的には、財産の調査のために必要な交通費や宿泊費、債権者への郵便物を送付するための切手代などです。日当を支払うケースもあるため、依頼前に必要となりそうな経費も確認しておくといいでしょう

法人破産の費用負担が困難な場合の対応策

法人破産にかかる費用を用意するのが難しいと感じる方もいるのではないでしょうか。しかし、費用負担が困難な場合でも対応策はあります。

費用負担の軽減について

裁判費用は基本的に安くならないため、費用負担を抑えるには弁護士費用をカットするのが有効です。法人破産の申し立ては弁護士でなくても可能なため問題はありません。

しかし実際には、専門知識が必要な法人破産手続きを素人がおこなえば、必要以上に手続きに時間がかかってしまいます。債権者への連絡や慣れない業務によるストレスも大きくおすすめできません。

また、自分で申立すると少額管財手続きも利用できなくなります。弁護士費用が発生しても裁判費用を抑えられれば、結果として弁護士に依頼するほうが費用軽減につながる可能性も高いでしょう。

着手金は契約時に支払うと説明しましたが、実際には分割払いや後払いに対応している弁護士事務所もあり、無理のない支払方法を選択できる可能性があります。また、弁護士ならではの視点で費用の捻出が可能になることも少なくありません。

法人破産を決意するのは簡単なことではありませんが、悪化する経営をそのまま放置すれば問題はさらに大きくなります。まずは無料相談を利用して、法人破産が可能か弁護士へ相談するのがおすすめです。

まとめ:法人破産の費用と相場は?法人破産費用が不足する場合の対応策

法人破産するには裁判費用が必要で、弁護士費用を支払って弁護士に依頼すれば手続きもよりスムーズに進むようになります。

少額管財手続きも利用できれば裁判費用の軽減も可能です。どちらも少なくない費用ですが、経営が最悪の状態になる前に、一度弁護士に相談してはいかがでしょうか。

おすすめ関連記事

自己破産の弁護士費用はいくら?依頼するメリットと費用不足時の対策
破産手続の費用が不足したら?個人・法人の破産手続の廃止を解説
自己破産でも原状回復費用は支払う?原状回復費用の扱いと敷金の清算

あなたにおすすめの記事

よく読まれている記事

この記事を見た人はこんな記事も見ています

会社倒産手続き.comをご覧の皆様へ

会社倒産手続き.comは、倒産〜復活にかけての道標を示すメディアです。経営者が第二の挑戦をすることを前提に、「終わり方」について参考となるデータと情報を提供していき、倒産〜復活のフローに関して、様々な道筋での援助方法ご提案します。

無料相談はこちら